『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

有名人が愛用しているらしい「モアリップ」。「メディリップ」と比べてみたよ

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アイドルやモデルも使っている?

秋ごろから、やたら売れている資生堂のリップクリーム「モアリップ」。唇のあれ、口角炎を治す薬で、町のドラッグストアでは1000円近い価格で売られている。リップのくせに高っ!と思ったら、どうやら芸能人が使っていて、女性の間では人気とか。

過去には嵐の相葉君や(最近はちがうリップを使っているらしい)、モデルの相沢沙世さんが使っていたというネット情報がある。

ふうん。ま、販売元が資生堂だからね、ブランド力はあるだろうね。でも、本当にそんなにいいんですか?1000円もするんでしょ?

ちょっと疑問だったので、多くのドラッグストアに置いてあるユースキンの「メディリップ」と使い比べてみた。 

有効成分はまったく一緒

薬効成分は、両方ともまったく同じだ。

有効成分(1g中)と、その働きは次の通り(※1)。

アラントイン5mg:荒れの修復

グリチルレチン酸3mg:炎症を抑える

ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)2mg:皮膚の新陳代謝を促す

塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)1mg:皮膚の健康を維持する

パンテノール5mg:皮膚の健康を維持

 

添加物は異なるが、薬効成分だけで判断するなら、「メディリップ」と「モアリップ」の効き目は同じ強さということになる。モアリップが特別な成分を含んでいるわけではない。

 

黄色いメディリップと、白く透明に近いモアリップ

使い勝手はどうか。ここが大きくちがう。

メディリップは、小さな丸い容器に入っていて、そこから指ですくって使う。モアリップは、チューブタイプで、容器の先に小さな丸い穴から中身が少しずつ押し出される。だから、モアリップは、メディリップとちがって、手をよごさずにすむ。これは結構、うれしい。

それから色。メディリップは、パッケージの写真にある通り、黄色い。唇に少し厚めに塗ると、黄色くみえる。一方のモアリップは白くて、塗って少し延ばせば透明になる。

ところで、なぜメディリップは黄色いのか。

理由は、添加物としてビタミンB2を含んでいるからだ。ビタミンB2は皮膚や粘膜を健康に保つ成分として、口内炎や肌荒れを治す飲み薬によく含まれている。つまり、飲むと皮膚にいい。

でも、皮膚に塗って吸収されて効果を発揮するかどうかは別問題。ビタミンb2は水溶性なので、そのままでは吸収されにくいかもしれない。詳しいデータをぼくはみたことがないし、残念ながらユースキンのウェブサイトにも特に説明はない。

 

意外なことに価格は・・・

薬としての有効性では、ほぼ互角の印象(※2)。使い勝手ではモアリップのほうに軍配があがる。当然、モアリップの方が値段がずっと高いのだろう、と思いきや、アマゾンでは、

モアリップ(8g)→878円(メーカー希望価格1296円)

メディリップ(8.5g)→898円(同1188円)

だった。うちの近所のドラッグストアでは、

モアリップ(8g)→980円(メーカー希望価格1296円)

メディリップ(8.5g)→1008円(同1188円)

となっていて、モアリップとメディリップの価格差は、そう大きくなさそうだ。モアリップはたくさん売られているからかな。

 

実際に使ってみたよ

唇の両端が口角炎になったので、実際に使ってみた。

右にモアリップ、左にメディリップを寝る前に塗った。モアリップは唇に触れる部分が絶妙の曲線を描いていて、塗っていて気持ちいい。やりますねえ。

朝起きたら、あらあら、両方とも赤みがかなり引いて、わずか一晩でかなり改善しているじゃありませんか。一応言っておくと、右(モアリップ)と左(メディリップ)の効果のちがいは感じられなかった。両方とも同じくらい効いたんじゃない?みたいな(※2)。

日中は使わずにいたら、夜にはまた少し赤くなったので、また就寝前にぬりぬり。翌朝になると赤みは一層ひいていた。

 

店員には使用感を聞こう

個人的には、また購入するとしたら「モアリップ」だ。ただ、1000円と高額なのは、いまいちシックリこない。数ある塗り薬(保湿クリームとか虫刺され薬とか)のなかでも、高額の部類になるが、成分を見る限りこの価格を正当化させる理由がぼくには見当たらない。

口角炎を治すリップは、他にもある。ドラッグストアで店員に質問するときは、効果の違いはもちろんだが、

「使い勝手がいいのはどれですか?リーズナブルなのはどれですか?」

と聞くこともお勧めする。

 

※1資生堂 モアリップ モアリップN(医薬品)

※2ただ、実際は、軟膏の薬は、基剤(添加物としてのワセリンなど)によって、保湿性などが変わってくるため、薬効成分だけでは単純比較はできない。ここでは話を単純化して、このように書いている。