「健康第一」は間違っていても、ドラッグストアのことは嫌いにならないでください

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ドラッグストアと健康

そもそものハナシ、人はなんのために健康になるんでしたっけ?

ドラッグストアは、"健康を売る場所"と言っても過言じゃない。だから、名郷直樹さんというお医者さんが昨年書いた「『健康第一』は間違っている」という本は、ドラッグストアの立場とは相反するかもしれないと思ってたけど、読後よくよく考えるとそんなことはまったくなかった。コチラ↓

「健康第一」は間違っている (筑摩選書)

「健康第一」は間違っている (筑摩選書)

 

世間の常識を見つめ直そう

「『健康第一』は間違っている」は、いまの日本の過剰な健康志向に疑問を投げかけた本だ。名郷さんはこう書いている。

日本は、健康・長生きを達成した。その世界一のレベルで。かつて、スーパーコンピューター開発予算をめぐって、「二番ではダメなんですか?」と発言した政治家がいたが、健康・長寿に関しては「二番」どころか、「一番でもダメなんですか?」状態である。そして、どうやら一番でもダメなのである。これはやはり、何かが狂っていると言うほかない

社会全体が「健康=善」と思い込んでいる。けど、これは確かか?健康によいとされているものは、本当によいのか?名郷さんは、世間の常識を見つめ直す問いを立ててくる。

たとえば「喫煙率が下がると病気が減り、その結果医療費も減少して社会にとってプラスになる」という巷の言説。まことしやかにいわれているが、公的なデータをみる限り、喫煙率が下がり長生きする人が増えれば医療費はむしろ増える(そして社会保障費を圧迫する)という見方ができる。

あるいは、高血圧の薬や、健康にいいとされる生活習慣。多く人が脳卒中などを予防するために血圧を抑えようと気を遣っているが、たとえば50歳代の脳卒中発生率は、正常血圧の人で年率0.3%、高血圧(130mmHg以上)の人で1%程度だ(※)。ほとんどの人が、血圧が高かろうが低かろうが、脳卒中にならない。10年というスパンでみても、全体の90%は血圧に関係なく脳卒中にならない。生活習慣病とよばれるものの大部分は、生活習慣ではなく年齢がもっとも大きな要因であると名郷さんは指摘している。

そうだからといって、健康にいいことなんてやめてしまえ!という風にはならないのが、ぼくがこの本の好きなところ。物事が良いとか悪いとかいう見方は、つまるところ価値観や捉え方によるのだと繰り返し書かれている。

 

健康追求の目的は?

さて、ぼくらはどうして、何のために健康を求めるのか。

健康は大切だ。痛いのはいやだ。でも、いくら努力しても永遠に健康を維持することは不可能だ。今日健康であることが、明日も続く保証はどこにもない。

先日、紹介したペイシェントサロンで”患者側”の鈴木信行さんが、

「病気になったらなったで、別にいいじゃんって思うんですけどねー」

といったことを紹介したけど、この言葉を聞いた時ぼくは、なるほどな、健康追求の目的は健康そのものではなく人生を豊かに生きることであるのだな、と感じた。

じゃあ、人生を豊かにするものって何?

 

堀江貴文さんと佐々木俊尚さんの共通点

ホリエモンこと堀江貴文さんは、彼の書籍を読んだことのない人には意外に思われるかもしれないけど、とても人と人との繋がりを大事にしている。時代の寵児と言われビジネスでの大成功から一転して刑務所に入る人生の辛酸をなめた堀江さんは、お金の繋がりではなく、1人の人間同士の繋がりを大切にしているそうだ。実際に大切にしているかどうかはしらないけれど、そういうふうに堀江さんは考えている。

ネット社会について多くの著書を持つジャーナリストの佐々木俊尚さんは、「自分でつくるセーフティネット」という本を昨年上梓して、終身雇用がなくなったり既婚者数が減ったりしている今の時代は、他者とのゆるい結び付きが自分を守るもの(セーフティネット)なのだと語っている。

自分でつくるセーフティネット~生存戦略としてのIT入門~

自分でつくるセーフティネット~生存戦略としてのIT入門~

 

 

健康よりも人との繋がりが大事かもしれない

佐々木さんの本を読んだ時、ぼくは佐々木さんと堀江さんという、一見そりが合わなさそうな人物が、人と人との繋がりが人生を助けてくれる(それはビジネスではなく)、という点で一致していることを知った。ようするに、これは普遍的な考えなのだろうと思った。そして、ここで注目したいのは、健康云々の話はでてこないということだ。健康よりも大切なものがあるという意味で、健康第一は間違っている、というのは正しいのだと思う。

 

だからドラッグストアを利用する

ようするに、誰もがわかっていることだけど、周囲の人たちと仲良くしたり、毎日を大切に生きることが、幸せそのものだったりする。

ぼくらが健康を追求するのも、そのためだ。であるならば、ドラッグストアの出番がありそうだ。

ドラッグストアは、健康寿命を伸ばすのではなく、日々の生活を豊かで快適にする場所だ。頭痛の薬、肩こりの薬、花粉症の薬など、生活の質を高める商品がたくさんある。

ドラッグストアの薬は、いまある一時的な不快な症状を緩和する。心に少し余裕ができて、他人に優しくなれる。他人とよいコミュニケーションがとれて、自分の人生が豊かになる。それが人生の幸せじゃないだろうか。

だから、健康第一は間違っていても、ドラッグストアのことは嫌いにならないでください。なんて言ったら、これは言い過ぎだろうか。

 

 

自治医科大学のグループの報告(J epidemiol 2008 18(4)144-150)