『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

「虫コナーズ」だけじゃなさそう。市販薬にもある”言い過ぎ”広告

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CM表示に落とし穴♪

「人生最後に落とし穴っ」のCMで有名な「虫コナーズ」に、意外な落とし穴があったみたい。今月、消費者庁からパッケージの表記に科学的な根拠が薄いと指摘され、文言の改善を求められた。


「虫コナーズ」などに根拠なし よけ剤販売4社に再発防止命令へ 消費者庁 - 産経ニュース

このテの”言い過ぎ”は市販薬にもあるように思う。検証している団体もある。

 

市販薬の広告を検証している団体がありますよ

「日本OTC医薬品協会」という団体だ。たぶん医薬品業界の人でなければ、名前すら聞いたことがないと思う(OTC=over the counterの略。OTC医薬品=市販薬)。製薬メーカー約80社が加盟していて、一般消費者にむけて市販薬の正しい使い方の啓発をしている。

この協会では数か月に一度、「広告審査会」というものを開いて、メーカー関係者や大学教授たちが集めり100本近いCM(テレビ、新聞、雑誌)を審査している。

メーカー団体がメーカー広告を審査するんだから、きっと甘々なんでしょ?とか思いきや、検証の中身は意外なほど手厳しいですよ。

たとえば、ぽっこりお腹に効くとわれる漢方薬防風通聖散」(製品名としては「ナイシトールG」や「コッコアポEX」など)の一部のCMで、「おなかの脂肪を落とす」をうたっているけれど、防風通聖散の効能効果に「おなかの脂肪を落とす」がないから不適正だとか、CM中の「選び抜かれた生薬」という表現が他社を誹謗する表現にあたるとか・・・。

そんな細かいことまでゆーか!と思う指摘がたくさんある。

 

広告代理店とテレビ局が勝手に作った?

さて、この審査会が昨年4月、ある咳止め薬のテレビCMを「不適正」と評価した。とてもおもしろい事例なので、ぜひ紹介させていただきしょう。

審査会の報告書によると、この咳止め薬はCMで、「走る前に」「プレゼンの前に」「どんなときにも」「のどをまもる」とうたっているのだけど、これが審査会的にアウトーッとなった。次のとおり指摘している。

予防的であり、効能外表現と判断される。「走る前」、「プレゼン前」などシーンの説明はあるが効能、用法用量が表現されていないため、消費者視点で考えれば、効能効果は明確に伝えるべきである。
また症状がなくても服用されることが懸念され、乱用助長につながる恐れがある。 

審査会に「不適正」と指摘される広告は結構ある。ただ、このケースに限っては、不適正と指摘されたメーカー側の釈明がけっこうすごい。 委員の一人によれば、この不適正について当の製薬メーカーに伝えたところ、次の主旨の返答があったという。

「指摘された広告に関してのテレビ広告は、製薬企業側が企画・作成依頼したものではなく、広告代理店と放映先のテレビ局との間で作成され、放映されたものであるため、製薬企業側にその責任はない」

どゆこと?こういう広告を出すパターンがあるのだろうか・・・?せっかくだから協会に聞いてみよーと思ったら、担当者がしばらく不在とのことで確認ができなかった。ざんねん。この製品のメーカー、協会側は名前を伏せているけれど、以下2つの報告書をちゃんと読むと、誰もが知っている”あの会社”であると想像がつく。

第238回 広告審査会レポート 日本OTC医薬品協会 

第239回 広告審査会レポート 日本OTC医薬品協会

以上、市販薬の”言い過ぎ”の話題でした。広告審査会は興味深いのでよろしければご覧くださいまし(昨年からなぜか更新が止まっているのがちょっと気になる)。

広告審査会について 日本OTC医薬品協会