『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

鬼滅の目薬が11日発売。大人用から子供用まで全7種類。子供用のロジックは?【2021/11/29~12/3のニュース】

13日からアニメで新シリーズがスタートする「鬼滅の刃」。このタイミングに合わせて、11日にロートとのコラボ目薬が発売します。なんと今回は、全部で7種類。過去最多のバリエーションではないでしょうか。

jp.rohto.com

こうした目薬は、4年前のスライム目薬の大ヒットから、様々な形で続いています。当時のブログを読み返すと、私は好意的に捉えていたようです。ただ、もちろん、こうしたおもちゃ感覚とも言えるような企画を薬で売り上げの材料にしようとすることには、それはおかしいのではないか、という意見があるのも事実でしょう。

特に、鬼滅の刃は子供にも人気です。今回は、子供用のコラボ目薬も登場しています。大人をターゲットとしていたスライム目薬とは、この点で事情が異なるのです。

子供用の目薬に人気キャラクターが起用されることは、珍しいことではありません。昔は、むしろ、子供用の目薬にこそ、アニメのキャラがコラボしていました。プールの後にドラゴンボールの目薬をさすというテレビCMは、一定年齢以上の人であれば強く記憶に残っていることでしょう。そこには、プールの塩素などで充血した目に対して、子供が目薬を嫌がらないようにアニメでごまかしながら治療ができる、という、目薬と人気アニメのコラボを正当化させるプロモーション上のロジックがありました。

お目めが真っ赤だ〜★ドラゴンケースに入れてね♪でおなじみの目薬「ロート子どもソフト」 - Middle Edge(ミドルエッジ)

翻って、今回の鬼滅の刃の目薬はどうでしょうか。なぜ子供の目薬に、購買意欲を掻き立てる人気キャラクターを起用するのか。ロジックがなければ、お菓子のおまけと同じになってしまうでしょう。

ここ数年、すっかり当たり前になってしまった人気キャラクターのとコラボ目薬ではありますが、その是非については、いったん冷静に見つめなおす必要があるのかもしれないと個人的に感じました。

 

【今週の資料】

Refractory gastric ulcer due to undisclosed use of topical diclofenac epolamine patches

→外用NSAIDSの消化管障害についてよくまとめられている貴重な報告です。68歳女性、タール便による緊急入院。3ヶ月以上にわたる局所NSAIDS(diclofenac 20mg,8枚/d)の使用が判明し、これにより消化性潰瘍をきたした可能性。OTCとは明記されていませんが、説明のつかない難治性の消化性潰瘍はOTCの可能性を疑うとしています。ジクロフェナク20mgというのは、どの薬でしょうか。

 

酸化マグネシウム含有の一般用医薬品販売時の考慮すべき患者背景と適正使用に関する情報提供内容のエビデンスの構築(2021)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/appliedtherapeutics/16/0/16_77/_pdf/-char/ja

→市販の酸化Mgにも年齢や腎機能への配慮が必要ではないかという視点。現在は相談することの欄に「高齢者」がありますが、読んでいる人は少なそうです。

 

若年者の一般用医薬品による急性薬物中毒の現状(2021.12)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/141/12/141_21-00147/_pdf/-char/ja

→興味深い調査です。 ”本検討における 20 歳未満の患者においては、インターネットによる製剤の購入は 1 例のみであり、ドラッグストアなどの店頭で 80%が購入していた.これらは若年者の特徴の 1 つかもしれない”。先行研究も色々と紹介されており、全体像を把握するには非常に良い報告となっています。必読。