『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

ロキソニンを売るあの薬剤師が密かに考えている事

「この薬剤師は何を確認しているんだろう・・・」

ロキソニンを買うときに薬剤師と話していて、そんなふうに思ったことはありませんか?みなさん、薬剤師から今の症状や副作用歴について質問されると思うのですが、それらは何のために聞いているのかご存知でしょうか。

ロキソニンを売る薬剤師が何を考えているのか、こっそりお教えしましょう。

薬剤師が考えているのは・・・

今日もロキソニン買う人多いな。

今日のお昼ご飯どうしようかな。

今日は残業なしで帰れるかな。

だいたいこんなところです。そう、実は薬剤師はロキソニンを売りながらロキソニンとは別のことを考えているのです。・・・というのは、もちろん冗談です。冗談ではありますが「ロキソニンを売りながらロキソニンとは別のことを考えている」というのは本当の本当です。証拠をお見せしましょう。

2018年3月の日経DIという薬剤師向け雑誌に「『喉が痛いのでロキソニンを買いたい』と言われたら」というテーマの記事が掲載されました。ロキソニンを購入するお客(患者)に、どんなことを注意するかということを、薬局薬剤師たちが話し合うという内容です。そこで議論された”薬剤師が患者(お客)に確認すべき項目”は次のようなものでした。

 「ロキソニンには消化管出血の副作用があるので飲んでも大丈夫か」

「喉が痛い原因は『ウイルス性上気道炎(風邪やインフルエンザ)』だけでなく、『溶連菌感染症』『扁桃周囲腫瘍』『急性咽頭画蓋炎』『亜急性甲状腺炎』などが考えられるが、これらに当てはまる症状は出ていないか」

「溶連菌であれば、体温38度以上、咳がない、リンパ節の腫れなどが見極めの参考になるので確認する必要がある」

「急性咽頭蓋炎は急速に進行して気道閉塞(呼吸困難)になることがあり注意が必要。その特徴である唾が飲みこめない、息苦しくて横になると呼吸が辛いといった症状を確認する必要がある」

「指を2本重ねて縦にして口入れられるかが開口障害の目安となり、開口障害はごくまれにだが扁桃周囲腫瘍など緊急を要する病気の可能性もあるので受診を勧めるべき」

 

実際にここまでしっかり考えてロキソニンを売っている薬剤師がいるかというと、正直自信はないのですが、上記の議論を行うことについてはまったく驚きはないないというのが私の感想です。実際に薬剤師はこうした勉強をしているからです。

喉が痛いという一言から、薬剤師はいろんな可能性を考えることができます。ちょうどアメリカの医療ドラマ「ドクターハウス」に登場する医師たちが患者の病気当て推理をするようなものです。薬剤師は診断はしないのですけれど、ロキソニンを売ることが適切かどうかは、患者(お客)の症状を見ないとできないので、病気の知識も多少は持っています。みなさんがロキソニン購入時に薬剤師から「アレルギーや胃潰瘍の経験がないですか?」「他に薬を飲んでいますか?」「熱、咳、鼻水などはどんな症状ですか?」といった質問されるのはこのためです。

ですから、薬剤師はロキソニンを売りながらロキソニンとは別のことを考えているのは、実際本当なのです。

「そんな質問いらない。さっさと売ってよ」という人は、どうぞ厚労省なり政治家に伝えてください。ロキソニンを売る際の質問や安全確認は、薬剤師が趣味でやっていることではありません。法律で明文化されている薬剤師の仕事(責務)の一つです。

休日に本(医療専門書)を読んだり、勉強会などに参加する薬剤師は結構いると思います。私みたいな未熟な薬剤師はいわずもがなです。薬剤師が投げかける質問の裏には、日々積み重ねられた知識が総動員されています。

何が言いたいかというと、薬に関する疑問をネットでググって答えを探すことも結構ですが、せっかくですから近所の薬剤師の質問に付き合ってみてはいかがでしょうか?ということです。