『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

日本初、世界初、我慢できないトイレ薬「バップフォー」成分が女性用市販薬で登場【2021/11/22~11/26のニュース】

尿の悩みの処方薬として有名な「バップフォー」が、市販薬として11月24日に発売しました。名前はバップフォーレディです。成分名は「プロピベリン」で、この成分が市販薬として日本国内で販売されるのは、今回が初めてとなります。なんと、審査報告書によると、世界を見渡しても、この成分が市販薬として販売されている国は今のところないそうです。ということは、純ドメな薬なのかなと思ってIFを見たら、ちゃんと海外でも承認されて処方薬として存在するようです。

バップフォーレディの成分はバップフォーと同じではありますが、使い方は異なります。処方薬では男性にも女性にも使われてますが、市販薬は薬剤師の安全確認のもとで女性(15歳〜69歳)のみ服用可。これは、男性が使い場合は、女性が使う場合よりも注意が必要なためです。だから製品名も「レディ」が付いています。実は米国で、こうした症状に対する薬として2013年に初めて登場した市販薬も、「OXYTROL® FOR WOMEN」という、女性専用を強調した名前でした。こちらは日本ではポラキス、ネオキシテープという名前で、バップフォーと同じくらい有名な処方薬成分です。

OXYTROL® FOR WOMEN, the First Over-the-Counter Treatment for Overactive Bladder in Women, Now Available Nationwide - Merck.com

病院では長期的に処方されるバップフォーに対して、バップフォーレディは、効果があってもなくても、服用期間は最長で1ヶ月とされています(添付文書にはありませんが審査報告書にはそうありますね)。それ以上使いたい人は、受診をすることになっています。

肝心の効果の程度はどうでしょうか。昼間10回以上あるいは夜間2回以上の頻尿に悩む患者を対象にした臨床試験では、効果を実感できた人は41%でした。半数以上は効果なしだったということになりますので、それほど高い効果は得られないような印象です。ただ、市販薬を使う人は、病院を受診する人よりも軽度なので、そういう人たちにとっては、良い塩梅の製品になるかもしれません。服用1週間後よりも2週間後のほうが高い効果が出ていますので、まずは1箱を飲んで様子を見るのが良さそうです。ただし、価格は1週間分で税抜き2500円。継続するには難しいお値段です。薬理作用としては、単回服用でも効果がでないわけではないはずなので、旅行などで支障が出る場合などにだけ飲むというのが、まずは想定される使い方の一つかなと思うのですが、いかがでしょうか。

この薬についてはどこかでまとめて整理して書きたいなと思っています。

 

いずれにしろ、現時点で今年一番の注目の新商品といえます。このようなスイッチ薬はもうしばらく発売が続きそうです。発売時期は未発表ながらも小林製薬の「イラクナ」という製品も控えています。こちらはイトプリドという胃薬で、病院でもよく処方されるお薬です。市販化されたら、胃食道逆流症の経験者が購入するようになるでしょう。

 

今週の資料

バップフォーについて

特設サイト

バップフォーレディ ~突然のがまんできない尿意に~|大鵬薬品工業株式会社

審査報告書 

https://www.pmda.go.jp/otc/2021/O20210406001/400107000_30300APX00149_Q100_1.pdf

申請資料

新一般用医薬品の承認に関する情報

議事録

2021年3月3日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録|厚生労働省