先日に続き、再び正露丸の話です。アメリカでは下痢止めの正露丸は「Seirogan」の名前で、薬ではなく腸の調子を整えるサプリメントとして販売されています。昨年は正露丸に含まれる木クレオソートという成分が、水分の体内吸収を調節することで、運動時の脱水を防止してくれる作用があることを、FDA(日本の厚労省みたいなものです)に届け出して受理されたそうです。
http://www.seirogan.co.jp/uploads/arrival/pdf_466.pdf
昨年のホノルルマラソンではランナーに配られました。もちろん、日本ではそのような効果があることは公式には認められていません。いまのところ、アメリカの正露丸の説明書にも、脱水症状を防ぐという記載はありません。今後追加されるのでしょうか。
米国で受理されているからといって、日本人が真似することはお勧めしません。ツイッター上で薬剤師の方から情報をいただきました。アスリート向けのドーピングブックでは使ってはいけない薬になっているそうです。
私はスポーツファーマシストではありませんが、ドーピングブックにはこうなっています。 pic.twitter.com/s08xcW7Bcn
— kaoru (@orangeapo) 2018年3月30日
この分野の資格「スポーツファーマシスト」の資格を持つ産業薬剤師さんからも教えていただきました。
アメリカの正露丸の成分が分からないので日本と同じと仮定します。
— 産業薬剤師 (@indus_pharm) 2018年3月30日
生薬は含有成分が全て同定されていないし、産地や気候などでも変化するため、ドーピングのリスクを完全にゼロにできません。
従い、ドーピング検査を受ける程のアスリートは摂取してはダメです。
市民ランナーはどうなのか?医療文献検索サイトのPubmedで「wood creosote dehydration 」では1件もヒットしませんでした。グーグル上で「wood creosote marathon」で検索してもあまりヒットしません。海外でもまだランナー向けにはほとんど使われていないのかもしれません。
実際にホノルルマラソンで正露丸のサンプルを受け取って飲んだ人のブログがありましたので紹介します。害はあまりないのかもしれません。ですが、日本ではそのような使い方はまだ認められていないので、真似はしないことをお勧めします。