『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

抗原検査キット市場戦線に以上あり。気になるグリシンの胃保護効果は?【2022/10/17~10/21のニュース】

大正製薬が抗原検査キットを11月中旬より発売すると20日に発表しました。前日19日には小林製薬も製造販売を取得したことを発表。製品数が増えることで価格が下落し、家庭用検査薬として実用的な価格に落ち着きそうです。現状は一回分で千数百円から二千円以上なので、ちょくちょく検査することは難しいでしょう。新型コロナのような検査キットは安価であるほうが、公衆衛生上の実用性が高いといえます。各製品にも、価格、使用方法、使用回数のそれぞれに特徴があることも良い傾向だと思います。例えば、小林製薬の検査キットは唾液と鼻ぬぐいの両方で使え、1箱で2回分です。

 

もう1つニュース。アセトアミノフェンの鎮痛薬「ナロンm」が10/18発売しました。アセトアミノフェンを発売するブランドが増えています。

今回のナロンmは、ビタミンB群と、胃粘膜を保護するとされるグリシンが配合が特徴です。胃障害がもともと少ないアセトアミノフェンにさらに胃保護成分を加えるという、日本型複合剤インフレーションを感じさせる製品です。

そもそも、胃保護にグリシン?確かに、全薬工業の総合感冒薬ジキニンファーストネオなど、ごく一部の薬には胃保護としてグリシンが使われています。ざっと調べたところ、グリシンには胃酸分泌抑制作用があるようです。ただ、非常に古い年代の研究ばかりなうえに、ラットでの試験で肝心のヒトの臨床試験が見当たりません。一番まとまっているのはこちらかと思います(5.5. Gastric Ulcer Treatment by Glycine)。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5350494/

アセトアミノフェンに胃保護成分が必要?

グリシンに臨床的に意味のある胃保護効果はある?

そんな二重のギモンを抱えながらの新発売です。