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機能性表示食品を批判して、メーカーから抗議がくる。どこまで許せる?

その他の製品 時事問題

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企業の気持ちもわかるっちゃあ、わかるけど・・・

前回の続き。FOOCOMと東洋新薬、どちらが正しいかと判断することはとても難しい。両方の主張を読んだけど、それぞれ一理ある。読み手や立場によって解釈が分かれる(「同一性」と「同等性」のちがいは、東洋新薬の言うとおりだと思うけど)。

はてなのブックマークでは、いろいろなコメントが寄せられていて、いまのところFOOCOM支持の意見が多い。

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.foocom.net/special/12929/

ほかのかたもいろいろ書いていて勉強になる。

Wikiと、削除・謝罪要求と。: 薬剤師kittenの雑記帳

こえ~…追記しました。 - パパ薬剤師の日々彼是

 

東洋新薬のフシギな手法

今回とても不思議なのは、なぜ東洋新薬はFOOCOMに突然、自社の法務部を通じて撤回要求の書面を送りつけたのかということだ。

自社製品を批判された東洋新薬が、FOOCOMに反論するのはわかる。一生懸命働いている従業員のことを考えるなら、その努力に報いるためにも、名誉のためにも反論すべきだとぼくは思う。ぼくが社員ならそうしてほしいな。

でもね、それにはいろいろなやり方があるんですよ?

たとえば、ぼくが考える一般的な方法としてFOOCOMに書面で抗議する前に、「誤解があるから説明したい。面談の機会がほしい」と伝える方法がある。

面談したくないなら、自社のサイトで反論を展開する方法もある。自社サイトでは世間に主張が届かない場合は、SNSや既存メディアを使って「FOOCOMは我々に謝罪すべきだと思う」と意見してもいい。

シンプルに反論の書面を送ることも当然アリだ。でも、いろいろなやり方がある中で、今回東洋新薬が行ったのは、単なる反論ではなく、法務部を通じた「撤回・削除・謝罪」という要求だった。

 

圧倒的な資本力の差。これが現実

法務部を通じた要求が、なにを意味するか、ちょっと想像したい。

東洋新薬は、健康食品や化粧品の企画・設計・製造をしている会社だ。資本金5000万円、従業員数660人、年間売上高110億円(※1)。一方のFOOCOMは科学的根拠をもとに消費者に情報提供することを目的にした一般社団法人で、運営者は2人、中立性を保つためにメーカーからの広告は受け付けず、会員から集めた会費で運営していて、直近の決算報告では年会費収入は550万円(※2)。東洋新薬は決して大きな企業ではないが、FOOCOMと比較すると、人員も、財務も何十倍も勝る。

このような圧倒的な資本格差がある場合、会社の法務部を通じた謝罪要求、撤回要求は、受け取った側には大きな圧力となる。だって、資本力のある企業側がその気になれば、裁判を長期化させ、資本力のない相手側を事実上活動不能にさせることができるんだから。

 

「要求」が「圧力」に変わってしまう

ちょっと想像すればわかることだ。資本力で圧倒する会社が、自社の法務部を通じて相手に直接「撤回・謝罪しなさい」と”要求”するなら、その要求は圧力となり、「論」ではなく「資本力」で相手の動きを縛ることになる。たとえ、メーカー側ににその気がなくても。メーカーにそのつもりがないのなら、なおさらにお互いにとって不幸だね。

いろいろな抗議方法があるのに、なぜか東洋新薬は、圧力効果の高い手法をとった。ここが重要だとぼくは思う。東洋新薬は、のちに自社ウェブサイトで「消費者や専門家の間で活発な議論することには異存はない」(※3)みたいなこと言っているけど、それならどうして今回のような手法をとったのか、この説明もほしいなと思う。

 

これにて一件落着・・・か?

今回の出来事は、企業側から配達証明が届いたことをFOOCOM側がわざわざネット上で公表したことで明らかになった。

FOOCOMが、配達証明で抗議を受け取ったのが7月3日。FOOCOM側は、弁護士と相談して、6日付で回答(反論)を内容証明で送付。そして、8日には、ネット上で「株式会社東洋新薬から謝罪と削除の要請がありました」と世間に公表した。翌9日、こんどは東洋新薬が自社のウェブサイトに、FOOCOMの回答に対する見解を発表した。

インフォメーション|株式会社東洋新薬

これを読めばわかる通り、メーカー側はかなり控えめのトーン。この問題は、おそらくこれで一件落着となるだろうけど、FOOCOMはさらに10日、有料メルマガで、一連の出来事を語っている。これが非常に考えさせられるので紹介したい。

 

対処費用に数十万円

今回、FOOCOM側は、企業側が法務部から文書を送ったことから、法的に対応したほうがよいと判断し、弁護士を代理人として立てた。おそらくそのためと思われるが、一連の対応に数十万円の費用がかかる見込みだという。この経費は、会員からの会費ではなく、事務局(といっても2人だが)が団体設立時に出資したところから”特別会計”として出すという。つまり、会員のご負担ではなく、自腹を切るということだ。

これはどういうことか。

 

検証コストはだれが負担する?

大前提として、機能性表示食品の安全性や機能性は、メーカーの責任で表示していて、国は担保していない。だから、消費者はいろいろな情報を自分で集めて、商品の妥当性を判断しなくてはいけない。でもそれは、実際にはかなりな難しい。

そこで、FOOCOMという民間の消費者団体が、安全性と機能性を検証して、消費者庁に疑義を出して情報を公開した。安全性と機能性の担保に、FOOCOMが時間と労力を費やし、コストを払ったともいえる。

そしたら事業者から抗議が来た。そして、FOOCOM側のコストはさらに積まれることになった。

これが、今回の事案を別角度から見たときの事実であるとFOOCOMの編集長は書いている。そして、「FOOCOMの対応を知り、『やっぱり、製品の個別評価など止めよう』と思った科学者もいることでしょう」と懸念している。

あくまでFOOCOM側からの見方ではあるが、当事者ならではの視点ではある。

みなさんはどう考えるだろうか?

 

 

※1会社概要および、こちらのサイトより

株式会社東洋新薬 新卒採用|リクナビ2016|学生のための就職情報サイト

※2会員向け決算報告書より

※3インフォメーション|株式会社東洋新薬