大手メディアに勝つつもりで参加した「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」。結果は11位/38作品で悔しい

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NHK、ハフポストなどが集結したメディアイベントに出品した

ナイショにしていたのだけど、先日の土曜日に開催された「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」(主催:日本ジャーナリスト教育センター)に、出品者として参加してきた。タイトル通り、”次世代を切り開くジャーナリズム作品”が集まったイベントだ。ジャーナリズムに関心のある約230人(出品参加82名、一般参加154名)が参加した。


ジャーナリズム・イノベーション・アワード 出展作品ラインナップ

 

「真剣に準備したランキング(仮)」なら5位入賞

出品は自薦他薦によって集まった全38作品。ネット業界の有名人や大手メディアが参加するこの豪華なイベントに、僕はブログ「ドラッグストアとジャーナリズム」でエントリーして、はてなブログという”竹ヤリ”で戦うことになった。結果は11位だった。

面白そうだから軽い気持ちで参加してみたら11位で、ブログにしては結構いいセンいきましたよ。ははは。

なあんて、余裕たっぷりに言いたいところだけれど、実際は全然ちがう。僕はこの結果が悔しかった。めちゃくちゃ悔しかった。

僕は出品するからには相手が大手メディアだろうが有名人だろうが、負けない気持ちだった。むしろ、大手メディアには負けないぞと、一方的な闘争心を抱えて挑んだ。たぶん、”真剣に準備したランキング”があれば(こんなランキングにあまり意味はないが)、上位5位に入賞したと思う。

だから、11位に終わったイベント当日は、すっかり失意の中で家路を急いだ。

 

参加者投票の結果順位

まず、順位の結果をまとめる(公式発表ではなく、僕が数えた順位だ)。

 

【1位~11位の作品(1次投票の結果)】

1位 ヨッピー+有限会社ノオト

悪質バイラルメディアにはどう対処すべき? BUZZNEWSをフルボッコにしてみた

2位 NHKデータネットデータファクトリー

NHKインタラクティブニュース

3位 沖縄タイムス戦後70年取材班 

地図が語る戦没者の足跡

4位 首都大学東京 渡邉英徳研究室 

台風リアルタイム・ウォッチャー

4位 岸田浩和

「台湾・香港で見たアジアの民主化運動」ドキュメンタリー取材

6位 日本経済新聞 電子版

人口減少地図 統計でみる市区町村のすがた

7位 朝日新聞・待機児童取材班

待機児童問題

8位 神戸新聞社+QOOQ

阪神・淡路大震災 on Yesterscape

8位 NPO法人YouthCreate・Yahoo! JAPAN

ASK NIPPON 2014

10位 有限会社ネオローグ

ポリタス(「東京都知事選2014」を考える/「沖縄県知事選2014」から考える/「総選挙」から考える日本の未来)

11位 kuri

ドラッグストアとジャーナリズム ※以下省略

 

このイベントでは、38チームが各ブースを与えられたうえで、参加者による投票によって選ばれた上位5チームが、持ち時間5分の決戦プレゼンに進めることになっていた。

そこで僕は上位5位に入って、決勝プレゼンするつもりだった。開設してまだ1か月半、総PV数5200程度、見た目も平凡なブログだけど、自分のアイデアには自信を持っている。自分のジャーナリズムのアイデアが、大手メディアの作品並みに、人々の生活の役に立つという絶対の自信だ。

そんな気持ちで、数日前から準備していたのだ。

 

白衣、衛生帽子、マスクで白武装戦線!

事前準備として、まず他の出品作品をすべて見た。

どれも素晴らしい作品で、自分の場違い感をひしひしと感じた。が、大手メディアのような同規模、同業者がやることは、似たり寄ったりになる。基本はインフォグラフィクスと、既存の取材報道の組み合わせだ。新興メディアのいくつかは、僕からみるとコンセプトが漠然としている。ジャーナリズムの持つ尖った感じも少ない。でもデザインセンスは素晴らしいし、たぶんPV数や認知度も(つまり世間に受け入れられ度)、僕のはるか手の届かないところにある。

そこで僕は、一つの強いメッセージをジャーナリスティックに語る作戦を立てた。

まずパワーポイントでプレゼン資料を作った。どうして僕のブログが人々の生活に必要なのかを真剣に伝えることに目的を絞った。それから、プレゼンの紙を自宅の障子に並べて貼り、説明が5分以内におまさるように何度も練習した。プレゼン資料は、キンコーズでラミネート加工した。一人参加の不利を埋めるために、名刺サイズのチラシも自宅のプリンターで刷った。少しでも目を引くように、衣装は白衣と衛生帽子とマスクを購入して全身白づくめ姿になることにした(ちなみに通常業務の薬剤師は衛生帽子はかぶりません)。

参加者が話しかけやすい雰囲気を作るために、自宅のリサ(リサ&ガスパール)のぬいぐるみも用意することにした。妻が「何か役に立てば」といって渡してくれた100円ショップの色画用紙や飾り花も持参した(妻は僕がブログをしていることは知っているが、ブログの名前は教えていない)。

