ドラッグストアとジャーナリズム

自分に合った市販薬を選びませんか?

【2019年版】ドラッグストア利用者は絶対知っておきたい市販薬ニュースTOP10

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2019年も残りわずかとなりました。最後の記事を飾るのがこんなふざけたイラストになってしまいましたが・・・今年も応援してくださった方々には感謝しかありません!

今年は「市販薬への関心」の高まりを実感する1年でした。

薬剤師の児島悠史さんが薬剤師向けの市販薬の書籍を出されたり、同じく薬剤師の鈴木伸悟さんが一般紙の取材を通じて市販薬情報を発信されたり、医師の平さんがクラウドファンディングで医療機関向けに市販薬情報をアプローチしたり。わたしが5年前にブログを始めた頃よりも、市販薬の情報量は確実に増えていると感じます。たぶんね。

わたしといえば、今年は1月に「メディカルジャーナリズム勉強会」で、市販薬をテーマにお話しさせていただく機会をいただきました。それから、ヤフー個人に市販薬についてインタビュー記事を載せていただきました

本業のほうでは、詳細は伏せますが、わたしが書いた文章が日経電子版に載りました。あと、それとはべつに、市販薬に関して”日本初”もやりました。まあ、メディア掲載とか、日本初、とかは些末なことで、ビジネスで大切なのは、持続可能な質の良いサービスを提供できているか。そして、それを実現するためのマネジメントができるかです。今年は色々大変でした。来年はもっと大変になると思います。まだまだ修行が足りません。ふいー・・・。

あとは資格試験の勉強や、メディア関連の依頼などで、ブログは新しい記事を作る時間がとれずに1年があっという間に過ぎてしまいました。楽しみにしてくださっていた方々には申し訳ないです。市販の情報提供を通じて、日々の生活のお役に立てるように継続してまいりますので、見守っていただけましたら幸いです。

前置きが長くなりました。それでは、毎年恒例、市販薬ニュースTOP10の時間です。今年もいろいろありましたね!

 

10位 刀剣乱舞コラボ目薬が転売の餌食に?

ロート製薬から発売した刀剣乱舞のコラボ目薬が12月に発売しました。発売前から店頭に問い合わせがあり、案の定、発売日に即完売となる店が現れました。そんななかで出てきたのが転売です。医薬品は法律上、一般の方々が転売できません。そこでメルカリでは、”空箱”と称して3つで3000円で販売する人が出てきたようです。キャラクター目薬はここ数年の市販薬業界の流行です。

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 9位 日本初の西洋ハーブ医薬品「アンチスタックス」終了

「赤ブドウ葉乾燥エキス」を使った、足のむくみ改善薬「アンチスタックス」が製造終了となり、1月に正式に医薬品から削除されました。発売元はエスエス製薬でした。2013年に発売。”日本初の西洋ハーブ医薬品”というフレコミで誕生し、医療用からの転用ではない”ダイレクトOTC”としても注目を集めました。しかし、市場の反応はかんばしくなかったようです。わたしは一度も販売したことがなかったかもしれません(一度だけあったかな?)。エスエス製薬は相当な予算を投じて開発したと思われますが、市場を育てることはできませんでした。製品に問題があったのか、マーケティングに問題があったのか。他のダイレクトOTCで成功した事例はリアップですが、その成分であるミノキシジルはリアップ発売前から海外から個人輸入する人がいるほど認知されていました。ここはアンチスタックスとの違いだったと思います。ダイレクトOTCは非常に難しいカテゴリーだと感じます。

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8位 日本初!ビタミンA入りのコンタクト目薬が発売

 昨年からのトレンドだったビタミンA入りの目薬ですが、今年はついにソフトコンタクト用が登場しました。日本初です。9月発売の「スマイル ザ メディカルコンタクト」。正直、売れ行きはいまいちな気がしますが・・・。認知されていませんね。あと値段も高め。目薬市場はここ数年、1000円超の高価格帯カテゴリーが構成比の3割近くを占めるまでになり、2018年には過去最高を更新しました。しかし、伸びは鈍化傾向にあり、さらなる付加価値が必要になっています。その付加価値が、効果として実感できる顧客利益に結びついているか。それを考えるのも現場の薬剤師や医薬品登録販売者の仕事です。気になった商品があったら、気軽に質問してください。「いまはやりの目薬ってどんなんですか?」でもOKです。

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7位 来年の花粉症シーズンの主人公?「フルナーゼ」新登場

花粉症向けのステロイド点鼻薬「フルナーゼ点鼻薬」(成分名フルチカゾン)が11月に発売しました。元々は医療用として使われていた成分で、今回初めて市販薬として登場しました。従来の市販のステロイド点鼻薬(成分名ベクロメタゾン)よりも、効果が高いというデータがありますので、試してみる価値はあるかもしれません。要指導医薬品という、薬剤師の安全確認が必要なお薬になります。花粉症で辛い方は、来年の花粉症シーズン前に薬剤師にご相談ください。

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6位 エパデールTが第一類医薬品になったものの・・・

中性脂肪を下げる薬「エパデールT」 が4月、要指導医薬品から第一類医薬品に変更されました。事前の検討会議では、医師団体から反対があったようです。変更は、朝日・日経などの一般紙にも取り上げられており、注目の高さがうかがえました。というのも、これは脂質異常症という生活習慣病に使うお薬だからです。生活習慣病に使える市販薬というのは、じつはほとんどないんですね。生活習慣病は病院を受診して治してもらう、というのが、いまの日本の制度だったわけです。エパデールTが蟻の一穴となり、生活習慣病もセルフケアで対応するようになるのか。ここが大きなニュースとなった理由でした。では、エパデールTが第一類医薬品になって半年以上が過ぎ、いまはどうでしょう。あれだけ騒いだ割には、現実にはまだなにも変わっていないようです。実際に第一類薬になりネットでの購入が可能になりましたが、大正製薬が慎重に元々販路を絞っていることもあり、実際に販売しているところがあるかといえば・・・サンドラッグ、ツルハ、マツキヨ、ココカラファインなどの大手は販売していません(元々扱っていない会社もあります)。エパデールTの販売要件は非常に厳しく設定されていることが要因でしょう。じつは、エパデールTという薬が、薬学・医学的見地から市販薬に必要か否かは議論があります。わたしも色々思うところはありますが、長くなるのでここでは割愛します。

