遅れてきた進撃の巨人、アマゾンの第一類医薬品販売②

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医薬品のネット販売と法律の縛り

【第1類医薬品】ロキソニンSプラス 12錠 ※セルフメディケーション税制対象商品

【第1類医薬品】ロキソニンSプラス 12錠 ※セルフメディケーション税制対象商品

 

アマゾン社のドラッグストア「アマゾンファーマシー」は、人目を避けるような場所に店を構えました。

なぜか。

市販薬業界以外の人にはあまり知られていない事情がありました。

医薬品をネット販売するためには、リアル店舗を開設しなくてはいけないのです。そういう法律があります(薬機法)。たとえばオフィスビルの一室を借りて、薬の在庫を抱えてネット上だけで商売をする。これは現行法で許されていません。リアル店舗として週30時間以上の営業、資格者(薬剤師または登録販売者)の常時配置、相談カウンターの設置など様々な条件をクリアしなくてはいけません(※)。

全てのネット販売業者は、こうした条件を満たすリアル店舗をどこかに必ず持っているのです。

 

ネット販売に専念したいのに・・・

リアル店舗を用意した後、企業はどうするか。本来の目的であるネット販売に専念したいところですが、残念ながらそうはいかない事情があります。

ドラッグストアを構えたからには、店にお客が来きます。ネット業者にとって、リアル店舗への来客はあまり嬉しくありません。ネット通販と並行してリアル店舗を運営することは、経営効率を損なうからです。

 

アマゾンファーマシーは売る気がない!?

一般的なドラッグストアを運営しようとするなら、日用品や化粧品も揃えなくてはいけません。来店するお客に対する応対、レジ打ち、入荷作業も発生します。売り場面積を確保しようとしてテナント料も増します。

医薬品のネット販売にこそ注力したいのに、リアル店舗の店づくりに人員を要すことになるのです。

そこで企業はどう考えるか。アマゾンファーマシーの店内にその答えがあります。

リンク先にある「店舗の写真および陳列の状況を示す写真」を見てください。

Amazon.co.jp ヘルプ: 一般用医薬品、動物用医薬品に関する表示

とてもじゃないですが、ドラッグストアとは呼べない簡素な陳列です。店頭で売る気なし。もともと”来客”を想定していないことは明らかです。

だからこそ、お客がなるべく来ない場所を選び、主に倉庫として機能する店にするのです。

 

倉庫化している「ケンコーコム」「マツモトキヨシ」

これがアマゾンファーマシーが、人目につかない場所にある理由です。もちろん、ぼくはアマゾンファーマシーの社員ではないから、本当のところはわからないのだけど、おそらく間違ってはいないでしょう。

その証拠に、ネット販売を行うためにあえてひと気のない場所にドラッグストアを置くのは、アマゾン社に限った事ではありません。たとえば、医薬品のネット販売の先頭を走ってきた楽天傘下の「ケンコーコム」では、いくつかのドラッグストアの外観は倉庫そのものです。下記のリンク先の写真を見れば一目瞭然です。

ケンコーコム - 会社案内

また、ドラッグストア最大手「マツモトキヨシ」のネット販売の拠点である「薬マツモトキヨシ吉川旭店」の所在地(埼玉県吉川市旭6-3 AZ-COMロジスティックス3号棟)は、住所を見てのとおり正真正銘の物流倉庫です。

 

ドラッグストア業界の常識

いうまでもなく、すべてのネット販売業者の拠点が町はずれの物流倉庫であるわけではなく、あくまでその企業の経営戦略によります。ただ、もし企業が薬以外の日用品なども一緒にネット販売しようとするならば、それらをいっしょくたにした物流倉庫内部にドラッグストアを置くのが、物流コストを考えた上で最も合理的な判断になります。

アマゾンは、わざわざ沿岸部の人目につかない場所に店を立てました。ドラッグストア業界の常識からすれば、それは極めて自然な選択だと思います。

 

というわけで、アマゾンの第一類医薬品に関するブログ記事はまだ続きます。

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※厚労省「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/guideline_1.pdf