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「ハナノアa」で鼻うがいデビューする前に知っておきたいこと

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鼻の中の雑菌、花粉などを洗い流す「鼻うがい」

鼻がムズムズ、不快感に、自宅で「鼻うがい」をする人がいる。鼻うがいとは、鼻に専用の洗浄液や生理食塩水を流し込んで、鼻の中のウイルス、花粉、ホコリなどを洗い流す方法のことだ。ぼくは縁遠いけど、周囲の経験者の声も聴く。

 

代表的商品「ハナノアa」の怖い注意書き

大抵のドラッグストアにあるのは、小林製薬の「ハナノアa」という商品だろう。市販の鼻うがい製品のなかでは一番有名なものと思われる。800~900円くらいで購入できる。コチラ↓

「ハナノアa」は、専用の洗浄液と注入器を使って、鼻から入れて口から出すタイプの鼻うがい商品だ。流し込む液体は、体液に近い成分なので、ツーンとする痛みはない。

しかし、説明書をよく読むと、そこには身震いするような文言があることに気づくだろう。

曰く、洗浄する際に、顔を上に向けすぎると、耳の内部に洗浄液が入り中耳炎になるおそれがある

曰く、洗浄後に、強く鼻をかむと、耳の内部に洗浄液が入り中耳炎になるおそれがある

曰く、鼻から吸い込もうとすると、洗浄液が気管支や肺に入るおそれがある

いやいやいや、たかが鼻の中を洗浄するのにそこまでリスクとるの?鼻うがいって、そんなにアドベンチャーなの? 

 

鼻うがいした時、鼻の中で起きてること

鼻うがいをしたときに、鼻の中で何が起きるのか。わかりやすく表した動画がある。

海外の鼻うがい製品のコマーシャル映像だ。この動画の開始から22秒あたりに、洗浄液が鼻の中をかけめぐる様子がアニメーションで表現されている。

動画では、鼻の上のほうにある小室にも洗浄液が流れている。この部分は、前頭洞(ぜんとうどう)と呼ばれる。鼻の中のまわりには、いくつかの空洞があり、空洞はまとめて「副鼻腔」と呼ばれる。前頭洞は副鼻腔の1つで、他に3つの空洞がある。動画の絵では、空洞は仕切られているように見えるけど、4つの空洞はそれぞれ開口部を持つ(※1)。

鼻水・鼻づまりが続く「副鼻腔炎」という病気があるが、これは空洞の中で炎症が起きている状態をいう。

上の動画によると、鼻洗浄は副鼻腔も洗ってくれるらしい。ふうん。

 

鼻の中の穴から耳へと流れる仕組み

なぜ鼻洗浄で中耳炎になったり、洗浄液が気管支や肺に行くことがあるのか。鼻と喉の構造をみると、なんとなく想像できる。

下のサイトにある鼻の解剖図がわかりやすい(PC推奨。スマホで開くとログインを求められます)。

気道管理:ファイバー挿管(意識下または鎮静状態) - Procedures CONSULT JAPAN

鼻の穴のかなり奥の方に、カタツムリのような穴がある。この図で「咽頭鼓室管口」と示されている部分が、いわゆる「耳管咽頭口」と呼ばれる場所(※1)。鼻と耳をつなぐクダ(耳管)の入り口で、穴の先は鼓膜につながっている。

耳管咽頭口はふだんは筋肉で調整されて塞がっている。でも、外気の気圧と鼓膜内部の気圧を調整するとき、この耳管咽頭口が開く仕組みになっている(※2)。耳がキーンとなった時に、あくびをするとなおるのは、この耳管咽頭口が開くからだ。

で、鼻うがい。おそらく、鼻をつよくかんだり、洗浄中に上を向きすぎると、この口から洗浄液が耳の方へ行ってしまい、鼻の中の雑菌を含んだ洗浄液から菌が繁殖して中耳炎になるおそれがあるんだろう。

また、先述の解剖図を見ての通り、鼻の鼻は食道と気道につながっている。通常は、鼻から吸った空気は気道(肺)へ、口からの食べ物などは食道(消化器)へ移動するようになっているので、洗浄液を鼻から吸い込もうとすると、気道の方へ行ってしまうことがあるのかもしれない。

 

色々不安ならスプレータイプとかにしてもいいかもね

海外では、鼻うがいは「nosal irrigation」「sinus rinse」「saline nasal wash」などと呼ばれている。医療系ウェブサイト「Web MD」でも、副作用の項目に「感染症に係った報告がある」と注意書きがあるが、それは水道水を洗浄液として使ったためだとも書かれている(※3)。また、代表的な商品と思われる「Neil Med Sinus Rinse」の注意書きにも、中耳炎や気管支については記載がなく、かわりに洗浄液の衛生を保つように警告する記載が目立つ。海外の商品は、鼻から入れて口から出す「ハナノアa」とちがい、片方の鼻から入れてもう片方の鼻から出すので、ちょっと事情がちがうのかもしれない。

ちなみに、日本国内の他の鼻うがい製品でも、口から出さないスプレータイプの「アルガード 鼻すっきり洗浄液」などには、中耳炎や気管支についての注意記載はない。ここらへんの事情、詳しい人は教えてください。

とりあえず、いろいろ不安な人は「ハナノアa」のような口から出すタイプ以外のものを選んでもいいのかもしれない。

 

使うなら説明書をよく読んでからがいいと思うよ

と、いろいろ怖いことを書いてしまったけど、個人的には、鼻うがいで中耳炎になったとか、肺炎になったとかいう話は聞いたことないので、あまり心配しなくていい気がしている。

かくいうぼく自身、最近初めて「ハナノアa」で鼻うがいを試して、ちゃんと説明書を読まなかったため、洗浄後に強くチーンと鼻をかんでいた。いまのところ、大丈夫みたいです。でも、あとで説明書を読んでちょっと恐くなったので、良い子は説明書通り、正面を向いて洗浄液を注入し、終わった後は鼻を強くかんだりしないようしたほうが無難だねという話。

 

 

※1右書籍より。Amazon.co.jp: ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス 原著第2版: Neil S. Norton, 前田 健康: ヘルス&ビューティー

※2右書籍より。Amazon.co.jp: これでわかる! 人体解剖パーフェクト事典: 伊藤 正裕, 中村 陽市: 本

※3Error 500

※4Sinus Rinse Refill Packets 100 ct.

※5http://jp.rohto.com/~/media/com/rohto-alguard/nose-wash/4987241101641.pdf