5位 「コスモス」が東京進出、マツキヨとココカラが経営統合へ

いま一番勢いがある西のドラッグストア「コスモス」が、4月に関東初出店しました。わたしも1号店となった広尾店を覗いてきました。コスモスのウリは安さ、食品の充実ですが、広尾店はそういう風ではありませんでしたね。12月30日現在は東京都内に4店舗のみ。来年から本格的に出店エリアを拡大するという話もあります。近所に出店したら是非立ち寄ってみてください。

このほかのドラッグストアの話題としては、マツキヨとココカラファインが経営統合するビッグニュースがありましたが、正式な統合とその詳細は来年に持ち越されます。初の1兆円ドラッグストアの誕生です。

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4位 小林製薬から漢方薬が続々登場

小林製薬が10月に漢方薬を立て続けに発売しました。「ヒロレス」「ユービケア」「ビスラットアクリア」。いまわたしがテレビCMでよく見るのは「ユービケア」。指のこわばり、痛みを改善する漢方薬です。この3つのなかで一番売れていると思います。小林製薬は漢方薬に注力するとアナウンスしており、テレビCMなどに強い小林製薬が本格的に漢方薬を販売すると、漢方市場は広がると思います。漢方薬に興味を持つ方々は増えるでしょう。ツイッター上では漢方薬の原料費が上がってしまうのではないかという懸念も聞こえました。

今年を振り返ると、クラシエからコーヒー風味の葛根湯が出るなど、漢方薬の話題も多かった印象です。漢方薬にご興味がある方は、薬剤師・医薬品登録販売者に聞いてみてください。

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3位 増える市販薬の依存報道。業界団体も注意喚起

今年は市販薬の濫用報道が多かった気がします。10代の濫用者が増えているというデータにメディアが関心を持っていただいているようです。

不適切販売が半分近くに上ったという、衝撃的な厚労省の調査結果も9月に発表されました。業界に身を置く者として耳が痛いです。自分も業界の末席に座るものとして、ブログやツイッターでは濫用問題について言及するようにしています。今年は漫画家の油沼さんの提案で、市販薬の依存をテーマにした漫画を一緒に作らせていただきました。

また、今年1月のイベントでも市販薬依存の話題にふれ、その内容は薬剤師専門媒体にも取り上げていただきました。

「kuriedits⽒は、これらの薬剤の乱⽤⽬的での購⼊を防ぐため、現場の薬剤師が孤軍奮闘しても、残念ながら 社会への影響は少ないという。それよりもメディアがOTCにスポットを当てて世間の注⽬を集めることで、 OTCを取り巻く状況が改善されるだろうと展望した」 と紹介していただきました。

乱用者は(ここには書けない)様々な手法で依存性のある医薬品を入手しようとします。医薬品においては、「乱用者(購入者)の自己責任」という考えは法的にも実務的にも通用しません。販売者は乱用者の家族から相談を受けることがあり、乱用者個人の問題で済みません。個人では責任が取れないのです。販売者側としては、乱用防止は売場が人的コストを払い行うものですが、企業視点では経済インセがありませんし、行政は監視しつつも不十分です。世間の関心が薄い故に「この薬の取扱い(販売)をやめましょう」と社員が発言しても、それを評価する人は社内にも世間にもいません。こうした状況のなかで、メディアの方々に関心を持って頂けることは大きな追い風といえます。

業界団体も動きました。日本チェーンドラッグストア協会は10月、「市販薬による10代の薬物濫用撲滅宣言」をまとめて加盟店に向けて販売ルールを通知しました。日本薬剤師会は11月に全国の薬剤師会に向けて、濫用市販薬の販売の注意喚起をアナウンスしました。

むずかしいことはさておき、市販薬でも健康を損なうことがあるということだけでもご周知いただけると嬉しく思います。 

2位 ロキソニンテープがネット解禁

消費者に一番インパクトがあったのは、おそらくこのニュースでしょう。ロキソニンの張り薬・塗り薬が8月、要指導医薬品から第一類医薬品に変更されました。代理購入、ネット購入が可能になります。一度に2点以上購入することもできますが、そもそも市販のロキソニンは短期間だけ使えるものなので、ご注意ください。店頭の薬剤師の判断で1点のみとさせていただくケースも多々あるかと思います。

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1位 花粉症薬は市販薬でしか買えない!?保険外しへの動き進む

影響度の大きさでいえば、これが今年一番のニュースでしょう。中身が決まるのは来年と思われますが、実現したらすごいことになります。抵抗する声も大きいでしょうから、最後の最後で話が消えてなくなる可能性もあります。詳細は下記のリンク先を参照ください。あまりに衝撃的なニュースだったため、一般の方々には一部誤解を伴って流布されてしまったようです。

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いかがでしたでしょうか。

今年は個別の商品よりも、制度上の話題が多かった気がします。制度の話は、すぐ生活に影響がでることはなくても、徐々に、確実に、そして大きく、わたしたちの生活を変えていきます。

来年も市販薬から目が離せません!!!!!!

2020年もよろしくお願いします!!!!!!!!