今週は新商品のラッシュでした。すごいすごい。
一番の目玉は、解熱鎮痛薬のロキソニンの成分、ロキソプロフェンの液体が全国発売されたことです。ロキソニンを販売している第一三共ヘルスケアとは別の、大正製薬というメーカーが9月22日に発売した「ロキソプロフェンT液」という製品です。2020年に一部のドラッグストアで発売を開始していましたが、このたび、全国発売となりました。
ロキソプロフェンT液は1回分がチューブのような細長い容器に詰められていて、いつでも、どこでも、水なしでサッと飲むことができます。6本6回分で998円ですから、お値段は張りますが、便利です。欠点は、味でしょうか。こう、独特のクセがあります。率直にいうと、私は「とてもまずい!」と思いました。薬は「おいしい」と不必要に飲んでしまうので、あえて美味しくないように味付けすることがあり、この製品がそうした意図でこの味にしているのかどうかはわかりませんが、口に含んだ瞬間、ウエェッととなります。それから、容器が意外と硬いので、容器から薬液を全て吸い出すのに、やや力が入ります。あと、細いチューブ状なので、よくある使い切りタイプの目薬と間違わないように!
この薬、販売元は大正製薬ですが、製造販売元は日医工という、大手のジェネリックメーカーです。日医工は、医療用医薬品としてもロキソプロフェンの液体を作っており、今回の新商品はその医療用をそのまま市販薬にしたものと思われます。
ところで、ロキソプロフェンT液のように一部のお店でのみ試験的に発売というのは、市販薬では時々あります。また、処方箋受付をしているいわゆる保険薬局でのみ扱っている市販薬というのも、稀ではありますが存在します。それが、今月10日に発売した携帯できる洗眼薬「ウェルウォッシュアイ」です。いつでもすぐに目洗いできる点眼型洗眼薬で、成分はホウ酸です。コンタクト装着時でも使用可能なので、幅広い層に使っていただくことができます。この商品は実は2018年に薬局向けに発売されたものですが、今回、薬局以外にも販路が広がりました。誤解してはいけないのは、この目薬が”目を洗う”ためのものであって、目に潤いや栄養を与えたりはしないということです。異物等を洗い流すのが目的のためか、1回1〜3滴と説明書にあるふつうの目薬とは異なり、これは1回4〜6滴となります。差し心地はとても優しく、個人的には一切しみる感じがしません。類似の製品は、ライバルのロート製薬が昨年末に発売した「アルガードどこでも目すっきり洗眼薬」があります。こちらは清涼感があり、抗炎症成分などの有効成分が入ってます。花粉症症状へのスッキリ感は得られやすいでしょう。ただし、コンタクト不可なのでご注意。
洗眼薬のエビデンスについては、調べた上で、稿を改めて書きたいと思います。
新商品ラッシュはまだまだ続きます。
小林製薬から軽い尿もれを改善する漢方薬「モレナクト」(第2類医薬品)が9月22日に発売しました。中身は八味地黄丸という漢方薬です。小林製薬は尿の悩みに「ユリナール」という製品も以前から発売しており、こちらは清心蓮子飲という漢方薬です。宣伝文句は「モレナクト→軽い尿漏れ」「ユリナール→夜間の尿」とありますが、必ずしもそういう訳ではなく、例えば漢方の老舗メーカーのコタローのサイトでは八味地黄丸の特徴を夜間頻尿改善、清心蓮子飲は安神作用としてます。これはオーソドックスな説明だと思います。小林製薬とコタローの、どちらの説明が間違っているという話ではないのですが、このように同じ漢方薬でも、宣伝文句がまるで異なるので、市販の漢方薬をパッケージだけで選ぶというのは、なかなか難しいように思います。メディアから「自分で漢方を選ぶポイントは?」と質問されて、これは簡単なことではないなと思ったことがあります。この「軽い尿漏れ」という表現は、近年、認められた表現のようです。薬剤師の小嶋さんに教えていただきました。
それから、もう一つ。うるおい感が長続きする目薬「スマイルうるおいタイム」が9月22日に新発売しました。成分は塩化カリウムと塩化ナトリウムのみという、とてもシンプルなもの。特徴はミネラルオイルの添加です。ミネラルオイルとは流動パラフィン、つまり油分です。眼の乾燥、特に、マイボーム腺という油分を出す眼の腺に異常がある場合は、油分の点眼で一定の効果が得られると考えられています。海外ではひまし油の目薬があり、Walmartなどで販売されています。日本の市販の目薬でも、製品によって、使用感・満足感が違うのですが、それは油分の組成の違いからくる場合もあるのかもしれません。
参考資料
こちらは日本語です