『家庭の薬学』

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51年ぶりの新商品なのに薬効成分が減った「正露丸クイックC」を使う

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 新しい正露丸が登場!効くのかな?

【第2類医薬品】正露丸クイックC 16カプセル

【第2類医薬品】正露丸クイックC 16カプセル

 

ラッパのマークでお馴染みの下痢止め「正露丸」シリーズに、51年ぶりの新商品「正露丸クイックC」が登場した。4月3日からドラッグストアで販売されている。

従来の正露丸と何が違うのか?

 

「正露丸」「正露丸糖衣」「正露丸クイック」の違い 

まず、成分の違いについて。

これがなんと、薬の主成分が減っているじゃありませんか。・・・新製品なのに退化だと!?

以下、各製品の1回あたりの含有成分(正露丸、正露丸糖衣は1日分表示を3等分計算した※)

★正露丸★

日局木クレオソート 133mg

大腸の過剰なぜん動運動の正常化、腸管内の水分量の調整、腸内静菌

日局アセンヤク末 67mg 腸の運動調整

日局オウバク末 100mg 健胃作用、腸内静菌

日局カンゾウ末 50mg 胃粘膜障害防止作用、解毒作用

陳皮末 100mg 健胃作用

★正露丸糖衣A★

日局木クレオソート 90mg 

日局ゲンノショウコ末 100mg 

オウバク乾燥エキス 100mg

★正露丸クイックC★

日局木クレオソート 90mg

 

正露丸の成分の一番大事なのは、「木クレオソート」だ。腸内の水分を調節して水っぽい下痢を改善してくれる。肝心な成分なのに、その量が正露丸>正露丸糖衣>正露丸クイックCの順で少ない。しかも、正露丸クイックCに含まれるのは木クレオソートだけで、そのほかの胃腸を健康にしてくれる生薬が欠けている。

薬効成分だけ言えば、正露丸クイックCは明らかに見劣りする。

 

正露丸クイックの特長は「速く溶ける」「臭いがない」 

その代わり、成分以外の特長がある。

正露丸クイックCは、液体カプセルタイプなので、溶けるのが速い。メーカーによると、6分で溶け出す。これがどれだけ”速い”のか、また実際の”効き目の速さ”として表れるのかはわからない。急な下痢に、少しでも早く効いてほしいという人にはいいのかもしれない。メーカーによると通常の正露丸も30分で効き目が表れるそうなので(※2)、30分待てるかどうかといったところか。

もう一つの利点として、正露丸特有の臭いがほとんどしない。カプセルとしてコーディングされているためだ(糖衣も臭いはしない)。そして米粒ほどの大きさなので飲みやすい。

 

ただし、値段は割高

価格はどうか。

アマゾンでは以下の価格になっている。

正露丸200粒 約66回分で1000円(税込)

正露丸糖衣A84錠 21回分で1236円(同)

正露丸クイックC16カプセル 8回分で1080円(同)

正露丸クイックCの値段の高さが際立つ。通常の正露丸が非常にリーズナブルに見えてくる。 ちなみに、正露丸クイックCは新発売商品のため、値崩れされておらず、ぼくの近所のドラッグストアでは税込1080円で同一価格で販売されていた。

値段がバカ高いのに、有効成分は少ない。大変芳ばしい新商品である。

 

正露丸クイックCを飲んでみたよ

さて、昨日突然の腹痛に襲われたぼくは、近所のドラッグストアで正露丸クイックCを購入して飲んでみた。箱を開けてまず驚いたのが、カプセルの小ささ。米粒くらいだろうか、とても飲みやすい。正露丸特有の臭いもほぼないので、手に臭いがつかない。服用後、お腹の痛みが軽減し、便意も減った。ただし、これが薬のせいなのか、自然と治ってきたのかはわからない。

正露丸は薬剤師から異論のある薬で、「まともな薬剤師は正露丸なんて勧めない」という人さえいる。ここ何年か、正露丸を愛用しているぼくは、それは若干いいすぎじゃないかと思っている。

もっとも、薬に何を求めるかは人それぞれだろう。正露丸クイックCを重宝する人がいてもいい。ぜひ、ドラッグストアの店頭で、薬剤師か登録販売者に「正露丸クイックCって、フツーの正露丸より良いですか?」と尋ねて、相談してみてほしい。

それにしても、薬の主成分が減り、値段も高いという不思議な新商品が登場するのは、市販薬特有のことなのか、他の小売製品にも起きていることなのか。気になるところだが、これはまた別の話として語りたい。

 

※1効果はメーカーウェブサイトより引用

※2 メーカーウェブサイトのよくある質問より

正露丸&セイロガン糖衣Aに関するご質問|よくあるご質問|大幸薬品株式会社