『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

【2017年版】ドラッグストア利用者は絶対知っておきたい市販薬ニュースTOP10

【この記事は2019/2/23に一部訂正しています】

2017年も残すところあとわずか。今年1年を振り返ると、新しい風邪薬が発売されたり、ユニークな目薬や漢方薬が登場したり、ネットビジネスに大きな動きがあったり、いろいろありました。今年最後の記事は、ドラッグストア利用者は絶対知っていただきたい出来事TOP10をご紹介します。

 

第10位 発毛剤「リアップ」に19年ぶりのライバルが出現!その意外すぎる顛末

”日本で唯一の発毛剤”をうたっている水谷豊さんのCMでお馴染みの「リアップ」。発売以来19年間、後続品無しで独擅場だった発毛剤市場に、ついにライバルが出現。しかも意外すぎるその相手は、吉本芸人のCMで一世を風靡したスカルプDシリーズの販売元「アンファー」。他業種からの殴り込みに業界は騒然。業界大注目の中、10月4日発売!のだったのだが・・・。直前になって、厚労省から効能効果の記載に不備があると指摘され、まさかの発売延期。商品発表会までしたのに。いずれにしろ、来年はアンファーに限らずリアップの類似品(同じ成分で安い商品)が登場すると予想される。

第9位 市販薬で税控除!セルフメディケーション税制がスタート

今年から始まった「セルフメディケーション税制」。対象となる市販薬の年間購入額が12000円を超えると、税控除が受けられるという新制度。ドラッグストアで渡されるレシートには、セルフメディケーション税制対象商品のマークがつくようになった。来年が初の確定申告となる。ただ、認知度は低いと思われる。さて、どれくらいの人が利用するのか。

第8位 会心の一滴が的中!スライム目薬が超大ヒット

5月にロート製薬から発売したスライム目薬がバカ売れに。ドラッグストアでは、うつろな目をして「スライムの目薬はありませんか・・・」とさまよう”スライム難民”が多数出現。8月に増産されたあとも人気は続いた。なお、ライバルメーカーの参天製薬も6月に人気漫画「ワンピース」とのコラボ目薬を投入。こちらは大コケした模様。

7位 あっ!あの風邪薬「PL顆粒」が市販薬として登場

病院で風邪薬として処方される「PL顆粒」が市販化。成分量は8割でちょっと少なめ。SNS界隈の薬剤師からの評価は低く、ぼく自身も「売れるのか?」と疑問だったのだけど、年末になり広告の露出が増えると店頭で購入するお客がちらほら。今後、購入者は増えそう。

6位 もの忘れ改善薬が新登場!無法化の予感に厚労省が思わずブレーキ

もの忘れ改善薬「オンジ」が登場。製薬各社から類似商品が大量出現。「脳が活性化する」といった不適切な宣伝文句が登場し、厚労省から過熱気味の広告表現にストップがかかった。オンジフィーバーは年内で終了。

5位 イブプロフェン1日600mg配合の風邪薬が初登場!

今年はイブプロフェン1日600mg配合の風邪薬が登場。いままでの風邪薬は1日最大450mg配合だった。先陣を切ったのは風邪薬の雄「パブロン」。9月に「OTCかぜ薬として初めてイブプロフェンを1日量600mg配合」として「パブロンエースPro」を発売した。その後、「コルゲンIB錠 TXα」などが発売されている。市販薬業界では、イブプロフェン1日600mgがほぼデフォルトになった。

 

4位 咳止め成分「ジヒドロコデイン」が子供向けの薬から消滅。薬剤師からは「ようやく」の声

風邪薬や咳止め薬に含まれる「ジヒドロコデイン(を含むコデイン系)」という成分を、安全性の理由から12歳未満の子供に使用しないことが決定。7月に厚労省から薬の説明文書(添付文書)を改訂することが発表された。ジヒドロコデインを含む市販薬には「12歳未満の小児には、医師の診療を受けさせることを優先すること」 の一文がつくことになった。以前から問題が指摘されてきた小児のジヒドロコデインの服用。薬剤師界隈からは「ようやくかよ」の声。インバウンドなどで特に人気の高い「ムヒのこどもせきどめシロップ」などは、ジヒドロコデインからデキストロメトルファンに成分を変更された。

3位 のどに効く風邪薬「ルルアタックEX」が王者陥落。新王者「コルゲンIB錠TXα」は知名度不足で存在感無し!

長年「喉の痛みに効く風邪薬」として最も知名度のあった(と思う)「ルルアタックEX」。だが、10月にイブプロフェン1日600mg+トラネキサム酸を配合した「コルゲンIB錠 TXα」が登場。これによってルルアタックEXは王者陥落。成分で比較するならばコルゲンの方が優勢となる。もっとも、コルゲンは知名度の低さから存在感皆無。王者になったことに誰も気づいてくれない悲哀。

2位 アマゾンがロキソニン、ガスター10、リアップなどをネット販売!

アマゾンがロキソニン、ガスター10などの「第一類医薬品」と呼ばれる市販薬の販売を開始。実際に取り寄せてみたところ、薬剤師による安全性確認はそれなりにしっかりしている模様。既存の大手ドラッグストアのネット販売のほうがよほどいい加減である。

EC市場は年々増加傾向。その一方で、副作用情報をユーザーに提供していない販売サイトが2割の上ることを示す厚労省の調査報告が発表されている。

1位 アレグラのジェネリックが激安で登場!病院に行く必要性が激減

以前は市販薬のアレグラは薬剤師の問診を経て購入できた。逆に言えば、薬剤師が不在の時間はアレグラが購入できなかった。ところが2016年12月から、薬剤師不在でも購入可能に。そうして初めての花粉症シーズンを迎えた2017年の春、なんとアレグラと同じ成分で価格の安い(ジェネリックの)商品が登場した。ネットで購入するなら2週間分で1000円程度。これによって受診するメリットは大きく減った。こうした経済的要因こそが、受診抑制、セルフメディケーションの推進に大きな拍車をかけることはまちがいない。花粉症薬の需要、インパクトから判断すれば、2017年最大の出来後といっていい。 

 

いやあ、いろんなことがありました。他にも緊急避妊薬の市販化が見送られたという行政的な動きもありましたが、ここでは消費者に影響のあった身近な出来事にしぼって紹介させていただきました。来年もブログ「ドラッグストアとジャーナリズム」をよろしくお願い致します。みなさまにとって、来年もよい1年になりますように。