6月に国内初となるPPIと呼ばれる胃薬「パリエットS」がエーザイから発売しました。そして今週、国内第二弾となるPPI「オメプラールS」が8月5日に発売されることが今週発表されました。発売元は佐藤製薬です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000035541.html
パリエットとオメプラールは、どちらもPPIと呼ばれる効果の高い胃薬です。胃酸を抑えることで胃痛などを和らげます。オメプラゾールは海外の企業(現アストラゼネカ社)が1970年年代に開発した世界初のPPIで、世界110カ国以上で使われています。パリエットは日本のエーザイが開発して1997年に医療用として発売しました。どちらの成分もCYP2C19と呼ばれる酵素によって代謝を受けますが、パリエットはその影響が少ないことがわかっています。CTP2C19は遺伝によって活性が高い人と低い人がおり、日本人は欧米人と比べて低いことがわかっています(約20%)。つまり、日本人にとってパリエットは効果に個人差がでにくい薬であるという特徴があるというわけです。もっともこれは、開発段階で偶然判明したことのようですが(https://iryogakkai.jp/2007-61-01/63-64.pdf)。
話を戻しますと、8月に発売するオメプラールは、もっとも古くから今に至るまで使われてきたPPIなので、さまざまな臨床データがあります。そういう意味では安心と信頼の実績、みたいなところはあるでしょう。
しかし、この事実を差し引いても「世界初のPPI」という宣伝文句はどうなのか。発売元の佐藤製薬が開発した薬ですらないのに、そこをアピールする意味とは?たぶん、「世界初」という言葉を使って、関心を集めたかっただけのでしょう。