風邪の咳、風邪のあとに残った咳。何とかしたい時の風邪薬の選び方

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勘弁して!仕事を邪魔する風邪の咳

咳は仕事をする上で一番困る風邪の症状の一つだ。人前でゴホゴホとするのは、印象が悪いし、声を使う人ならそもそも仕事にならない。ぼくも何度か苦しめられた経験がある。シリアスな会議中に、咳がでるのを必死に我慢したりね・・・。

そこでドラッグストアで咳止めを買おうとするわけだけど、これまた種類が多くてどれがいいのかわからない。なにがいいのか?なにがちがうのか?どれも大してかわらないのか?

エイヤっで決めてさっさと帰宅するのもアリだけど、せっかくなら、最低限の知識を頭に入れてから購入するのがよいと思う。薬選びにはコツがある(と思う)。

 

基本は「ジヒドロコデイン」「メチルエフェドリン」のミックス

まずは基本的な薬の仕組みから紹介。風邪薬に含まれる咳止めの成分は、次の2つの成分が「基本形」になっている(mgはいずれも1日量)。

ジヒドロコデイン24mg(製品にはジヒドロコデインリン酸塩と表記)

効果:頭の中にある咳中枢と呼ばれる場所の興奮を鎮めて、咳を止める。

dl-メチルエフェドリン60mg(製品にはdl-メチルエフェドリン塩酸塩と表記)

効果:気管支を拡張して呼吸をラクにするとともに咳を止める。

この2つの咳止め成分が、ほとんどすべての総合風邪薬に入っていて(※1)、これに他の成分がプラスされることで、各製品が差別化されている。 価格の安い薬には上の2成分しか入っていない。1箱1000円くらいの高額の風邪薬には、上の成分以外にも1つか2つ別の成分が加えられている傾向がある。

 

基本形+αで見る。「ストナプラス2」はいいかもね

実際に代表的な商品の、咳・痰に関する成分を見てみる(すべて1日量。太字がプラスの部分)。以下はすべて総合風邪薬。なお、ここでは見やすくするために抗アレルギー成分は省略する。

●ストナプラスジェル2・・・ジヒドロコデイン24mgとdl-メチルエフェドリン60mg、L‐カルボシステイン750mg、ブロムヘキシン12mg

●ストナプラス2・・・ジヒドロコデイン24mgとdl-メチルエフェドリン60mg、ノスカピン48mg、車前草150mg、甘草142.86mg(※2)

パブロンエースAX・・・ジヒドロコデイン24mgとdl-メチルエフェドリン60mg、アンブロキソール45mg

●新ルルAゴールドDX・・・ヒドロコデイン24mgとdl-メチルエフェドリン60mg、ブロムヘキシン12mg

 

含まれている成分は、それぞれ微妙に異なる。ノスカピンは、咳中枢に働く咳止め成分。L-カルボシステインブロムヘキシン、アンブロキソール、車前草(※3)は、痰を喉から排出しやすくする。

風邪薬と一言でいっても、微妙に違いがあることがわかってもらえると思う。

どの成分がどれだけ優れているか僕は比較データを見たことがないのだけれど、いずれも大きな差はない可能性がある(※4)。しかし、あえていえば、「ストナプラス2」は、咳を止める成分が他と比べて多いといえるし、逆に「ストナプラスジェル2」は、痰を出す成分が他よりも比較的多いといえる。

 

咳と言っても症状によって薬も変わる・・・ことがある

薬を選ぶうえで次に大切なのは、咳のタイプにあった成分選びだ。湿った咳か乾いた咳かという見分けは有名だけど、それ以外にも、選び方はいろいろある。

たとえば咳の原因には、鼻水が喉に垂れて咳がでるタイプ(後鼻漏症候群といいます)もあれば、アレルギー体質の人がなりやすい「咳喘息」というタイプもあり(※5)、それぞれ使う薬が違う場合がある。咳自体は、異物を外に出す防御反応なので、咳止めで無理に咳を止めるべきではない場合もある。風邪のひき初めの咳(急性上気道炎)には、先述の「ジヒドロコデイン」よりも「デキストロメトルファン」のほうがよいという見方もあったりする(※6)。

ウーン、ややこしい。でも、ご安心を。こんなことは一般消費者が覚える必要はない(好きなら調べてもいいけど、真偽不明のネット情報じゃなくてせめて専門書でね)。適した薬を選ぶにはそれなりに知識を要するから、こんなときこそ店の薬剤師・登録販売者に相談すればいい。

 

 風邪薬以外もお勧めします

それから、これが結構重要な点なのだけど、咳以外に風邪の症状がなければ、風邪の薬を選ぶ必要はない。咳止め専用の薬は、風邪薬よりも種類が豊富で、咳を止める成分の1回量も多い傾向がある。風邪薬は風邪を早く治すものではないので、風邪薬を選ばなかったからといって、風邪の治りが遅くなることはない。

店員に聞く際、「風邪ひいたみたいで、咳の薬がほしいんですけど」という聞き方をすると、総合風邪薬のコーナーに直行して案内されてしまう可能性があるのでお勧めしない。「咳があります」「咳と喉の痛みがあります」などと、まずは症状だけを伝えた方が、総合風邪薬がいいのか、咳止め専用薬がいいのかという展開になり、選択肢の幅が広がると思う。

 

 

※1 ジヒドロコデインのかわりにデキストロメトルファンを使った風邪薬もあるが、市販薬ではかなり少数。例としては「コンタック総合感冒」など。

※2 カンゾウが咳に効くというのは個人的にピンとこないが、メーカーが添付文書でそのように謳っているのでここで入れた。http://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/stonap.pdf

※3添付文書では車前草はせきを鎮める効果もあるようだ。

※4「かぜ診療マニュアル」(2013年)によれば、カルボシステインは急性上気道炎への有効性はデータに乏しい。

※5「かぜ診療マニュアル」(2013年)参考。ところで、本書では後鼻漏にアレルギー薬を処方した例があるのだけど、風邪の鼻水には第二世代は効かないのではなかったか。ここらへん、勉強不足でよくわからない。

※6「かぜ診療マニュアル」(2013年)によれば、コデイン製剤は上気道炎の咳には効きにくい(p.30)。文献はコチラ

http://www.researchgate.net/profile/Ronald_Eccles/publication/13866282_Assessment_of_the_antitussive_efficacy_of_codeine_in_cough_associated_with_common_cold/links/541c46430cf203f155b3c052.pdf