こうした準備をしたうえで、「目指せ5位!」を掲げて挑んだイベントだったのだ。準備期間中は時間を追われて、何度も投げ出したくなった。11位で嬉しいわけがない。

 

右はNHKさん、左はTHE PAGEさんで戦々恐々

出展者は昼12時に法政大学の会場に集合した。展示ブースの位置は抽選で決められた。右はNHKさん、左はTHE PAGE(母体はヤフーさん)という、強豪に囲まれることになった。

僕がひとりで模造紙やセロハンテープでいそいそとプレゼン資料を張り付けている横で、NHKさんは数人のスタッフでどでかいモニターを3つも取り出し、まるでPC機器の展示会のような飾りつけをしていた。ヤマダ電機VS学生文化祭だな、と思った。あはは。。。

ただ、どうやら、ぬいぐるみのリサと、白衣のコスチュームが効いたせいか、開場するとけっこう人が来てくれた。ブース展示時間は参加者とのコミュニケーションだからアドリブでプレゼン。終了までの2時間半、ひたすらしゃべり続けた。全部一人でやったので、もう途中から自分がなにをしゃべっているのか、わけがわからなくなった。あれ?この人にこの説明したかな?とか。名刺渡したかな?とか。失礼があった方、たいへん申し訳ありません。

参加者からは「病院へ行くべきか市販薬で済ませるべきか、迷うことが多い。どうしたらいい?」「店員に質問しても、まともな答えが返ってこないことがある」「サプリ等の評価をどうするのか?」「マネタイズはどうするのか?」など、即答に詰まるような質問がいろいろきた。これは刺激になった。

途中、読売新聞の知り合いに声をかけられた。え!こんなに全身白づくめで変装しているのに、なんでわかったんですか!?と聞いたら、「いやー、わかりますよー」と笑われた。しまった、やはり妻がもたせた最終変装兵器「アイプチ」を使うべきだったか。

こうしてあっという間に時間が過ぎ、僕が気づかぬうちに参加者による投票の結果がでていた。

 

医療者の優れたウェブサイトもある

38作品中11位は不本意な結果だ。

でも、上位5作品には、僕が大好きな首都大学東京渡邉英徳先生の作品や、フリージャーナリストさんの素晴らしい作品が揃ったので、まあ、しかたないかと思った。ちなみに横のブースのNHKさんも上位5位に選ばれて、こちらもまったく妥当な結果だと思う。

また、順位とメディアの質は比例しないと思う。僕が好きな津田大介さんが運営するポリタスと、僕のブログの順位差が、たった1のはずがない。僕の順位は、たぶん僕の当日の熱意(とパフォーマンス)によってここまで押し上げられている。

ぼくのブログは試みであり、通過点だ。最終的には、いつかアメリカのような医療ジャーナリズムを日本に確立させたい。そして書き手が誇りを持って書ける媒体をつくりたい(ご興味あるかた、友達になりましょう、連絡ください)。

あと、余計なお世話かもしれないけれど、僕なんかよりも立派な医療者が作ったサイトは他にもたくさんある。サイトを運営するご本人たちは、世の中の注目を浴びたいとか、ジャーナリズムを標榜したいとか、そんな気はないと思うけれど、彼らが作っているメディアのコンセプト(患者中心の医療を目指すこと)は、世の中に広く受け入れられると僕は思っている。だから、いや、ほんとに余計なお世話かもしれないけれど、僕が注目する若手医療者(医療学生)たちによるメディアを、この場で2つ紹介しておきたい。


創刊準備作業中 / 地域医療ジャーナル

 


M-Labo

 

注目してくださった識者もいた。ありがたや~

個人的には失意に終わった今回のイベントだけど、嬉しいこともあった。

同時開催されたパネルディスカッションのモデレーター、境治さんが、面識のない僕に一票投じてくれた。

 

ブログでも紹介してくださった。ありがとうございます~。

プログラミングは、伝えたい情熱を増幅する。〜ジャーナリズムイノベーションアワードが文化祭みたいで面白かった件〜 | sakaiosamu.com

 イベントが終わって冷静に考えると、僕に投票してくれた人は、一人一票のなかで、他のメディアよりも「おもしろそうだな」「応援したいな」と思ってくれて投票してくれたわけだ。これって、すごいことだ。誰にも言わず秘して参加していたから、身内票は期待してなかったし、得票ゼロだった可能性もあるのだ。悔しいけれど、そう考えると、ま、いっかなんて思えてきた。

だれかが、ジャーナリズムは語るものではなく実行するものだっていっていた。個人メディアでも、コンセプトがはっきりしていて、熱意があれば、声を聞いてくれる人はでてくる。未来のジャーナリズムの形はまだ見えないけれど、いつの時代も、ジャーナリズムの出発点は「情熱」の二文字だ。(と、学生の文化祭にある青春風で締めくくろう)