『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

2019/6/1~6/5までの市販薬情報です

今週のニュースは先日に引き続き、フッ素の洗口液「エフコート」「フッ素メディカルコート」の販売方法の変更です。先月末の部会の内容が少しずつわかってきたようで、どうやらLH検査薬は第1類医薬品のまま、フッ化物洗口液は第3類医薬品になるようです。変更時期はまだ先です。

個人的に疑問だったのはLH検査薬の据え置きです。調査会資料では避妊目的(目的外使用)は6/2069例、薬剤師による情報提供は83.0%。製品の性質からして情報提供比率が低いとは感じません。据え置きの理由が気になります。

フッ化物洗口液は妥当だと感じます。第一類から一気に第三類へ変更というのは、わたしには記憶がないのですが、誤飲しても健康への影響は直ちにないはずですので、第3類でよいのではと思います。

そのほか、龍角散の社長がハラスメント疑惑で報道されるということがありました。

それから、薬剤師有志が集まり、アフターピルを処方箋医薬品以外の医薬品に変更することを求める署名活動をchange.orgで始めました。

発起人の一人はSNSで交流のある薬剤師の高橋秀和さんです。この活動が始まるちょっと前にご本人からチェンジ・オルグで署名を集めることについて意見を求められたことがあります。わたしはアフターピルは市販化がよいと思っているので、高橋さんとは主張は異なるのですけど、いま国が進めているアフターピル販売の在り方には同じように異議アリですし、署名で制度への疑問を世に問う行動は大変貴重だと思います。あとは一般の方々は「処方性ん医薬品以外の医薬品」自体をご存じないので署名集めは大変なのでは・・・とお伝えしていたのですが、どうやら昨日からの1日で署名が200名以上も急増しているようで、500名に到達しそうな勢いです。賛同者には多くの薬剤師が名を連ねていました。高橋さんすごい!

こうした行政へのアプローチは薬剤師界隈でもまったく新しい手法だと思います。成功するように引き続き応援しています!

そのほか、季節の話題としては、虫よけに関する良記事がありましたので、こちらも紹介しておきます。

style.nikkei.com

yomidr.yomiuri.co.jp

さて、最後に、発毛医薬品のリアップのお話を少々。リアップの添加物について質問を受けることが時々あるので調べたところ、海外ではミノキシジル製品(製品名「Rogaine」、ジョンソン&ジョンソン)の副作用で最も多い接触皮膚炎の原因は溶剤であるプロピレングリコールであると推測されているようです(※1)。そのため、通常の液体タイプとは別に、このプロピレングリコール・フリーで安全性が高いとされるfoam(泡)タイプが発売されていました(※2)。こちらはブチル化ヒドロキシトルエン (BHT)などを使っています。

一方、日本のミノキシジル製剤では、プロピレングリコール(PG)あるいは1,3ブチレングリコール(BG)が使われることがあります。

国内主要メーカーのミノキシジル製剤の使用添加物は以下の通りです。

リアップX5:BG

リアップ:PG

リアップジェット:PG

リアッププラス:BG

リザレック:BG、PG

リグロ:PG、BG

メディカルミノキ:BG

ちなみに、交差感作の可能性はあるものの、パッチテストにおいてプロピレングリコール陰性、ブチレングリコール陽性の報告があるので(※3)、溶剤で薬剤変更するのは選択肢の一つになります。リアップシリーズの中でも溶剤の異なる製品に変えたらカブレなくなったというお客さんに会ったことがあります。

 

あと、小ネタですけど、先月長野旅行で購入した雲切目薬を白いTシャツに落としてしまったところ、黄色いシミができてしまいました。目薬に含まれるベルベリンのせいです。1度選択を回しましたが落ちなかったので、ウタマロでゴシゴシしてから再度洗濯を回したところ、ほぼ綺麗にはなりました。まだうっすらと残っていますけどね。意外と落ちない!ベルベリンにはご注意を!

 

※1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3179030/#ref6 

※2 https://www.reuters.com/article/us-foaming-rogaine-idUSSAT17740320071101

※3 https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/52/2-3/52_KJ00000817844/_article/-char/ja/