ついに薬にも”ボタニカル”が登場。使用感を比較しよう
乾燥肌のかゆみや湿疹などに使う塗り薬「メンソレータムADボタニカル」が発売しました。 通常品の「メンソレータムADクリーム」と比べながら、ボタニカルの特徴を見ていきます。
ボタニカルの2つの特徴とその見方
メーカーの説明文によると、 メンソレータムADボタニカルと、従来のメンソレータムADクリームの特徴は2つあります。
1つ目は、”心安らぐヒーリングハーブの香り”。
2つ目は、”6つのこだわり処方”。
1つ目のヒーリングハーブとは、添加物として使用している3種類を植物オイルを指している。
香料としての「ラベンダー油」、清涼化剤としての「ユーカリ油」、そして薬の軟化剤としての「アルモンド油」。ヒーリングハーブと書いているので、なにやら体を癒してくれそうな気もするが、3つとも特定の薬効が認められているものではない。体に悪いとは言わないが、いいかどうかもわからないことに注意されたし。
非ステロイドというこだわりに卒倒寸前
2つ目の特徴である”6つのこだわり処方”とは次を指している。
非ステロイド/弱酸性/無着色/尿素フリー/防腐剤フリー/アルコールフリー
一見、肌に優しげな風を装っているが、よくよく考えるとおかしい内容です。「非ステロイド」であることが、こだわり処方としてアピールされている・・・。
ステロイドとは炎症が起きた皮膚炎に用いられる効果の高い成分です。病院でも頻繁に処方されます。ステロイドは体に良くない、という言説が巷を騒がせた時代もあったけど、それでも今日、多くの患者がステロイドで生活の質を改善させている。適切に使えば生活を快適にしてくれるのがステロイドだ。
メンソレータムADボタニカルはステロイドを使っていない。それはいい。問題は、ステロイドを使わないことを”こだわり”としていることだ。まるでステロイドを使うことが悪いかのような表現だと思うのは僕だけだろうか?
ちなみに、メンソレータADクリームのような市販の乾燥肌向けクリームは、基本的にこの商品に限らずステロイドは入っていない。なのに、ことさら非ステロイドをウリにするのは、ステロイドに漠然とした抵抗感を持つ層を狙った印象操作としか思えない。
”特徴的な処方”としたならセーフだったが、さすがに”こだわり処方”はアウトではあるまいか。
添加物の違いは「尿素」が入っているかどうか
それから、添加物の違いについて少し詳しく見ると、ボタニカルは防腐剤フリー、アルコールフリーと書かれているものの、実はメンソレータムADも防腐剤(パラベン等※)もアルコール(エタノール※)も使っていない。無着色、弱酸性というのも、おそらく同じじゃないかと思う。正確には確認する必要があるが・・・。
両製品の添加物で、互いに重複していない成分は以下のとおりです。
通常品:尿素、セトマクロゴール、コレステロール、ℓ-メントール
ボタニカル:アルモンド油、ユーカリ油、ラベンダー油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、乳酸、エデト酸ナトリウム、香料
というわけで、両者の違いで確実なのは「尿素」が入っているかどうかで、これはボタニカルのこだわり処方の1つでもあります。確かに尿素は刺激があるので忌避されることもある。ただ、保湿機能を高める医薬品成分としても使用されることがあるので、尿素不使用がいいかどうかはまた別の話になるでしょう。
実際に使った感想。最大の特徴は薬草の香り!
2つを同時に使ってみました。通常品は白色、無臭。ボタニカルは、薄緑色、香りはスーッとするような植物の香りがしました。使用感はボタニカルの方が多少ベタつく印象。効果の違いはさすがに1日試しただけではわかりませんでした。薬効成分はどちらも同じなので、添加物で何かが変わるのかもしれないですが、その差は微々たるものという印象です。
ボタニカルの特徴は香りでしょう。僕はいい香りだと思った。人工的な匂いではない。ただ、使っているうちに、だんだん飽きてきた。よほど好きでない限り、毎日使うにはちょっと気になる。
ところでボタニカルブームなの?
「ボタニカル」と名のつく商品が、さいきん増えてきました。 ドラッグストアのシャンプーとリンスに結構ある。ボタニカルの波がついに医薬品にまで達してきたのか。悪いとは思いません。でも、ヒーリングハーブだの、6つのこだわり処方だの、印象ばかりが先行している内容を見ると、ボタニカル系が好きな消費者というのは印象で商品を選ぶ層だとメーカーは考えているのだろうかと思わないでもない。
参考情報
※メンソレータムADのパッケージに「防腐剤(パラベン等)を配合しておりません」と記載。また、メンソレータムのスプレーにはエタノールが添加物として使用されているが、クリーム・乳液には記載がない。
この記事は2018/10/4に一部改編しました。