入れ歯洗浄剤について質問されて・・・
当然だけどドラッグストアでは、薬剤師といえど薬以外のこともよく聞かれる。あるとき、「入れ歯洗浄剤」についてお客から尋ねられた。入れ歯って・・・ぼく、見たことも触ったこともないんですけど・・・。
「ポリデント」と「ポリデントNEO」の違いは?
お客が指さしたのは、テレビCMでお馴染みの「ポリデント」。ポリデントにはいくつか種類がある。お客は『部分入れ歯用』ポリデントと『酵素入り』ポリデントを両手に取った。それから、まず酵素入りポリデントについて、
「これは、総入れ歯用なんだよね」
というので、心の中で(「総入れ歯」ってなんだ?全部入れ歯ってこと?)とか思いながら、あいまいに相槌を打った。続いて、お客は部分入れ歯用について、
「で、こっちは、部分入れ歯に使うんだよね」
と言った。僕も手に取ってパッケージをみると、たしかに使用方法の欄に部分入れ歯用のイラストがある。僕は、今知ったくせに、
「ええ、ええ、そうですね」
と、さも前から知っているかのような返事をした。内心ヒヤヒヤしながらも、なんとか対応できそうだな・・・と思っていると、次の瞬間、お客は別のポリデントを指さして言った。
「それでね、俺が聞きたいのはね、この『部分入れ歯用ポリデント』と、こっちの『ポリデントネオ』っていうののどちらがいいかってことなんだよね」
なにー!ここからが本題でしたか。
僕がいそいそと「部分入れ歯用ポリデント」と「ポリデントネオ」の成分を比較すると・・・洗浄成分はどちらも同じではないか!。でも、パッケージをみると、「ポリデントネオ」のほうが殺菌力が強そうな印象。それに「ネオ(NEO)」なんだから、明確な違いがあると考えてまちがいない。
ところが、いくら成分表を見ても、洗浄力の違いがわからない。医薬品であれば、各成分の量が記載されているので、濃度で効き目の優劣が付けられるけど、入れ歯は医薬品ではないので成分量は記載されていない。観念して「少々お待ちください」といって、ダッシュでメーカーのウェブサイトを確認したけど、ウェブサイトがこれまたわかりにくく、いくら製品案内を読んでもわからない。
結局、僕はギブアップして、
「勉強不足で申し訳ございません。次までにお調べしておきます」
と謝った。はあ・・・。
香りがついてNEO!って、それどーよ?
翌日、メーカーに電話して、違いを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「殺菌力、洗浄力は変わりません。ネオのほうは香りがついております」
えーー。香りですか。それで「ネオ」ですか。
このブログでもたびたび市販薬のパッケージデザインの羊頭狗肉ぶりを書いているけれど、市販薬以外の商品もなかなかのものだなと思った。
大事なことなので繰り返します。ポリデントネオの”ネオ”は、匂いがついているので”ネオ”です。殺菌・洗浄力は従来品と変わりません。