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「バンテリンクリーミィーゲル」の特徴と注意点

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バンテリンのクリーミィーゲル

「『バンテリン クリーミィーゲル』って、どんなかんじですか?」

と、お客に質問されて困ったことがある。”クリーミィーゲル”ですか。おいしそうな名前ですよね。え?そうじゃなくて?

【第2類医薬品】バンテリンコーワクリーミィーゲルEX 60g

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「クリーミィーゲル」ってどんな?

バンテリンには、いろいろ種類があって、シップはもちろん、「液」「クリーム」「ゲル」そして「クリーミィーゲル」などがある。

「液」と「クリーム」は、たぶん、誰でも想像がつくだろうから説明はいらないだろう。

「ゲル」というのは、半固形の状態だ。柔らかいゼリーのイメージに近い。市販の塗り薬には、わりとよくあるタイプでもある。

して、「クリーミィーゲル」とは?

これはかなり珍しい。白濁でゲル状になっている

見た目のちがいはこんななかんじ↓。上がクリーム、下がクリーミィーゲル。

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”いいとこどり”したって本当かな?

さて、一応、メーカーに聞いたところ、クリーミィゲルとは、「クリーム」と「ゲル」の”いいとこどり”をしたものだという回答だった。

「クリームのように伸びがよく、ゲルのようにサラッとしてる商品です」

たしかに、クリーミィーゲルはクリームのように伸ばしやすいので、塗りやすい。そのうえ、ゲルのように、サラサラしていて、塗った手がベタつくこともない。使用後に水で手を洗わなくても、不快感はまったくない。

なるほど、この長所は”いいとこどり”なのかもしれないけれど、注意したい点もある。

 

サラサラしているから注意

まず、利便性。クリーミィーゲルはサラサラしていて、ベトつく不快感がない。かといって、使用後に手を洗わなくてもいいかというと、そうではない。薬のついた手で目をこすったりすることは、薬の成分が目についてしまい、たぶんよくない。この薬は目に塗るものとしてつくられていないし、実際、バンテリンの箱には

「本剤のついた手で、目など粘膜に触れないでください」

「使用後は手を洗ってください」

と書かれている。だから、手がベタつかなくても、結局、手は洗わないとダメなのだ。むしろ、サラサラしすぎて、手を洗うことを忘れてしまうのは、デメリットではないかという見方もあるだろう。

それから、におい。クリームはあまりにおわないが、クリーミィーゲルは明らかにツーンとして匂いがある。

正直、クリームタイプでいいんじゃない?とも思う。クリームタイプの方が、一派的に安く販売されているからだ。うちの近所では、同じ用量で前者が1180円、後者が1380円で売られている。有効成分はクリームもクリーミィーゲルも全く同じである。

 

クリーミィーゲルの利点

しいてクリーミィーゲルの利点を上げるなら、クリームよりも鎮痛効果が高い可能性が、なきにしもあらず、といったところだろうか。いやはやわかりにくい表現だ。

クリームとクリーミィーゲルでは、どっちが鎮痛効果が高いのか。鎮痛効果を比較したデータはないが、バンテリンに含まれる鎮痛成分「インドメタシン」については、ラットではゲルの方が親水軟膏(クリームだろう)よりも、皮膚と筋肉への移行率が高いという古いデータがある(※1)。ということは、クリーム<クリーミィーゲル<ゲルという浸透性が考えられる、のだけど、これは、あくまでも”考えられる”というレベルのものであって、正直わからない(※2)。ましてや、移行性が高い=薬効が高い、ではない。お客をガッカリさせてしまいそうだが、厳密にはわからないとしか言いようがない。

少々専門的な話をすると、薬剤の皮膚への浸透性は、一般的には「主薬の性質」「基剤(主成分以外の部分)の性質」により決まる。

塗り薬について複数の本を出している大谷道輝さんという薬剤師さんによると、水溶性の薬は、油性基剤であるワセリンに混ぜると、皮膚への浸透は高くなる。一方、脂溶性の薬は、どの基剤で浸透が高くなるかは一概に言えず、物性の全体のバランスで決まる(※3)。その理屈はとても複雑なので省略。「レジデント」という研修医向け雑誌の最新号(2016年5月号)でも、大谷さんは、ステロイド薬を挙げて、皮膚の透過は軟膏よりクリームがいいが、実際には軟膏の方が効き目がいいという報告もあるとして、どちらが効果に優れているとは書いていない。

 気になる人は、店頭の薬剤師に聞いてみてほしい。塗り薬についてよくわかっている薬剤師なら、ここに書いたことよりもよっぽどマシでためになる説明をしてくれるだろう。

最後に、メーカーのサイトにある説明ページをはっておく。

クリーミィーゲルは、オールマイティらしいよ。理由はよくわかんないけど。

hc.kowa.co.jp

 

 

※1「皮膚外用剤Q&A」より。元の文献は住友化学の社内資料

※2住友化学と、興和の製造ラインが異なり、基剤の種類も組成も違うなら、それも影響する

※3基礎からわかる外用剤 | マルホ株式会社