今年もお世話になりました。読んでくださった全ての方に感謝の気持ちを込めて、毎年恒例の市販薬ニュースTOP10を書きました。とりあえずこれだけ読んでおけば、市販薬のトレンドがざっくり掴めると思います。
2020年の仕事についてご報告・・・
とその前に2020年の私のご報告から。まあ、一言で言えば、今年はコロナですね。ニューストップ10も全部コロナニュースで埋められるといっても過言ではありません。それくらいコロナでした。そして仕事(本業)もとても忙しかったですね。もうね、日々のマネジメント業務で精一杯でした。秋以降になってようやく少しずつ新しい仕組みづくりに着手できました。来年も社内経営層に働きかけながら、さらに事業を前に進めていきたいです。
業務外での自己研鑽では、薬学関連の資格試験に合格しました。勉強時間が取れなかったので睡眠時間を削って、日中も隙間時間でひたすら勉強。精神的にかなり追い込まれたせいで、前日とか辛すぎて涙が出ましたよ。多分、学生時代の薬剤師国家試験よりも辛かったんじゃないかな(全然覚えてないです)。頑張りました、自分。
メディア関連での活動はあまり活発ではなかったですね。本業の都合で参加できなかったというのもあります。でも、今大きな仕事を抱えていますのでちょうどよかったかな。その中でもいくつかの成果物を紹介しますと、まず1月にNHKの市川さんに声をかけていただきこちらの記事ができました。
新型コロナウイルス「最適な消毒薬は?」「安全な使い方は」「入手困難どうすれば?」薬剤師に聞きました(市川衛) - 個人 - Yahoo!ニュース
雑誌は『販促会議』に記事を書きました。市販薬の販売についてです。そういえばkuriedits名義で雑誌記事を書いたのは初めてです。
市販薬販売は最善を尽くしているか?~専門的知見と経営的利益の衝突~ | 販促会議デジタル版
それから、こちらの書籍を分筆しました。わたしは市販薬販売での論文の活かし方という視点で4本書きました。市販薬販売に携わってる方に読んでいただけると幸いです。友人から「買って読んだけど、よくわからなかったよ」という感想をいただきました。いや、キミ弁護士やし。これは資格者用の書籍です。あしからず(でも買ってくれてありがとう)。
来年はメディア関連で大きな仕事を一つ世に出せそうです。お楽しみに!
それでは市販薬ニュース10選です!
それではお待たせしました、ドラッグストア利用者が絶対知っておきたい市販薬10選です!
10位 花粉症薬タリオンが発売
12月10日に花粉症薬のタリオンが発売しました。病院の薬としてはおなじみの薬がまたひとつ市販薬になりました。タリオンの市販化が国によって決まったのは2016年のこと。そこからなんと4年です。忘れた頃のタリオン。ですが、ご興味ある方は薬剤師にご相談ください。
花粉症薬タリオンが市販薬として発売。そして隠しきれない今更感【2020/12/7~12/11のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
9位 ベルフェミン承認取得へ
11月30日に新しい足のむくみ改善薬「ベルフェミン」の製造承認が取得されました。発売は来年になるでしょう。成分はセイヨウトチノキ種子エキス。多くの市販薬は、医療用医薬品から市販薬になることが多いのですが、こちらは昔医療用として使われていたものの、今では医療用医薬品にはない成分です。それだけに効果のほどが未知数なところ。薬に対する表現としてはやや不敵かもしれませんがあえて言うなら、”久しぶりにおもしろい薬”の登場です。
新しい足むくみ改善薬「ベルフェミン」がいよいよ登場か【2020/11/30~12/4のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
8位 市販薬のスイッチスキームを見直しへ
医療用医薬品として使われているものが市販薬になることをスイッチOTCと言います。このスイッチOTCの政府の決め方が見直されることになりました。これは市販薬業界的には大変大きな出来事です。方向性としては、スイッチOTCが増えることになりそうです。今病院でしか処方されていない薬が、市販薬になるケースが増えるということです。
2020/2/10~2/14までの市販薬情報です - ドラッグストアとジャーナリズム
7位 1回で治療完了の膣カンジダ治療薬が発売
新しい膣カンジダの薬「メンソレータム フレディCC1」が3月21日に発売されました。従来の膣挿入薬といえば、6日連続使用するものでしたが、この新商品は1回入れるだけで効果を発揮するというものです。とっても便利だと思います。
1回ですむ腟カンジダ薬の発売【2020/3/23~3/27のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
6位 リアップX5ネオ発売、乱立、そして価格破壊
発毛薬リアップX5の後継品としてリアップX5ネオが4月16日に発売しました。ミノキシジル製剤が乱立する中でのリニューアルです。また、既存のリアップ商品も容器が変更されるなどがありました。一方、ミノキシジル商品の価格破壊が目立ったのも今年でした。価格破壊が始まった時期は不明ですが、3000円台のミノキシジル商品(しかも濃度5%)がネットと、そしてリアル店舗でも発売されるようになりました。戦国時代です。
