『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

2019/7/15~7/19の市販薬情報です

ライオンの目薬が9月に一気に3種類発売することが発表されました。「スマイル40プレミアムDX」「スマイル40メディクリアDX」「スマイルザメディカルコンタクト」で、いずれもビタミンAを含みます。とくに3つめはコンタクト用目薬として日本で初めてビタミンAを国内基準最大量配合した商品となります。

発売元のライオンは界面活性剤の技術を用いて日本でいち早くビタミンAを含む目薬を開発した会社です。2017年にはドライアイに対してビタミンAの点眼薬がプラセボよりも効果が認められたとする論文(第二相試験)が出ています(執筆者にライオンの研究者も入っています)。

ビタミンA含有の目薬は、いまのところ医療用目薬にはありません。ひょっとしたら、将来、医療用にビタミンA含有目薬が登場するか、もしくは科学的データが揃った上で、眼科のお医者さんがドライアイの患者さんに対して補助治療的に「市販のビタミンA目薬も使ってね」というようになるかもしれません。いまでも、防腐剤なしの市販薬「ソフトサンティア」を眼科医が推奨するケースがあるので、これと似たケースになる可能性はあると思います。今後に注目ですね。

というような話をツイッターで薬剤師仲間のfizzさんの話した今週でした。

Efficacy and safety of retinol palmitate ophthalmic solution in the tr | DDDT

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0463009_01.pdf

ライオン、「ビタミンA」を配合した新たな点眼薬によるドライアイ患者への有効性向上を発見 :日本経済新聞

さて、今週は他にこれといった市販薬の情報がなかったので、久しぶりに海外に目を向けてみますと、やや旧聞に属すものの、ナロキソンという薬の話題が目に入りましたので紹介します。

米国では医療用麻薬(オピオイド)の過剰摂取による死亡事故が社会問題になっています。そこでナロキソンという救急薬を、薬剤師が処方せん無しで直接患者に使う事(市販薬としての活用)を推進してます。今年5月、薬剤師関与の州では死者数が少ないという報告がJAMAという学術雑誌に掲載されました。これは薬剤師の関与によって死亡者数が減ったことを直接証明している研究ではありませんが、ナロキソン市販化による効果を示唆しているといえます。

このナロキソンの市販化については、今年1月の勉強会でちょっとだけお話させていただいたトピックでもあります。米国FDAは製薬企業に市販薬として使いやすく開発するよう要請してます。人命を救うための緊急措置の権限を薬剤師に与えるという点においては、日本の緊急避妊薬の議論と重なる部分もあるとわたしは感じます。日米では薬剤師という社会資源の活用方法が大きく異なることを示す一例といえるかもしれません。

Opioid overdose deaths decline when pharmacists can dispense naloxone - Reuters

FDA to Make It Easier to Access Opioid Overdose Antidote | Time