睡眠改善食品「グリナ」のちょっとした間違いについて

f:id:kuriedits:20160215204357p:plain

広告の中におかしなデータが・・・

さいきん、ツイッターをやっていると、「グリナ」という商品が時々タイムラインに入ってくる。味の素が発売している機能性表示食品だ。主成分であるアミノ酸の「グリシン」が、深い睡眠を促し、朝起きた時に疲れがとれるらしい。

ご愛用者は100万人突破!

85%の方が深い眠りを実感!

睡眠・休息サポートサプリメントNo.1!

そう広告に書いてある。効果を実証した科学的データもあるという。ほう。

どんなデータなんでしょう。先日、ひとりの薬剤師さんが調べてみた。そしたら、広告の中に意外な間違いを発見してしまった。

campaign.ajinomoto-kenko.com

 

効果のデータがちがうみたいですけど・・・

広告のミスを発見したのは、ミニ丸さんという薬剤師さん。自身のブログで「グリナ」を取り上げた。

こちら↓

ph-minimal.hatenablog.com

メーカーは広告の中で、グリナで睡眠が改善したデータを載せている。どんなデータなのか。ミニ丸さんは広告に載っているグラフの元の論文を読んだ。

そしたら、あることに気づいた。

論文のデータと、広告に載っているデータがちがう。

グリナを飲んだ人たちと、飲んでない人たちの睡眠の満足度を5段階で表したグラフがある。睡眠満足度を0~4で表すと、広告では、グリナを飲んだ人たちで「3.5」、飲んでない人たちで「2.2」くらい。その差は1.3だ。

ところが、論文のデータでは、グリナを飲んだ人たちでは「3.5」、飲んでない人たちは「2.7」くらい。その差は0.8である。

広告のグラフの方が、効果が大きくなっている。

 

「神対応」だったクレーム対処でした

ミニ丸さんのブログを読んだぼくは、さっそくメーカーにメールで質問した。

メールを送信したのは、ブログがアップされた日(火曜日)の夜7時ごろ。返信は2日後の午前10時30分に来た(ちなみに建国記念日の日)。

 メールには、

・広告のグラフは誤りであること

・至急修正すること

・担当者を厳重注意したこと

・今後、誤解がないよう十分に留意して広告をつくること

・不安な気持ちにして申し訳なかったこと

・指摘(クレーム)へのお礼

などが書かれていた。

一読して唸った。すごい!このお詫びメールには、クレーム対応に必要な要素がすべて揃っている。それは、誤りを率直に認めること、至急対応すること、担当者を叱ること、再発防止に努めること、不快にさせてしまったことへのお詫びの言葉、そして「指摘してくれなければ気づかなかった」と感謝を伝えることである。

”お詫びに必要な要素”を余すことなく書かれた実に見事な文章だ。味の素さん、さすがいい仕事されますなあ。「グリナ」の広告には別のパターンがあり、そっちはグラフは元データ通りである。だから、今回の間違いは単純なミスだとぼくは思っている。誰だって、間違いはしますよね。担当部長さん、あんまり担当者を怒らないでね、初犯なら。

つまづいたっていいじゃないか、人間だもの(みつを)。

くだんのグラフの誤りは、今日15日の夜、ついさきほど修正された。

 

誰がミスに気づけるのか

グリナは「味の素KK健康基盤食品」というブランドの一つだ。同社のブランドサイトによると、特徴は「新しい健康素材」であること、そして「科学的なエビデンス」があることだと書かれている(※)。

”科学性”をアピールする大手メーカーの広告だからといって、信用してはいけない。味の素に限らず、担当者が意図する、しないにかかわらず、誤りは起きる。問題は、その誤りに気づく人が、いまの日本にはほとんどいないことだ。だって、ほら、広告の内容なんてみんな信じるじゃない。

「簡単に信用しちゃだめ」「自分のアタマで考えよう」ってことを念頭に置きながら、薬や健康食品に向き合い仕事をしているのが薬剤師という人々である。少なくともそれが理想とされている。

ミニ丸さんは偶然、広告のミスに気づいたわけだが、今回の”気づき”は、薬剤師の職能をよく表していると思う。

 

味の素KK 健康基盤食品とは | 味の素KK 健康基盤食品 | 味の素KK 健康ケアオンラインショップ ~通販限定の健康ケア食品を販売~