『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

2020/2/10~2/14までの市販薬情報です

メディアはコロナウイルスの話題でいっぱいでした。マスク、消毒薬、手洗いなどの情報もたくさん出ています。

街では今週も、マスクを買うためにドラッグストアで100〜200人の行列ができていました。エタノールも売れています。医療機関勤務者が来ることもあります。

正しい手洗いや消毒薬の使い方に関する情報も多く見ます。その中で、たまたま見つけたのですが、消毒メーカーのサラヤの通販サイトでは、例えばガイドラインでは速乾性でも10-15秒必要など、プラスアルファの情報を掲載していました。たぶん、今回の騒動以前から記載されていたのだと思います。ただ売るだけのページじゃない。ちょっとしたことですが、素晴らしいなと思いました。

 

今週の大きな話題は、制度に関する動きですね。内閣府の規制緩和推進会議で、日本医薬品OTC協会が、今の市販薬の承認制度の問題点を挙げていました。とてもよくまとまっている資料がありますので載せておきます→会議資料

記事としてはこちらが詳しいですね。

規制改革医療・介護WG OTC協会がスイッチ承認スキームの見直しを要望 評価検討会議は「越権行為」 | ニュース | ミクスOnline

一言で言うと、今の制度は非常に厳しくて、新しい市販薬が発売されにくいという業界側からの意見です。これは業界側の以前からの主張だと思うのですが、現行のスキームを変えるとなると、かなり議論が必要になるでしょう。

 

さて、今週見つけた興味深い論文も紹介します。

アメリカにあるCVSというドラッグストアをご存知でしょうか。国内有数の超大手チェーンストアです。そのCVSがたばこの販売を止めたのは2014年のこと。健康を提供する企業として、たばこの販売はふさわしくないと考えたのです。一見すると企業利益を損なうような経営判断。現地メディアでは大きく報じられました。私もこのブログで取り上げました。

それから5年。CVSがたばこ販売を止めて、たばこを吸う人は減ったのか。CVSの行動に意味はあったのか。少なくとも日本で気になってる人は、ほとんどいないと思います。私もすっかり忘れてました、

そんな中、CVSがたばこ販売をやめた事で、消費者に行動変容はあったかを検証した論文が発表されていました。CDCに籍を置くのOffice of Smoking and HealthのAli博士の研究です。CDC??いまコロナウイルスの話題でよく出てくる、あのCDCです。もともとCDCの研究者なのか、企業から出向なのか(そういうシステムがあるかは知りませんが)は不明です。とにかく、米国の公的機関であるCDCです。さて、分析の結果は、CDCのアクションは喫煙者に影響を与えられなかったという残念なものでした。ただ、地方ではなく都市部では禁煙を試みる率はやや増え、都市部においては禁煙支援になるかもしれないとしています。エビデンスとしてはさほど強くないとは思いますが、こうした検証は非常に重要だと思います。

Tobacco-Free Pharmacies and U.S. Adult Smoking Behavior: Evidence From CVS Health's Removal of Tobacco Sales

CVSはたばこ販売をやめた時「喫煙をやめさせることはできないかもしれないが、他社が続けば」と語っていました。

私個人としては、やはり一社の決断で消費の行動変容は難しいなという印象です。まあ、当たり前ですよね。でも、徐々に変わっていくのだと思います。記事にもなっていました↓

CVS’ decision to stop cigarette sales likely led to more quit attempts

 

それから、SNSに関してちょっと面白い調査がありました。 論文によると、エジプト保健当局は2015年、製薬企業に対して消費者への異なる広告チャネルによる市販薬の宣伝を認める発表をしました。逆に、今までダメだったんでしょうか。驚きですね。この研究は、風邪・インフルエンザの薬を対象に、広告規制の緩和以後のフェイスブック上の広告効果を検証したというものです。その結果は、最も効果があったのが「シェア」で、それに「いいね」と「コメント」でした。広告効果としては、「シェア」が大事のようです。

Understanding The Factors Driving Consumers’ Purchase Intention of Over The Counter Medications Using Social Media advertising In Egypt: (A Facebook advertising application for cold and Flu products) - ScienceDirect

 

最後に身近な話題を。日本国内で6万人を対象に痔について調査したところ、約10%が痔の自覚症状を有していたそうです。約20%は痔関連症状を有しているにも関わらず、痔だと認識していませんでした。隠れ痔がたくさんいるかもしれない、というお話です。なお、英語のサマリーだけの確認で、本文読んでませんので詳細は不明です。

- 痔疾および痔疾用医薬品に対する生活者の知識および意識の実態調査