首に生えた柔イボ。その正体と治し方

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高額な治療費請求にご注意!

ドラッグストアでお客から、

「首のところにイボみたいのができてるんですけど、これってなんですか?」

という質問を時々受ける。ヒダのような、肌色の小さな突起。複数あることが多い。これ、なに。

イボの正体は「アクロコルドン」。やっかいな病気?いいえ。ご安心を。一種の老化現象です。え?まだ自分は30代40代で若いって?でも、老化です。

皮膚科医(※1)によると、一部のエステサロンでは切除の必要性を強く勧められ、高額な治療費を提示されるというのだが、アクロコルドンは無害な上に、病院で手術すれば数千円で済む。悪質なサロンには注意されたし。

 

首とワキにできることが多い

アクロコルドンは、加齢によって起こるとされる。グーグルの日本語のサイトではあまり情報がないので、ハーバードメディカルスクールのヘルスケア出版部門のサイトから引用すると、

・加齢によってできる

・同一家族内で見られる

・体重が増えたり、妊娠したりした後でできる

www.health.harvard.edu

ついでに、Medscapeという米国の医療情報サイトからも拝借。

・首とわきの下にできることが多いが、そのほかの部位にもできる

・通常は2~5ミリだが、5センチにもなるものもある

emedicine.medscape.com

 

市販薬で治すことは期待しない方がいいかも・・・

結論から言うと、アクロコルドンを治療できる効果的な市販薬ない。いや、あるかもしれないけど、その効果はあまり期待できないとぼくは思っている。

皮膚のデキモノに使う市販薬で有名なのは「ヨクイニン」だ。ハトムギのタネでできた薬で、昔からイボなど、肌のトラブル全般に用いられている。ヨクイニンがなぜ効くのかはわかっていないが(※2)、お肌をきれいにする効果があるといわれている。

【第3類医薬品】ヨクイニンエキス顆粒クラシエ 45包

【第3類医薬品】ヨクイニンエキス顆粒クラシエ 45包

 

ヨクイニンは病院でも処方してもらうことができる。医師が処方できるのはウイルス性のイボに対してだけ。アクロコルドンはウイルス性とは考えられていないので、保険での処方は認められていない。

 

ヨクイニンが効くかどうかは、あまり研究されてないぽい

で、このヨクイニンは、アクロコルドンに効くのか?残念ながら、ぼくにはよくわからない。世界中の論文が検索できるPubmedというサイトで検索して調べたが、一件も検索結果に出てこなかった。世間ではあまり熱心に研究されていないみたい。

ググっていると、皮膚科医の興味深いサイトがあった。

www.gohongi-beauty.jp

ヨクイニンがイボに効いた!という声は実際ある。ただ、実はここでいうイボというのは、一般的にはウイルス性のイボを指すことが多い。そして、ウイルス性のイボは、自然に治ることがある。ということは、ヨクイニンを飲み続けて「治った!」と思っても、じつは自然治癒しただけ・・・なのかもしれない。

ヨクイニンが首のアクロコルドンに効いた!という話は、ぼくは直接聞いたことはない。ちょっとググってみた。「首イボにはヨクイニン」と書かれたサイトはあるものの、情報元などがしっかりした信ぴょう性のある記述は見つけることができなかった。

まあ、害はないし、ひょっとしたら効くかもしれないし、お肌もきれいになるらしいので、飲んで健康に損はないとは思う。

 

スピールは使ってはいけない

ヨクイニン以外でお客から聞かれるのが、「スピール」という薬を使った治療。 スピールはサリチル酸という、皮膚を柔らかくする成分の薬。イボの治療薬として昔から有名だ。

【第2類医薬品】スピール液 6mL

【第2類医薬品】スピール液 6mL

 

残念ながら、スピールは首のアクロコルドンには使ってはいけないことになっている。メーカーの説明文章(※3)に、首などの皮膚の柔らかい部分には使ってはいけないことになっているためだ(また、ウイルス性のイボにも使ってはいけないとメーカー説明)。

じゃあ、仮に使ったらどうか、と聞かれると悩ましい。個人的には、スピールは皮膚を柔らかくするわけだが、アクロコルドンはもともと柔らかいので、さらに柔らかくしたところで、それだけでポロッと取れるなどの効果が期待できるのだろうか?という疑問がある。一方で、ウイルス性のイボに対しては、サリチル酸はもちろん、皮膚を柔らかくする尿素でも治ったという報告はあるので(※4)、ひょっとしたらアクロコルドンにも効果があるのかもしれない。ぼくは皮膚疾患にそれほど詳しくないのであくまでもそんな気がする、の話ではあるのだけど。まあ、いずれにしろ、この市販薬は皮膚の柔らかい部分には使ってはいけないことになっているので、ぼくがお客に勧めることはない。

 

病院なら2000円くらいで治療

じゃあ、どうしたらいいのか!簡単です。病院へ行きましょう。

いくつか治療法があるが、比較的簡単な方法の一つが液体窒素を用いるもの。液体窒素を綿棒の先に付けて、それを患部にジュッと当てる。1週間~2週間で黒ずんでアクロコルドンがなくなる。治療の痛みはほとんどない。

一回の治療では取れない場合もあるので、そういうときはまた病院で再診。もう一回ジュッとやる。治療費はアクロコルドンの数にもよるけど、数か所なら1回2100円(患者負担はこの3割なので630円)。これに診察代が自己負担で850円くらい別途ついて、合計1500円くらいだろうか(※5)。

 

とりあえず、薬剤師に聞いてみて

イボができたら、とりあえずドラッグストアの薬剤師に見てもらったらいいと思う。「あーこれはアクロコルドンかもしれないですね」という場合もあれば(薬剤師は診断はできません)、部位によっては「ウイルス性の可能性があるから、感染するので、いじらないで病院へ」と助言してくれることもある。

アクロコルドンを取るためにわざわざ病院へ行くのはおっくうかもしれない。そういう人は、皮膚科を受診した時に、「ところで先生、この首のイボなんですが・・」と相談すればいいと思う。アクロコルドンは、このような”ついで治療”が多い疾患らしい(※1)。

 

 

※1「ジェネラリストのための これだけは押さえておきたい皮膚疾患」

※2 コタロー「ヨクイニン」インタビューフォーム

http://www.kotaro.co.jp/iryou/seihin/if/if_tp072.pdf

※3 よくあるご質問|スピール™シリーズ|ニチバ

※4http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/180536.html

※5 私の家族の診療代がそうだった