『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

要注意!親の発毛剤で、子供が「オオカミ」になる【2024/12/2~12/6のニュース】

親の使用している発毛剤が原因で、「狼男症候群(多毛症)」が子供に発症する。スペインの保険当局が、発毛成分に関する意外な警告を発したことが報じられました。以下、日本の記事を引きます。

スペイン保健当局が最近、市販の薄毛・脱毛治療薬「ミノキシジル」の使用が、乳幼児の「狼男症候群(多毛症)」の発症につながる可能性があることを公表して警告を発した。親が使用するミノキシジルが、乳幼児の皮膚や口などを通じて体内に吸収され、それによって発症したという。同様のケースが欧州で2023年以来、11件確認されたことをスペインのニュースメディア『El Economista』が報じた。

https://news.livedoor.com/article/detail/27710861/

発毛成分「ミノキシジル」は、日本では「リアップ」などの製品名でドラッグストアで販売されています。リアップは頭皮の髪の薄くなった部分に直接塗布する液体タイプの薬です。ところが、親が意図せず子供の皮膚などに薬効成分が接触してしまうことで、多毛症を発症したケースが複数報告されています。

ふつうは、発毛成分が頭皮以外の部分に少々付着したからといって、そこの毛が増えるなんてことはありません。しかし、小さな子供は皮膚が薄いために体への吸収がよいことや、あるいは誤って舐めたりすることがあるため、多毛症になることがあるようです。

また、一般的な塗り薬は塗布部分にのみ効果を発揮し、体全身への影響が少ないとされていますが、子供の場合は塗布量が多いと全身作用が現れる可能性が、過去の研究で示唆されています。

実際にミノキシジルで多毛症が現れた子供の写真がこちらの症例報告にあります。本報では、円形脱毛症の2歳の子供に、医師から処方されたミノキシジル5%を2ヶ月間塗布したところ、腕や背中に多毛症を発症しました。親は、ミノキシジルを指示された量よりも多く使っていた可能性を認めており、ミノキシジルの使用を中断すると多毛症は改善しました。

日本ではミノキシジル(リアップ)はありふれた発毛医薬品です。使っている成人男性は珍しくありません。しかし、自宅に小さな子供がいる場合、その扱いには注意が必要です。

リアップを頭皮に塗布したあとで、頭皮を指でマッサージする人がいます。すると指に薬液が塗布されます。指に薬が付着したまま、子供に触れることが常態化していたら・・・?

リアップの説明書には、使用後は手を洗うように記載されています。小さなお子様がいる家庭では、塗布薬を使ったあとは、手を洗うこと、そして薬は子供の手の届かない場所に置くことが基本です。子供をオオカミにしないために。