読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

花粉症薬「アレグラ」で法律違反しそうになった話

花粉症・鼻炎

f:id:kuriedits:20150210130150p:plain

病院に行かなくても買える大野くんの「アレグラ」

花粉が舞う季節になった。バイト先のドラッグストアで、アレルギー性鼻炎薬の「アレグラFX」が、バンバン売れている。嵐の大野くんが登場するCMでお馴染みの、紫のパッケージのアレね。

アレグラFXというのは、花粉のアレルギー反応を抑えることで、鼻水や目のかゆみなどを抑える薬だ。以前は病院でしか処方されていなかったのだけど、数年前からドラッグストアで購入できるようになった。

医療用は「アレグラ」、市販薬は「アレグラFX」で名前が少し違うけど、中身はまったく同じ。いちいちFXとつけるのがめんどいので、このブログでは「アレグラFX」のこともアレグラと書く。

アレグラで法律違反とかシャレにならない

僕はアレグラで法律違反をしかけたことがある。

ある時、アレグラを買いたいというお客がいた。いつも使っているという。服用歴・受診歴などを一通り確認してから販売した。

会計を済ませてから、心の中で妙なモヤモヤ感があって、しばらくして「しまった!!」と気づいた。アレグラは、販売する際に書面での説明が必要な「要指導医薬品」だったのだ。

ぎゃっ!やってしまった!法律違反!!

あわてて、お客を引きとめて、書面での確認をお願いした。

その時のお客の、めんどくさそうな顔といったら・・・すみません。

アレグラを買っている人は、毎回必ず薬剤師に書面での説明を受けていると思う。なぜ書面での説明がわざわざ必要なのか、きっといぶかしくに思っていることだろう。

 

 伝家の宝刀「法律ですから」

アレグラを買うには、薬剤師による安全性の説明と確認が必要になる。僕もいつも説明しているけれど、 「もーわかってるから、さっさとレジ済ませて」 と顔に書いているお客もなかにはいる。

自分のことは自分が一番わかっているからそう思っているのかもしれない。でも、僕らは一日に何人ものお客と接するし、そのお客の健康状況を把握しているわけじゃない。だから毎回質問するのは、薬剤師として当然である。同僚によると、アレグラを買いに来たお客のなかには、薬剤師が不在のために購入できないと聞かされて、

「なんで買えないんだよ!」

と怒る人もいるという。そんなときは、

「法律ですから」

というと、けっこう納得してくれるらしい。へー、それで納得するんだ?ほんとかなあ?僕が何も知らないお客なら「じゃあ、その法律がおかしいんじゃないの?なんでそういう法律なの?」と説明を求めるだろうけど。

 

アレグラはもっと簡単に変えるようになる

でも、たしかに、ミもフタもない言い方にはなるけど、これは法律で決められたルールなのだ。

市販薬にはいくつか種類があって、アレグラは「要指導医薬品」というカテゴリーに属している。要指導医薬品は、安全性に注意が必要な薬として扱われているので、いろいろな販売規制がついている。薬剤師でなくては売れない。ネットでの購入はできない。店頭で買う際は、毎回、薬剤師が書面を用いて使用上の注意事項の説明を受ける必要がある。これはすべて破ることのできないルールだ。

僕はアレグラを書面説明せずに販売しようとしてしまった(ちょっと詳しく言うと、類似の「第1類医薬品」だと勘違いしていた)。これは法律上、完全にアウト。

ただ、この煩わしさが我慢できない人に伝えておくと、将来的にはアレグラはもっと簡単に変えるようになる可能性が高い。

アレグラのような要指導医薬品は、原則として発売後3年間、安全性の市場調査をして、安全性が確認されれば「要指導医薬品」から外れる。アレグラは2012年11月に発売されたので、今年か来年あたりに要指導医薬品ではなくなるかもしれない。そしたら店頭での毎回の書面説明も義務ではなくなり、ネットで購入することも可能になる。

 

アレグラのルールを変えるのは僕たち一人ひとり

いまのように薬剤師がいないと薬を購入できない制度には、けっこう議論がある。ドラッグストアとしては、本当は説明なんかせずにバンバン売った方がよっぽど儲かる。国としては、副作用の事故が起きないように、一定の規制を企業に課したい。

薬剤師しか売れない薬があることで、「薬剤師団体が既得権益を守ろうとしているだけだ!」と言う人もいる。

ただ本質的には、これは、自分たちがどのような社会を作りたいかという問題だと僕は考えている。

現在みたいに売る側に規制を作るべきなのか、それとも、お客が自己責任でどんどん薬を買えるほうがいいのか。決めるのはドラッグストアでも薬剤師でもない。国民一人一人の声と選挙行動だ。

あなたはどちらがいいですか?僕はこのブログを通じて、これからの医療を考えていきたいと思う。

いずれ大きな議論になるだろう。それまでは、アレグラを買う時には、小さな不安でも些細な疑問でも、なんでも薬剤師に質問してほしい。こちらもなるべく新鮮な情報をその都度提供できるように心がけているので、どうぞよろしくお願いします。