ついにリアップX5の後継品が登場【2020/3/30~4/3のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
5位 小児用アレグラ 1類薬に
11月9日に小児用のアレグラ「アレグラFXジュニア」が要指導医薬品から第一類医薬品になりました。今までこのアレグラジュニアといえば、要指導医薬品であるがために「代理購入不可」という大きな規制があり、親御さんが来てもご本人同伴でないと販売を断らざるを得ないという、本当に冗談のようなことがありました。それが第一類医薬品になることで解決されます。また、第一類医薬品になることでネットでも購入することができます。これも大きいですね。
アレグラジュニアが代理購入&ネット購入可能に【2020/11/9~11/13のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
4位 ヒルドイドの化粧品カルテヒルドイド登場
2017年のヒルドイド問題勃発以降、ヘパリン類似物質の商品が色々発売されましたが、今年ほど盛り上がった年はないでしょう。コーセーとマルホが組んで「カルテヒルドイド」というコスメを開発し、(医薬品ではなく)医薬部外品として9月16日に発売しました。注目度も高くドラッグストアでは品切れ状態に。周囲の評判も良いです。・・・と思ったら、11月に東京都から指摘を受けて愛称をカルテヒルドイドから「カルテHD」になりました(カルテヒルドイドはもともと商品名ではありません)。
今年はヘパリン類似物質の商品がたくさん登場しました。一番売れた(はず)のはジャニーズのタレントをテレビCMに起用した「ヒルマイルド」。そのほかにも、日本初のスプレータイプとなった「ザーネメディカルスプレー」、そしてこれまた日本初となった泡タイプの「ナチュラブルプラス ヘパフォーム」と豊作でした。
話題の2製品ヒアレインSとカルテヒルドイドが発売。そして今年の冬はヒルドイド戦国時代【2020/9/14~9/18のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
カルテヒルドイドが行政の指摘で名前変更へ【2020/11/2~11/6のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
3位 ヒアレインが市販薬で発売
眼科でドライアイ患者に処方されてきたヒアレインが、ヒアレインSとして市販薬になりました。ただし、ドライアイの人には使えないという、かなりややこしい位置付けです。とはいえ、これは文句なしに画期的なことです。それほど売れてないですけどね。9月16日発売。
2位 ロキソニンテープが2類に
ロキソニンの外用薬が8月25日に第一類から第二類になりました。薬剤師の安全確認なしで購入できるようになりました。他社からはジェネリックも発売されるようになり、温感タイプも登場しました。これもかなりのインパクトです。
ロキソニン外用薬がついに第二類医薬品に【2020/8/24~8/28のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
市販薬初!温感タイプのロキソプロフェンが発売【2020/11/16~11/20のニュース】 - ドラッグストアとジャーナリズム
1位 コロナウイルスで欠品した市販薬たち
今年はコロナ一色でした。ある意味、ドラッグストアや市販薬がこれほど注目された年もなかったかもしれません。マスメディアや政治家が、特定の薬がコロナに効果があるようなことを言うたびに、その薬を求める消費者が店に殺到してなくなりました。消毒薬もよく売れました。アセトアミノフェン、ポビドンヨード、精製水、エタノール・・・今となっては遠い昔のことのよう・・・。市販薬以外の衛生用品分野でも混乱もありましたね。次亜塩素酸水とかマスクとか、もうね、書ききれません。書ききれないくらい、いろんなことがありました。世間ではドラッグストアの店員に暴言を吐く来店者の問題がいっときフォーカスされました。私自身も「もう勘弁して・・・」と何度思ったことか。しかし、このコロナ狂騒曲、まだまだ続きそうで先が見えません。
以上が今年の10選です。これ以外にも、業界的には大小様々な出来事がありました。特に零売を巡る動きはダイナミックで、想像以上に普及しそうな気配です(零売とはなんぞやは省略します)。来年からは実証実験としてJR駅構内に出店する予定です。ケンコーコムが9月24日にサイト閉鎖となりました。楽天に引き継がれます。時代ですね。メーカー各社のキャンペーンも色々ありました。中でもキンカンによる100万円(のアマゾン商品券)プレゼントキャンペーンはすごかったですね。100万円ですよっ!当たった人は幸運ですね。あ、「マ蚊ロン」は当たりました。米国ではNSAIDSの妊婦の使用条件が変更されましたが、日本への影響は今のところないですね。かなりインパクトの大きなニュースだと思ったのですが。
こうして振り返ると、たくさんの”日本初”があったことに気づかされました。市販薬は面白いです。
どうぞ店頭ではお気軽に薬剤師または医薬品登録販売者にご相談ください。
それではみなさま、よいお年を。今年も1年ありがとうございました。たくさんの人に支えられました。まだまだ未熟者ですので、来年も暖かく見守っていただけたら嬉しいです。