『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

自分が飲む薬は自分で決めよう!医療者も協力する口コミサイト「Iodine」の挑戦

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読みだすと止まらない医薬品口コミサイト「Iodine」

アメリカの医薬品口コミサイトで、もう一つ注目なのが「Iodine」だ。

これは医療者向けサイト「M-Labo」さんの記事で知った。

はっきりって、Iodineはめちゃくちゃ面白い。読みだすと止まらない。

 


薬を使用者が評価する、医薬品口コミサイト「Iodine」

 

Iodineは、Wiredの元編集者ゲーツ(Goetz)さんが代表を務める医薬品の口コミサイトだ。あんまり書くと、M-LaboさんのPVを奪うことになり申し訳ないので、詳細はM-Laboの記事を読んでいただければと思う。僕のブログでは、なるべくM-Laboさんが書いていないことを紹介する。

まず、Iodineの特徴は以下の通り(UBMの英文記事がよくまとまっているので、そこから拝借する ※1)。

 

  • 数百の薬に関する使用経験を、10万人のアメリカ人から収集
  • 処方薬、市販薬を合わせ1100以上の主流の薬の副作用をFDA(食品医薬品局)の資料から調査。処方薬は95%をカバーしている
  • ジェネリック医薬品の有無や、保険を使った方が良いかどうかなどを含めた薬のコストも調査
  • 消費者の使用経験について類似薬間で比較。各薬の評価の差を調査
  • そして、薬の使用経験を皆で共有し、実際の薬の効果を把握することに貢献する

 

ポイントは「データ」「デザイン」そして「行動科学」

このサイトのキモになっている消費者のクチコミは、グーグルの米国市場調査サービス「Google Consumer Surveys」(日本ではやっていない)を利用して10万人から集めた。

ジャーナリストのステーシー・リューさんのブログに、創業者へのインタビュー記事が掲載されている。それによると、Iodineの核となる3要素は「データ分析(data-slash-analytics)」「行動科学(behavioral science)」「デザイン(design)」という。

データ分析もデザインも、わりと昨今のメディア業界ではよく語られる言葉だけど、「行動科学」というのがユニークで面白い。実際に、インタビューを読むと、ゲーツさんは、Iodineによって、消費者や患者の行動変容を期待しているようだ。それは、医師に全てを委ねるのではなく、自分で選ぶ医療の実現だ。下がステーシーさんのブログ。


Thomas Goetz talks about his new venture in data design, Iodine.

 

実際に使ってみた。おもしろい!

さて、Iodineを実際に使ってみたが、すごくおもしろい。

たとえば、日本の市販の風邪薬や頭痛・生理痛薬によく使われている解熱鎮痛薬「イブプロフェン(ibuprofen)」で検索すると、薬を使った消費者(患者)の使用感が、次のように表示される。

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 さらに、類似薬を選択して、薬ごとの比較もできる。以下の表は、左から「イブプロフェン」「ナプロキセン」「アスピリン」「タイレノール」を選択して表示したもの。「ナプロキセン」以外は、日本のドラッグストアでも売られている鎮痛薬だ。

まず、各薬の基礎的情報↓

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そして、これは各薬の口コミ評価。

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コスト(費用)に関する情報も、ジェネリック製品を含めて表示される。

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サイトづくりには、医師、薬剤師も協力

Iodineがさらにおもしろいのは、このベンチャービジネス複数の医療者が参加していることだ。共同創業者のゲーツさん自身は公衆衛生学の修士号を持っているが、他にも9人の薬剤師を中心に、医師、看護師が、情報の正確性について助言をしている。

僕はこういうことは大いに日本でもやるべきだと思う。日本の市販薬の効果は、あまりに不透明で、良いものが残り悪いものが消える市場淘汰が働いていないと思うからだ。

ユーザーの声は科学的ではない、という人もいるかもしれない。でも、それはいまのドラッグストアの現場を知らない人の見方じゃないだろうか。市販薬の科学的データなどほとんどなく、現場のスタッフは自身の経験やお客の評判などで薬の優劣を決めているのが現状だ。むしろ、ネット空間で市販薬の優劣が公に語られてこそ、問題点が表面化し、比較検証しようと考える研究者が増えるだろう。

消費者のクチコミは科学的ではないし、ステルスマーケティング(メーカー関係者が自社に有意なレビューを書き込んだりすること)が行われる可能性がある。こうした懸念される課題は知恵を絞って克服しながら、市販薬の評価を公にしていきたいと思っている。ご興味ある方、賛同される方は、いつでもお気軽にコンタクトください(このブログのコメントは承認制なので、コメント機能を利用されてもいいし、ツイッター経由でもOKです)。

本音を言うと、Iodineにはかなり嫉妬を覚えた。すごいなと思うと同時に、先を越されてこんなサイトを作られたのが悔しくてたまらない。

ま、僕なら、もっといいサイトを作るけどね~(強がり)。

 

 

※ Iodine Launches Service That Transforms 100,000 Americans' Real-Life Experience Into Unique Data-Driven... -- SAN FRANCISCO, Sept. 23, 2014 /PRNewswire/ --