『家庭の薬学』

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新時代のセルフメディケーションは地方から始まるかも?「移住・交流&地域おこしフェア」に参加した

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人口減少都市の見本市!

先週の日曜日に総務省が主催した「移住・交流&地域おこしフェア」というイベントに行ってきた。北は北海道、南は鹿児島まで、全国の人口減少都市や消滅危険市町村が集まって、地元PRのブースをだして、とても面白い見本市になっていた。

ブースへ行くと観光パンフレットはもちろん、リンゴ、ミカン、ジュース、地酒、牡蠣の燻製、米、スイートポテト、シフォンケーキ、せんべい、ボールペン、クリアファイルとかもらって、かなり幸せな気分になる。

 

「駅長」や「薬草コーディネーター」も募集。地方移住するなら今がチャンス

このイベントでは、各自治体が「地域おこし協力隊」を募集していた。総務省が行っている政策で、地方に若い人が行くように、いろいろ手厚い補助を出すというもの。


地域おこし協力隊について|地域を変えていく新しい力 地域おこし協力隊

 

具体的には、田舎に行って毎月15万~20万円くらいの給料をもらい、地元のためにあれこれやる。1年ごとの更新で、最長3年。その後は地元企業や第三セクター、役場に就職することになる。一念発起して起業する人もいる。現地での仕事は、観光PRとか農林業が多いのだけど、「駅長募集」「薬草コーディネーター募集」なんてユニークなものもある。

地方の人材誘致はかなりバブリーな状態になっていて、各自治体はいろいろな特典をつけて若い人を呼び込もうとしている。

僕は5年前に、当時「地域おこし協力隊」に参加した知人の話を聞いたことがある。地域おこし事業とは名ばかりのヒドイもので、人選もゆるゆる、仕事内容もゆるゆる。知人の話を聞く限り、明かな税金の無駄遣いだった。でも今回のイベントを見ると、自治体側の受け入れ態勢が5年前よりもずいぶん整っている印象を受けた。

地方に移住するなら、国が後押ししている今がチャンスだと思う。マイホームだって補助金付でサクッと買えちゃう。興味がある方はチェックされたし。 


活動を検索する|地域を変えていく新しい力 地域おこし協力隊

 

地方では医療者が引く手あまた

今回のイベントに参加して思ったのは、地方はお年寄が多いってこと。いろんな自治体の説明を聞いていたら、高齢化率40%、50%近くとか。そして病院が少ないとか、医者も薬剤師も少ないという話をよく聞いた。

こういう場所だからこそできる、セルフメディケーションは何だろうと思いながら、色々な自治体の人と話していたら、そのうちの一人が、

「うちの地域は病院が足りないので、お年寄りが集まって皆が参加できる健康講座とかをもっと開きたいんですよ。薬剤師さんが都市から来て協力してくれたら、心強いですね」

と言って、あ、これはちょっと面白そうだなと思った。過疎地に住む人の健康管理法は、きっと都市部の人とは異なると思う。高齢化率50%の場所だからこそ、都市部に住んでいては得られない知識を得たり、自分の存在意義を見つけられたりするかもしれない。

 

医者を集めた夕張の成功例

都市部では得られないスキルを身に付けるために、田舎にあえて身を置く医療者は珍しくない。

一昔前に、経営破たんした夕張市の病院に村上智彦さんという地域医療で活躍するお医者さんがいた。新聞テレビでもよく報道されて、けっこう時の人になった。

興味をもった僕は、病院を訊ねて「なんでこんなに病院が元気なんですか?」と職員に聞いてみた。語ってくれたところによれば、村上医師の活躍を見て「地域医療を学びたい」という若手医師が集まっているという。

「だから、もういまは医者は募集していないんですよ」

ホントですか!?全国の地方村が医師不足で悩む中、破綻した都市に医師が潤沢だなんて、なんという皮肉!あ、でも、ずっと夕張市に居続ける医師は少ないんじゃないですか?雪深いし。

「それでいいんですよ。若い人はいずれ出てっても、また新しい人が入ってくれば、町は常に若くいられる」

なんだか”常若”の伊勢神宮みたいな話だなと思った。

 

 地方から学べることもあるかもしれない

”地方は日本の課題最先端の場所”という言葉がある。高齢化率は日本全体に広がる問題であり、いち早く直面しているのが過疎地であるという意味だ。

ひょっとしたら、セルフメディケーションの先端も、地方にあるのかもしれない。薬剤師さんのサイトでも、過疎地のセルフメディケーションについて語られていて、関心を寄せている医療者がいることがわかる。

過疎地における薬剤師の役割は何か? | アポネットR研究会・最近の話題

僕も首都圏から遠く離れた過疎地へ移住した薬剤師を何人か知っている。人生いろいろ、セルフメディケーションもいろいろ。