みんな大好き「カフェイン」との安全な付き合い方

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カフェインって危険なの?

「カフェインって、あまりとらない方がいいですか?」

とお客から聞かれたことがある。あ、えーっと、そうですね、最近、カフェインの取りすぎで亡くなった人がいる、みたいなニュースがありましたね。いや、カフェインが原因とは断定されてませんけど。

www.huffingtonpost.jp

 

「飲み合わせ」にも目を向けてみよう

カフェインで気をつけるのは、「飲み合わせ」と「量」、だとぼくは思っている。

「量」は注目されることが多いが、意外と忘れられているのが「飲み合わせ」だ。たとえば、薬剤師向け雑誌「日経DI」の今年3月号には、「カフェインと相互作用を薬剤・食品」という表に20項目近い薬が掲載されていた。

カフェインは興奮作用、利尿作用、胃酸分泌作用などたくさんの効果を持つ。これが思わぬ事態を引き起こすことがある。身近な例でいえば、飲酒時にカフェインを摂ると、アルコールの鎮静作用を隠してしまい、酔う感覚が薄れる。そのため、カフェインが切れると、急に酔いが回って急性アルコール中毒を起こす可能性があるそうだ(※1)。飲み会の前は、カフェインはとらない方が無難かもしれない。

また、市販の禁煙ガム(ニコチネルやニコレット)とカフェインを摂取する時は15分ほど時間をずらした方がいいとされている。カフェインは口の中のpHを下げるので、ニコチンの吸収量が減る(ちなみに炭酸やアルコールも同じ※2)。

カフェインの影響を受ける薬は他にもたくさんある。たかがカフェイン、されどカフェイン。持病を持っている人、病院で薬をもらっている人は、念のため薬剤師に聞いてほしい。

 

一日の摂取上限量は400mg

続いて「量」。カフェインを毎日摂っている人にとっては、どれくらいのカフェイン量が、危険なのか気になるところだろう。

カフェインの一日の上限摂取量はいかほどか。

残念ながら、国内に明確な数値は定められていない(※3)。ただ、内閣府の食品安全委員会が5年前に作成した資料(※4)によると、海外では健康成人で400mg/日(マグカップで3杯分)、妊婦では200〜300mg/日(同2杯分)が相場だ。外国人と日本人では体のつくりが異なるが、これらの数値は参考になる。

カフェインは、多くの風邪薬、栄養ドリンクに含まれている。カフェイン単品の薬「カフェロップ」「エスタロンモカ」が有名だ。

第一三共)カフェロップ 12粒

第一三共)カフェロップ 12粒

 

 

【第3類医薬品】エスタロンモカ錠 24錠

【第3類医薬品】エスタロンモカ錠 24錠

 

市販のカフェイン含有薬には、以下のカフェイン量が入っている。

カフェロップ:1回4粒、1日3回まで(無水カフェインとして500mg)

エスタロンモカ:1回2錠、1日2回まで(同400mg)

市販薬のカフェイン薬だけで、一日の上限摂取量に達してしまうか、超えることがわかる。カフェイン薬を飲んだ日は、お茶やコーヒは控えた方がいいかもしれない。

 

カフェインの感受性には個人差がありそうだ

1回量としては、成人の場合で1000mgを超えると、中毒症状の可能性があるといわれている(※5)。1000mgというと、相当量のコーヒーを飲まなければ達しない量だ。安心?

でも、カフェインへの感受性は個人差があるから、1000mg以下であれば絶対大丈夫ということではないことは注意されたし。

最近読んだ「内科医のための不眠診療はじめの一歩」という本に、睡眠Q&Aというコーナーがあり、「カフェイン飲んでも爆睡しちゃう。効き目には個人差があるの?」といった質問があった。本書によると、カフェインの効き目には個人差が大きいことは古くから知られているという。カフェインの薬理作用の一つに、アデノシン受容体阻害作用というものがあるのだけど、これの受容体の遺伝子による個体差が関与しているのではないかという研究があるそうだ。

カフェインの効果には個人差がある、というのは、なんとなくそんな気はする(まあ、個人差のない薬なんてないですけどね)。うちの奥さんは、カフェインを飲むと夜中にトイレで起きてしまうそうで、夜はカフェインを取らない。ぼくは全然そんなことないのだけど。

個人差があるということは、少量のカフェインでも、副作用が起きる人がいるということだ。

ようするに、摂取量ばかりに気を取られず、自分の体の状態を見ながらカフェインを摂取したほうがいいってことだと思う。

カフェインの受容体の遺伝子にご興味ある方は、こちらどうぞ(全文は有料)。

A Genetic Variation in the Adenosine A2A Receptor Gene (ADORA2A) Contributes to Individual Sensitivity to Caffeine Effects on Sleep - Rétey - 2007 - Clinical Pharmacology & Therapeutics - Wiley Online Library

内科医のための 不眠診療はじめの一歩〜誰も教えてくれなかった対応と処方のコツ

内科医のための 不眠診療はじめの一歩〜誰も教えてくれなかった対応と処方のコツ

 

 

まだまだわからないことが多いカフェイン

日本人よりもはるかにコーヒーを飲むアメリカでは、カフェインの議論もずっと盛んだ。数年前に、米国精神医学会の新基準で、「カフェイン中毒」が診断名に加わったそうだ(研究対象の診断名として)。カフェイン粉末(カフェインを粉末状で高濃度摂取する商品)で死亡した、という報道も過去にあった。海外の記事を読んでいて、門外漢のぼくが感じるのは、「カフェインって、まだわかってないことが結構あるんだな」ってことだ。実際、カフェインが体に良いとか、悪いとか、そういう論文はたくさんある。

jp.wsj.com

jp.wsj.com

究極の「カフェインとの安全な付き合い方」

ぼくといえば、最近はデカフェ(カフェイン抜き)緑茶を飲んでいる。ちょっとでも熟睡できるように。正直、通常の緑茶より味は落ちるけど(というかほとんど別モノかも)、寝る前に飲みたいときに重宝している。

YOGI TEA ヨギティー ピュアグリーンデカフェ 16袋x6個

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 スタバでは、カフェイン抜きのコーヒーを注文することができるらしい。興味ある人は試してみて。これぞ究極の「カフェインとの安全な付き合い方」だ。いや、「別れ方」か。

gigazine.net

 

 

 

※1日経DI2016.3に掲載。参考文献はCur Med Chem 2015;22:975-88

※2禁煙を助けて、かなえる 禁煙補助薬のニコチネル ニコチネルQ&A:ノバルティス ファーマ株式会社

※3ここでは内閣府の食品安全員会を指す

※4https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf#search='食品安全委員会+カフェイン':image=https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf#search='食品安全委員会+カフェイン'

※5日経DI2016.2で紹介。参考文献は「第12改正日本薬局方解説書」と「グッドマンギルマン薬理書上巻第9版」。