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消費者は風邪薬をCMで選ぶ。だから損をする

メディア ドラッグストア情報

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風邪薬の選び方、1位は・・・

ドラッグストアに置かれている風邪薬の種類の数をご存知だろうか。

うちの店で数えてみたら、驚くなかれ、なんと101種類もあった(※1)。数え終えた瞬間、思わず笑ってしまった。101って・・・。こんなに種類が豊富で嬉しい、なんて感謝するお客いますかね?僕ならむしろ混乱するから減らしてほしい。

この店は売り場面積が結構広いほうだと思うけれど、小さな店でも50種類くらいはあると思う。

こうした膨大な種類の中から、お客はどうやって選んでいるのか。製薬メーカーとドラッグストアにとっては気になるところだ。

と思ったら、ちゃんと調べていた。武田薬品工業が昨年、一般消費者1040人を対象にアンケート調査を実施した(※)。消費者が風邪薬を選ぶ時に参考にする情報は次の通りだった。

 

1位 テレビCM                       

2位 店頭に陳列された商品パッケージの情報

3位 薬剤師(店員)の話

 

多くのお客は、テレビCMと商品パッケージで選んでいることがわかる。

 

僕もパッケージで選んでしまった・・・

ここからいえるのは、お客は製薬メーカーから提供される情報をもとに、薬を選んでいるということだ。1位も2位も、製薬メーカーが売上を伸ばすために作った広告だからだ。

広告で商品を選ぶ。これは、当たり前のことだろうか。

十年前ならいざしらず、僕はいまどき比較的珍しい消費行動だと思う。食べ物は味で選ぶ。家電ならネットのクチコミで選ぶ。ところが、薬に限って言えば、広告で選ぶ。広告とはイメージである。消費者は知名度や印象で選んでいる。

そういう僕も、実は、バイトを始めたばかりで商品のラインナップを覚えていないころは、CMを参考にしたことがある。喉が痛いというお客さんに、とりあえずCMでおなじみの銀のベンザこと「ベンザブロック」を勧めた。あとになって、他製品と成分を比較して、ベンザブロックよりも「ルルアタックEX」のほうが喉の痛みを抑える成分が多く含まれていることがわかった。ごめんなさい。

 

だからお客は損をする

消費者がCMやパッケージで選ぶことを製薬メーカーはよく分かっている。だから、CMづくりをかかさない。もし僕が製薬メーカーに勤めて会社の営業利益をてっとりばやく伸ばそうとしたら、薬の質を向上させることに心血注ぐよりも、広告代理店に依頼して素敵なCMをつくってもらい、たくさん放送することを優先しそうだ。だって、消費者は効き目よりも、商品の持つイメージで選んでいるから。

テレビCMを見れば分かる通り、人気女優が登場して、「すぐ効く」とか「速く効く」とか、どこも同じようなことを言っている。CMと商品パッケージは自社製品を売るためのものだから、いくらCMを眺めていても他社製品との優劣はわからない。これは株式会社として当然の企業行動だから、良いとか悪いとかいう問題ではない。

だから、本来なら店頭の薬剤師と登録販売者が、第三者的な視点で薬の優劣を比較するのがいい。でも、かつての僕みたいに勉強不足な人は、パッケージの売り文句を頼りにして、製薬メーカーの狙い通りに商品をお客に勧める。また、製薬メーカーと心理的な距離が近い人は、メーカーのセールストークをそのまま受け売りして販売することになる。

だからお客は損をする。これいいのかなあ?

 

 

 

剤型(錠剤・顆粒)の違いや、容量(30錠パックや90錠パックなど)のちがいは考慮していないから、純粋な種類として101種類もあるということだ。ちなみに内訳は、大人用風邪薬(※2)が68種類で、33種類が小児用風邪薬

※「武田薬報」2014年秋号に掲載