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ドラッグストアの漢方薬と、病院の漢方薬が同じじゃない理由

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市販の漢方薬=病院の漢方薬?

「病院で出される漢方薬と、市販の(ドラッグストアで売っている)漢方薬って、同じなんですか?」

とお客から聞かれることがある。初めて質問された時は、戸惑った。あれ?どうだったっけ?

漢方薬は、「生薬」と呼ばれる植物などを原料にして作られる。そこで、各製品に使われている生薬の量を調べてみた。といっても、製品の箱に書かれた成分表を見ただけだけど。

結論からいうと、市販薬と医療用とでは、使っている生薬の量が同じものもあれば、ちがうものもあった。

「医療用と市販用では、同じ生薬でも産地などがちがうのではないか?」とも思ったので、大手数社に確認したところ、使っている原材料は医療用も市販用もまったく同じとの回答を得た(※1)。ここはとりあえず、メーカーの回答を信じることにする。

せっかくの機会なので、漢方薬の成分表の見方を紹介したい。知っておくと便利だと思う。

 

漢方薬の成分表の読み方

漢方薬って、ちょっとわかりにくい。商品の箱に書かれた成分表を見たことがあるだろうか。見ればわかるが、正直もう、ここからして、ふつうの薬と違ってイミフである。

漢方薬の成分表には、使われている生薬の種類と量、そして抽出量が書かれている。

たとえば、こう書かれていたとする。

本品2包(5.0g)中、下記の割合の葛根湯エキス(2/3量)2.5gを含有します。

日局カッコン 2.68g 日局タイソウ 2.01g 日局マオウ 2.01g 日局カンゾウ 1.34g

日局ケイヒ 1.34g 日局シャクヤク 1.34g 日局ショウキョウ 1.34g

これをザックリ翻訳すると、こんなかんじ。

カッコンやタイソウなどの生薬を上記の量を用意し、それを水で煮出して成分を抽出させる。煮出した液体から水分を蒸発させて濃縮化し、さらに乾燥させて、インスタントコーヒーのような状態で2.5gにする。そこに、乳糖などの添加物を入れて、全体で5gにした(※2)。

つまり、成分表に書かれた生薬の量を見れば、その漢方薬に含まれる有効成分の量の多少がわかるってこと。

 

ツムラの葛根湯と小青龍湯は医療用より少ない

じっさいに市販用と医療用の漢方薬を見比べてみる。

有名どころツムラの葛根湯をみると、市販の葛根湯に含まれる生薬成分は、医療用の成分の2/3に相当する。

【第2類医薬品】ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒 24包

【第2類医薬品】ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒 24包

 

 鼻水に効く小青龍湯は、市販用は医療用の1/2の成分量になっている。

【第2類医薬品】ツムラ漢方小青竜湯エキス顆粒 64包

【第2類医薬品】ツムラ漢方小青竜湯エキス顆粒 64包

 

たぶん医療用の方が薬としては優れているといえそうだ。

 

クラシエの葛根湯は医療用と同じ

もうひとつ有名どころとして、クラシエの漢方薬を見てみる。

クラシエから発売している葛根湯はいくつか種類がある。

これは医療用とまったく量の生薬を使っている。

【第2類医薬品】葛根湯エキス顆粒Aクラシエ 10包

【第2類医薬品】葛根湯エキス顆粒Aクラシエ 10包

 

 いっぽう、こちらは医療用の3/4の量になっている。

【第2類医薬品】葛根湯エキス顆粒Sクラシエ 30包

【第2類医薬品】葛根湯エキス顆粒Sクラシエ 30包

 

クラシエの小青龍湯にも、医療用と同じものと、量が少ないものがある(※2)。

 

基本的には使っている生薬も抽出方法も同じ

 「市販用と医療用では、使っている生薬の産地や、抽出方法がちがうのではないか」

という疑問があったので、ツムラとクラシエに確認したところ、両社とも使っている生薬も抽出方法もまったく同じであるという回答を得た。

実際、生薬量から抽出率を計算してみると、ツムラの葛根湯(約20%)も小青龍湯(18.5%)も、クラシエの葛根湯(約20%)も小青龍湯(約19%)も、医療用と市販用で一致しているので、これも市販用と医療用が同じ抽出方法であることを示していると思われる(※3)。

というわけで、あらためて結論。

市販と医療用の漢方薬では、同じものもあるし、違うものもある。くわしくは薬剤師に聞いてみてほしい。

ただし、漢方薬の製法や品質評価はめちゃくちゃ奥が深いので、ふつうの薬剤師にはわからないことも沢山あると思う。正直、ぼくもよくわかってない。ディープな話を聞きたい人は、「漢方薬局」と呼ばれるお店に行くことをお勧めする。そこには、漢方に魅せらせたマニアたちがいる。

 

 

※1ツムラ、クラシエ、コタローに確認。ただし、コタローについては、原料は同じだが、製造方法には少し違いがありそうだ。製造ラインがちがうらしい。葛根湯の医療用と、ハピコムの市販用で抽出率が大きく異なる(5%以上ちがう)理由をかつてコタローに質したことがあるが、あいまいな回答しか得られなかった。この会社は情報が開示がオープンではないとぼくは思った。ツムラ、クラシエ、コタロー、サンワの葛根湯を調べたが、市販用と医療用で抽出率が異なるのはコタローだけだった。

※2漢方薬ができるまで:ツムラ

※3抽出率が漢方薬の品質をはかる目安の一つであることは、「漢方の主張」(成川一郎著)を参考にした