『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

なにこれ!気になるあの消毒薬の「使い分け」と「使用感」

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ちょっとマニアックな傷薬を集めてみました。どれもむかーしからある、古典的な薬たち。最近はドラッグストアで見ることも減ったと思いますが、気になっている方はご覧ください。わたしもお客さんからときどき質問されます。

※各成分の効果については異論もあるでしょうが、ここでは主にメーカーの説明する効果に従って記載します

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キシロA

薬効成分は殺菌作用のあるセトリミド、局所麻酔作用のあるリドカイン、かゆみを抑えるジフェンヒドラミン。薬の効果としては、菌を殺しながら、麻酔で痛みを取り除き、かゆみ止めで皮膚の不快感を抑えるということになります。 無色透明、無臭、消毒用塗り薬の中ではのびがよく、ベタつき感が少ない。ただし、塗った部分はテカリます。

メモA

薬効成分は殺菌作用のあるクロルヘキシジングルコン酸、局所麻酔作用のあるジブカイン、組織修復作用のあるアラントイン、血行促進成分のトコフェロール(ビタミンE)、炎症を抑えたり患部を保護する酸化亜鉛。薬の効果としては、菌を殺しながら、麻酔で痛みを取り除き、組織を修復しながら、患部の炎症を抑えたり保護するということになります。特徴は「酸化亜鉛」を使っていること。酸化亜鉛は軽度の火傷につかえます。そのため、キシロAとちがってメモAは傷だけでなく軽いやけどにも使えます。薬自体は白色ですが伸ばせば色は気になりません。伸びはよいですがベタつきます。そして匂いがちょっと独特で、わたしの小学生のころ使った絵具の匂いに近いと感じます。

キップパイロールHi

薬効成分は、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノール、フェノール、サリチル酸、炎症を抑えたり患部を保護する酸化亜鉛。サリチル酸は炎症を抑える効果もあります。特徴は3つの殺菌成分を含むこと。色は白色。酸化亜鉛が入っている薬の中では意外とベタつきが少なく使用感がよいほうです。これも絵具のようなにおいがします。殺菌成分と酸化亜鉛のみでできている点も、この薬の特徴でしょう。

トフメルA

薬効成分は炎症を抑えたり患部を保護する酸化亜鉛、血行を良くしたり炎症を鎮めるdl-カンフル、殺菌成分のクロルヘキシジン。特徴は酸化亜鉛の多さ。成分量が8%で、5%のメモA、6%(100gあたり6.018g)のキップパイロールHiよりも酸化亜鉛が多く含まれています。メモA同様、キズだけでなく火傷にも使えます。色な見てびっくりのピンク色。伸ばせば色は薄くなって気になりません。酸化亜鉛を含む薬はふつうは白くなるのですが、これは肌色に近いピンクなので、多少は目立ちにくいでしょう。べたつきます。臭いも独特です。メモAは絵具ですが、これは・・・うーんわかりません! 

オロナインH

薬効成分は殺菌成分のクロルヘキシジングルコン酸のみ。傷薬としてもっとも有名なオロナインが、実は一番シンプルな成分の薬なのです。オロナインHの効能効果の欄には傷だけでなく、ニキビ、いんきん、しらくも、水虫など様々な効能が書かれていますが、これは昔に国の承認を取った当時の名残です。現代においては、これらの症状にオロナインHを使う事はおすすめしません。白色、のびがよく、あまりべたつきません。 

 

ざっくりまとめますと・・・

今回紹介した傷薬は、酸化亜鉛が入っているかどうかで分けられます。酸化亜鉛が入っていると、軽いやけどに効果的かもしれません。その代わり、メモAとキップパイロールHiは色が白くなります。酸化亜鉛を多く含む消毒薬がいいならトフメルAです。

使用感にはかなり差があります。クセのないのが好きならキシロAかトフメルAかオロナインH。においが薄いのはキシロAとオロナインH。

殺菌作用は直接比較のデータが手元にありませんので、なんともいえません。

安全性についてはトフメルA、オロナインHはクロルヘキシジンを使っています。クロルヘキシジンは、過去にこの成分のアレルギー歴がある人は使わないようにとの注意喚起が説明書に書かれています。クロルヘキシジンはとてもよく使われる消毒成分なので、副作用報告数も相対的に増えます。そこで、アナフィラキシーショックなどの副作用がいくつか報告されています(他の薬がアレルギーを起こさないという意味ではありません)。

どこに塗るか、使用目的は何かでベストな薬は変わってきます。わたしが最近相談されたのは、小さなお子さんが鼻の下あたりを切ってしまい塗り薬がほしいというものでした。薬の成分がシンプルで、臭いにも癖がないオロナインHをお勧めしました。

今回ポイントに挙げた酸化亜鉛は「亜鉛華軟膏」としても市販薬で販売されています。こちらは酸化亜鉛の濃度が20%の軟膏で、ほぼ無臭、白色です。肌に伸ばすとお化粧したみたいにうっすら白くなります。

消毒薬のいろいろを、ざっくり紹介しました。さらに詳しい情報は、ドラッグストアの店員に聞いていてください。