今週、厚労省で「令和6年度第8回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」が開かれ、有識者たちによって市販薬の販売ルールが検討されました。議事録は後日アップされる予定ですが、資料は閲覧することができます。今後のセルフケア・セルフメディケーションを考えるうえで重要な資料なので、今回はここから私的ポイントを2点挙げて紹介します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44832.html
ポイント①濫用医薬品について
20歳以上の大人であっても、頻回購入や大容量購入を希望する利用者には、氏名確認や記録の確認・保存をおこなう方向になりそうです。いままで頻回利用者のデータ管理は、各企業任せでした。当然、しっかり管理している企業もあれば、ザルな企業もあります。こうしたルールが設置されたことは大きな前進だと思います。
店頭でのオペレーションは今よりも増えるでしょう。そもそも大容量製品は販売しないという店も出てくるかもしれません(大手は、そこは現場努力でヨロシク!お客様の選択の自由を奪わないために!という判断になるかもですけど)。
ポイント②遠隔販売について
資格者がいない店舗で市販薬を在庫し、お客さんがきたら遠方の有資格者(薬剤師等)とビデオ等でつないで安全確認をして販売するという方式が許可されそうです。ここでのポイントは、在庫を持ちお客さんに販売するフロントの店舗に、有資格者がいなくてよいことです。たとえば風邪を引いたとして、近所のセブインレブンに行き、店頭に設置されたビデオで遠方のアマゾンの薬剤師と会話したうえで、その場で風邪薬を購入・入手するイメージです。ただし、今回の資料では、購入する場所と相談する薬剤師が同一法人であるか否かは記載されていません。
みなさんの関心が高いのは濫用医薬品の販売ルールでしょう。
濫用成分の販売を継続する。規制は厳しくする。こういう方向です。でも、私としては、コデイン・デキストロメトルファンを一時禁止にしてもいいのではないかという気もします。「絶対コデイン売りたいマン」が、どこかにいるのでしょうか?医薬品の濫用は、いまここにある現在進行形の社会問題です。鎮咳成分は漢方・生薬などの代替品があります。デメリットを受ける消費者は限定的です。
永久追放しろという話ではありません。薬剤師が関与する第一類医薬品という形で、コデインやデキストロメトルファンを復活させる方法もあると思います。
こうした前例を作ることができれば、メーカーも安易に濫用製品を売るような姿勢を取らなくなり、再発防止にもつながるでしょう。