読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

機能性表示食品を批判して訴えられる?~FOOCOMと東洋新薬の争いを見ながら~

f:id:kuriedits:20150711185218p:plain

撤回・削除・謝罪

機能性表示食品を批判していた消費者団体「FOOCOM」に、メーカー側から「撤回・削除・謝罪」を求める文書がきたらしい。FOOCOMが自分のウェブサイトで公表した。FOOCOM側は撤回も削除も謝罪もしない方針。コチラ↓

 

教えて!弁護士ドットコムさん

「え?機能性表示食品って、ネットで批判するとメーカーから訴えられるの?」

と不安に思われるかたもいるかもしれない。うーん、どうなんでしょうか。とりあえず、いまをときめく法律相談サイト「弁護士ドットコム」さんに聞いてみましょうか。朝日新聞出身の亀松太郎さんがニュース編集長を務め、いまやヤフトピの常連になった法律関係のウェブサービス。ここに質問を投稿してみました。回答があったら、後日報告します。

 

個人ブログは大丈夫でしょ

とりえあえず、ぼくは個人ブログで特定の製品を批判したり批評したりしても、メーカーから訴えられることはまずないと思っている。FOOCOMと東洋新薬の問題も、訴訟には発展しないだろう。

今回の件をサラッと説明すると、まずFOOCOMが、機能性表示食品を独自に調べ、いくつかの商品についてその疑義を消費者庁に提出した。

それに対して、肌の保湿力を高めるという「メディスキン」という商品を扱う会社東洋新薬が、FOOCOMに配達証明で「撤回・削除・謝罪」を要求した。

FOOCOMは、いずれの要求も拒否することを内容証明で東洋新薬に回答した。

 

 配達証明内容証明

もうちょっと詳しく見ていく。

東洋新薬が行った「配達証明」とは、一般書留とした郵便物や荷物を配達した事実を証明するサービスだ。郵便物は確実に送りましたよ、と郵便局が証明してくれる(※1)。のちになって受け取り側が「そんな郵便物受け取ってません」という齟齬を防ぐことができる。

FOOCOM側が行った「内容証明」は、一般書留郵便物の内容について証明するサービスだ。「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。」というのが日本郵便の説明(※2)。仮に裁判になったときは、「このような文を相手に送った」という証拠になるので、これから裁判を起こすことも辞さないという姿勢をみせることができる(※3)。

 

内容証明はよくあること

ぼくの感覚だと、メディア側が批判したメーカーや団体から証明付で抗議文が送られることは珍しくない。実際、ぼくが以前所属していた編集部にも、記事中で批判した大企業から内容証明が送られてきたことがあるし、同業他社に批判記事を書かれたときは相手に送りつけたこともある。

内容証明を送られたからといって、なにかとんでもないことがおきるわけではない。ぼくは法律の専門家ではないので、詳しいことはわからないが、内容証明自体に法的な意味はほとんどなく、一種の意見表明のようなものであることは、複数の法律事務所のウェブサイトでも解説されている(※4)。これはぼくの見てきた実態と一致する。

内容証明からすぐに訴訟に発展するわけでもない。裁判を起こす気がなくても相手にプレッシャーをかけることを目的に内容証明を送るケースもある(むしろこれが通常では?)。

 

FOOCOMのケースは少し特殊

今回メーカー側が抗議したのは、FOOCOM.NETという媒体が一定の影響力を持っていること、そして消費者庁に疑義を提出するという実際のアクションを起こしたという事情によるものだとぼくは思う。

個人ブログなどで機能性表示食品を批判している人が、FOOCOMのような謝罪要求を受けることはまずないと考えられる。よほどの事実誤認や名誉を棄損するようなことを継続して書いていない限り心配しなくていいだろう。

企業にとっても訴訟はリスクが伴う行為だ。書籍や週刊誌などで執筆している個人に対して、大型の訴訟を仕掛けた大企業はある。これらは勝訴することではなく精神的圧力をかけることを目的とした「スラップ」「恫喝的訴訟」と呼ばれているが、結果としてその企業のイメージを大きく損ねている。

恫喝的裁判は2000年ごろから問題になり始めそうたが(※5)、同時に、消費者側に警戒感も植え付けたように思う。企業が無名のブロガーを訴えたら、世間から”企業圧力”だとみられる可能性がある。そんなリスクを負ってまでわざわざ仕掛けるには、よほどの理由が必要になる。

 

今後はどうなる、どうするべき?

ネットコンサルティングが書いた書籍「ネット風評被害」(薮崎真哉著)によれば、仮に、ネットの情報により商品の売上が落ちたとして損害賠償を請求するとしても、企業側は、売上の落ち込みがネットの風評被害であることを裁判所に立証しなくてはならない。これはとてもむずかしく、また金額を特定することも簡単ではないという。また、日本はアメリカとちがい、懲罰的慰謝料が認められていないので、名誉棄損による損害賠償を求める場合でも、得られる金額は要求よりもかなり少なくなるそうだ。

とはいえ、企業がその気になればブログを訴えられるのも事実。FOOCOMと東洋新薬の争いは、まったくの他人事だと傍観することもできない。ダラダラと結論のないことを書いてしまったが、この話、もう少し続ける。

 

 

  

※1配達証明 - 日本郵便

※2内容証明 - 日本郵便

※3書籍「ネット風評被害」より

※4ググってください。すぐ見つかります

※5書籍「ブラック企業ビジネス」より