ドラッグストアとジャーナリズム

自分に合った市販薬を選びませんか?

風邪の常識が変わるのにかかった時間

風邪のウイルスに抗生物質(抗菌薬)は効かない――。この当たり前のことが、ようやく当たり前として全国に広がりそうです。先日メディアでこんな報道がありました。

厚生労働省は誤った使い方によって薬が効かなくなる「耐性菌」の広がりを抑えるため、医師が乳幼児の風邪や下痢に抗生物質を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬を支払う新たな仕組みを設ける。4月からの診療報酬改定に盛り込む。風邪に抗生物質、使わない病院に報酬 耐性菌の抑止策:朝日新聞デジタル

具体的にはこのようなイメージだそうです。

4月以降、風邪や下痢で初診の3歳未満に、手引に基づき抗生物質が不要と医師が判断した場合に病院や診療所側に800円が支払われる。幼いと副作用が出やすいため、この年齢層から始めるという。患者側は2割(未就学児)を支払う。保護者らが薬を求めれば、「ウイルスに効かない。副作用が出たり長引いたりする場合がある」「大部分は自然に良くなる」といった説明で理解を促す。

今回は子供だけが対象です。いずれは大人にも抗生物質は使われなくなるでしょう。時間の問題です。病院で抗生物質をもらえないのであれば、受診する必要はグッと減ります。だって、咳止めも解熱鎮痛薬も市販薬にあるじゃないですか。いえ、もちろん効き目の優劣はあります。市販薬では風邪の咳が止められず、やむなく病院へ行くというのは現実ではよくあるケースだと思います。でも、ケースバイケースですよね。今は処方と同じ量のロキソニン(風邪の時に処方される解熱鎮痛薬)だってドラッグストアで買えるんです。

ようは、病院に無理して受診する必要がないということです。受診してはいけないわけではありません。病院へ行かずに家で安静したり、辛い症状を市販薬で和らげるという選択肢を、もっと考えていいということです。

2年前に「風邪なら『病院』か『ドラッグストア』か」という記事を書きました。

drugstore.hatenablog.com

上の記事を書くすこし前、たまたま図書館で20年前の医療専門誌を読んでいたら、風邪に抗菌薬は必要か?みたいなテーマの医師の寄稿を見つけました。風邪に抗菌薬を処方することの是非はずっと議論になっていたのです。この20年間一体なにをしてきたのでしょうか。

今回、国がようやくこの問題に非常に効果的な方法で解決に乗り出しました。今後、風邪に対する抗生物質の処方量は急速に減っていくでしょう。いままで「症状がひどくならないように一応出しておきますね」と言って抗生物質を処方していた医師が、突然「抗生物質は要らないですね」と方針を変える。そんな芳ばしい光景が見られるかもしれません。