ドラッグストアなんてどこも同じと考えている人は結構いると思うのですが、そうとも言えないんじゃないでしょうか。こんなドラッグストアをご存知ですか?
①顧客満足度7年連続1位
②突出した急成長を実現
③働きやすい企業ランキング1位
この3つを満たすのが、西日本で展開している「コスモス薬品」というドラッグストアです。お客さんが満足して、会社が急成長して、従業員が働きやすいって、どんだけ最強ですか。WIN-WIN-WINじゃないですか。
コスモス薬品の1つの特長は、ある公益財団法人の顧客満足度調査においてドラッグストア部門で7連続1位であることです(※)。
同社は「エブリデー・ロー・プライス(毎日安い)」です。特売日がありません。タイムセールもありません。ポイントカードもなし。クレジット決済不可。そのかわり、コストを限りなく減らして1円でも安くする戦略をとっています。
2つめの特長は急成長。業界紙「ダイアモンド ドラッグストア」が2017年9月号で特集記事を組みました。10年間で売上高4倍、営業利益は6倍。高速出店により店舗エリアを拡大しているそうです。
コスモス薬品の3つめの特長は、働きやすいこと。といっても、まあ私が実際働いているわけではないので伝聞の域はでないのですが、転職口コミサイトの「働きやすい企業ランキング」ではドラッグストア部門で1位を取っています。
口コミによると、パワハラがない、休暇が取りやすい、ノルマ管理がない。さらに、九州在住の方からこんなツイートをいただいたこともあります。
九州はコスモスがかなり多いんですが、
— T.Yamato (@teiyamato) 2017年11月22日
・元旦は全店休む
・普通は8時、遅い店舗でも9時には閉まる
・医薬品購入者は必ずレジで説明が必要か聞かれる
・品揃えも売れ筋に絞る
・医薬品担当者は医薬品カウンター周辺に専念
・ポイントカードなし
…と合理化や法令遵守の姿勢が凄いと思います。
ライバルのドラックストアモリは、僕の住んでいる田舎でも12時まで営業していますので、会社の方針だと思われます。スーパー等もだいたい10時まで開いてますしね。
— T.Yamato (@teiyamato) 2017年11月23日
九州では、だいたいコスモスかモリか、という感じです。
すごくないですか?私の九州の知り合いに聞いたところ近所のコスモスは深夜まで営業しているそうで、全ての店舗がさっさと閉まるわけではないでしょう。転職サイトのクチコミにしろ、信ぴょう性はそう高くありません。それでも、こういう声が出てくること自体がすごいことです。他のドラッグストアはそうはいきません。
同社の利益が高いのは販管費の低いためです。1㎡当たりの販管費は7万1000円(売上対販管費率155%)で、同業他社平均の18万1000円を大きく下回ります。主な要因は売上高対人件費率の低さです。同業他社の約半分の人員数で店を運営しています。また、パートタイマーの比率が高いことも人件費の低い理由となっています(詳しくは前出の「ダイヤモンド ドラッグストア」を参照ください)。
私の感覚では、極端に少ないマンパワーで運営する小売企業というのは、一人一人が非常にきびきび働きますし、接客も概ね良いのですが、その分、従業員同士がピリピリしており、疲弊しているというか、総じて従業員の職場への満足度は低い傾向があります。だからこそ、働きやすさ1位を獲得しているコスモス薬品はすごいと思うわけです。九州に行ったら是非コスモス薬品に立ち寄ってみたいですね。
ちなみに同社は調剤事業(病院の処方箋を受け付ける仕事)は手掛けていませんが、現社長はいずれ調剤分野にも進出する明言しています。時期はいつか?少々専門的な話になりますが、前出の雑誌記事で社長がクレバーな回答をしているので紹介します。
1~3年後、遅くても5年後くらいまでには医療行政に何らかの変化があると思います。国民医療費削減の方向の中で、処方せん1枚当たりの利益率が大きく減る、もしくは減らさないといけない時代がくるのではないでしょうか。そのときがマンツーマン分業から面分業への転換点になると思います。面分業の時代は、処方せんの獲得枚数が勝敗を分けることになると思います。そのときは集客力のあるDgSが調剤需要を取り込めると考えています。
いまドラッグストアが行うべきは、調剤参入で競合他社との差別化を図ることではなく、医療制度が変わった後に処方せん枚数で勝負するために今から客数が多い店を作っておくことだそうです。
参考情報
※https://www.cosmospc.co.jp/pdf/180214_customersatisfaction.pdf