「店員があまり教えてくれない・・・」
1月に開催された「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」のイベント会場で、ぼくが、
「ドラッグストアでは店員に相談したほうがいいですよ」
とプレゼンしていたら、参加者のなかから、
「店員に薬のことを聞いても、あまり教えてくれない(的確に答えてくれない)」
と意見をくれた人がいた。たしかに、薬剤師もピンきりだから、とぼくがいうのもナンだけど、ダメな薬剤師にあたることもある。ただ、この人のばあい、
「相談した相手は、薬剤師ですか?登録販売者ですか?普通の店員ですか?」
と聞いたら、「わからない」という答えが返ってきたので、相談した相手を間違えた可能性がある。
前から薄々感じていたことだけど、ドラッグストアの利用者は、薬剤師と登録販売者の区別がついていないフシがある。しかるべき人に、しかるべきことを聞かないと時間のムダになる。
ドラッグストアには4つの人種がいることを紹介しておきたい。
ドラッグストアには4つの人種がいる
ドラッグストアの店員は次の4種に分けられると思う。
薬剤師
薬に詳しい人たち。薬以外の商品については、あまり詳しくない傾向がある。
登録販売者
薬を含めたすべての商品に、そこそこ詳しい人たち。いわばドラッグストアのジェネラリスト。
化粧品担当者
化粧品に詳しい人たち。美人が多い(化粧厚い)。
一般スタッフ
業務全般をサポートする人たち。レジ打つのが早い。夕方以降は学生アルバイトであることが多い。
このうち薬剤師と登録販売者は、公的な資格保持者だ。薬剤師は、薬剤師国家試験に合格することでなれる。6年間大学で薬学を勉強(一昔前は4年だった)している。最近の国家試験合格率は約6割。登録販売者は、都道府県が実施する登録販売者試験(※1)に合格することでなれる。試験は学歴不問なので、学生時代に特定の学部を専攻している必要はない。文系出身者も理系出身者もいる。最近の合格率は約4割。
ドラッグストアは、薬剤師か登録販売者がいなければ営業できない。店に明かりがついているなら、薬剤師か登録販売者のどちらかが必ず店内にいる。ただし、薬剤師は人件費が高いので不在なことがある。僕がしるかぎり、ドラッグストアの店長は登録販売者であることが多い。
基本的に、店員は胸に「薬剤師」あるいは「登録販売者」と明記されたプレートをつけているので、その人が何者なのか識別できる。
ドラッグストアのポテンシャルはけっこうすごいと思う
さて、将来的には、ここに5人目が加わる可能性がある。「栄養士」だ。ドラッグストアに入社する栄養士は珍しくない。
僕のバイト先のドラッグストアでは、栄養士の資格者が2人いた。上記の4人のなかに「栄養士」が加わると、ドラッグストアはあらゆる角度から健康をサポートすることができて、相当便利な生活インフラになる。
すでに、ネームプレートに「栄養士」と書いたスタッフを配置しているドラッグストアもある。
ただ、全体的にみると、ドラッグストア業界は栄養士という職能者を活かしきれていない。ある日、僕が栄養士の資格を持つ若手社員に入社動機を訊ねたら、
「栄養アドバイスとかできるかなと思って入社したんです。でも、実際は商品整理とかレジ打ちとかで知識を使う機会がないんですよね。どんどん大学で学んだ知識が薄れていく気がします」
という答えが返ってきた。入社数年目の人も「そうそう」と同意していた。なんてもったいない話だろうと思った。はっきりいって、薬剤師は薬のプロであって、栄養学の知識はあまりない。ぜひ栄養士さんにはドラッグストアで活躍の場があってほしいと思う。すごいやりがいあるんじゃないかなあ。僕は栄養士さんと仕事したいよ。
消費者にとっても、ドラッグストアで栄養相談できたら、めちゃ便利じゃないだろうか?こんど近所のドラッグストアへ行く機会があれば、試しに「栄養士さん、いますか?」と店員に聞いてみてはどうだろう。
※登録販売者試験については国家試験であるとする意見とそうでないという意見がある。どちらが正しいのか確証がもてなかったので、ここではこのように表現する。
※http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/kaisei270401_01.pdf