『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

「栄養系」「炎症系」?朝にさす2つのタイプの目薬

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”朝専用”目薬なんてあるの?

若いお客から、

「朝にさす目薬ありますか?」

と質問されて困ったことがある。”朝専用”なんて缶コーヒーのワンダモーニングショットくらいしか思い浮かばないよ。

そもそも、どうして朝から目薬をさしたいのか。改善したい具体的な症状を教えてくれれば、こちらから提案できる薬はある。ところが、訊ねてみても、はっきりした答えが返ってこない。ぼくは窮して、

「朝専用の目薬はないのですけど、目を覚ましたいならメンソールなどが清涼感があっていいと思います」

とぼんやりした提案しかできなかった。

ところが、後日、”朝用”目薬を棚に見つけてしまった。お客さん、ごめんなさい。こんな商品あったのね。

 

目に栄養を与える「朝にさす目薬」

”朝に使う目薬”を謳う商品はいくつかある。ぼくが知る範囲で2つ紹介する。

1つ目は武田薬品工業から発売している「バイシン ウェイクアップキュア」。成分は次の通り。

・ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) 10mg→目に栄養を与える

・パンテノール(プロビタミンB5) 10mg→目に栄養を与える

・タウリン 100mg→目に栄養を与える

・塩酸テトラヒドロゾリン 3mg→充血をとる

・グリチルリチン酸二カリウム 10mg→炎症を抑える

・ネオスチグミンメチル硫酸塩 0.2mg→ピントを調節する

成分に特別なものはなく、どれも他の目薬でも使われている。成分量が多いわけでもない。

メーカーの説明によると、寝不足で目が充血している、まぶたが重いなどといった症状を改善するという。清涼感もバイシンシリーズの中で2番目に強く、スッキリとしたさしごこちらしい。

目の炎症を抑える「朝にさす目薬」

もう一つはロート製薬の「新緑水」。 この目薬の成分は、前出のバイシンと比べると、ずっと個性的だ。

内容は以下の通り。

・ベルべリン硫酸塩水和物0.0058%→炎症を抑える

・アズレンスルホン酸ナトリウム水和物0.02%→炎症を抑える

・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム0.5%→潤いを与える

・クロルフェニラミンマレイン酸塩0.03%→かゆみを抑える

総合すると、目の炎症やかゆみなどの不快感を取り除くことに適した目薬だ。目やに(老廃物)が出ている人にはおすすめできそうだ。

メーカーの説明では、「朝の不快感の原因のひとつは炎症」としていて、寝ている間に涙の量が減り、そのために炎症が起きて疲れ目やかすみにつながっているという。

朝、目やにが気になる時などの目薬「ロート新緑水(しんりょくすい)」新発売! | ロート製薬株式会社

 

充血を直接取り除く成分はほしいですか?

というわけで、朝にさすことをメーカーがPRしている目薬を2つ紹介した。大きな違いは次の通り。

・バイシンは目に栄養を与えることで不快感を取り除くタイプ

・新緑水は目の炎症を抑えることで不快感を取り除くタイプ

バイシンには充血を取るテトラヒドロゾリンが入っている。充血を取りたい場合には有効だが、女性客にはテトラヒドロゾリンのような血管収縮成分を嫌がる人がいるので注意。

 

朝に目薬をさしたい理由を、できるだけ具体的に店員に伝えよう

どっちが薬としてすぐれているのか、データがないので僕にはよくわからない。どちらも大差ないのかもしれない。共に朝用目薬としてPRしているが、もちろん昼でも夜でも使って構わない。朝に特化しているように宣伝しているのは、利用者にインパクトを与えるための販売戦略ですから。

症状によっては、上記の2製品以外のほうが、よりリーズナブルかつ症状にあうこともあるだろう。

以上を頭の片隅に入れた上で、朝に目薬をさしたい人は、使う理由をはっきりと店員に伝えることをお勧めしたい。充血が気になるのか、目やにが多いのか、まぶたが重いのか。具体的に伝えた方が、具体的なアドバイスがもらえると思う。