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日本人ばかり大量消費する市販薬③痛み止め「ロキソニン」ことロキソプロフェン(前篇)

解熱鎮痛薬

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外国人「ロキソニン?なにそれ」

日本でばかり使われている市販薬シリーズの第三弾ですよ。今回は、みんな大好き「ロキソニン」。ドラッグストアでは、最も有名な鎮痛薬の一つといっていい。

ところが日本以外の国では、どうやらそうではないみたい。

昨年、フィリピンのドラッグストアへ行ったとき、「ロキソニンはいくらで販売してますか?」と現地の薬剤師に聞くと、「なにその薬」みたいな顔をされた。

ぼくの発音が悪いせいかと思って、スペルを書くと、「売ってないよ、ソレ」とつれない。

「じゃあどんな鎮痛薬を売ってるんですか?」

「イブプロフェンやメフェナム酸(※1)です」

えまじすか?ロキソニンないの?

フィリピンみたいな後進国だからロキソニンがないんじゃないの?と思った人は、フィリピンのドラッグストアに行ってみてほしい。香港資本のアジア最大のドラッグストアチェーン「ワトソンズ」なんて、めちゃくちゃおしゃれできれいですよ。販売している薬だって、フィリピンの国内メーカーのものだけじゃなく、イギリスのメーカーも置いてある。フィリピンの市販薬は後進なんかじゃない。

drugstore.hatenablog.com

 

アメリカでは使われていない

日本ではおなじみのロキソニンだが、欧米の事情はちがうようだ。アメリカの巨大スーパー「ウォルマート」のサイトでロキソニンを検索しても(成分名「ロキソプロフェン」で検索)、なにも商品が出てこない。イギリスのドラッグストア「ブーツ」の検索でも、やっぱり一つも出てこない。

あれま。

勘違いしないようにいっておくと、ロキソニン(ロキソプロフェン)自体は、日本以外の一部の国で病院で処方されている。

ある調査によると、2007年にアジア6か国(日本・中国・韓国・タイ・インド・フィリピン)で外科医にアンケートをとったところ、ロキソプロフェンはNsaids(エヌセイズ)と呼ばれる鎮痛薬グループの中で、もっとも処方されている薬だったらしい。論文の全部を読んでないので、調査内容の真実味は置くが、日本以外でも使っている国はある。

www.ncbi.nlm.nih.gov

いつも中国情報を教えてもらっている穂さんによれば、中国では第一三共の子会社がロキソニンの飲み薬と貼り薬を作っている。ロキソニンの中国名は「乐松」という。

www.daiichisankyo.com.cn

 

ただ、である。世界中の論文が集まる「Pubmed」というサイトで「loxoprofen」(ロキソニンの成分名)を検索すると、最初のページに出てくる論文20個のうち、19個が日本人が執筆したものだ。え、関心あるの、日本人だけ?

アメリカの行政機関(FDA)のサイトを調べてもロキソプロフェンは検索にでてこない(※2)。世界的な出版社シュプリンガーの情報では、将来的には発売される可能性がありそうだが(※3)。イギリスの行政系サイトを見てもやはり検索にかからない。

 

「効き目が強い」「副作用少ない」で、いいことだらけ?

日本でロキソニンが発売したのは、1986年(※4)。ちょうど30年前だ。当時は医療用として、病院でのみ処方される薬だった。

その頃の医療界では、ロキソニンの登場は、どのように受け止められたのか。

国会図書館(国内で出版されたあらゆる雑誌・書籍があります)で、当時のロキソニンの記事を検索してみたが、あまりめぼしいものがでてこない。比較的まとめて取り上げているものとして、「臨床成人病」という専門誌の「新しい薬」という記事があった。順天堂大学の名誉教授が執筆している。記事によると、ロキソニンの特徴は、NSAIDSと呼ばれる類似の薬たちと比較して、

・鎮痛作用が強い

・効き目が速い

・安全性が高い(副作用が少ない)

であるという。すごい薬じゃないですか!どんどん世界中で使われてもいいんじゃないでしょうか!

 

だけども、世界で一番多く使われている市販薬の痛みどめは、この薬じゃない。おそらく、アスピリンかイブプロフェン、もしくはアセトアミノフェンだ。3つともロキソニンよりも古い薬である。

優秀なはずのロキソニンは、どうして世界で売られていないんだろうか?なんだかおかしいと思いませんか?

この話、もう少し続く。

 

 

 ※1商品名としてはdolfenalなどがある

※2FDAのサイトでロキソプロフェンを検索してもでてこない

※3 シュプリンガーのサイトでは、2015年12月で片頭痛に対してフェーズⅡとある。Loxoprofen - AdisInsight

※4https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/content/000023387.pdf