『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

サービス業にピッタリ!舐めてもバレないフィルムトローチ「ピタス」

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世にも珍しいフィルム状のトローチ

のど飴を使いたい。けど、接客業だから舐めらない・・・。

そんな人向けの便利なトローチがあります。「ピタス」。なんと、世にも珍しいフィルム状のトローチです。

舌で転がして舐める必要がなく、いつも通りおしゃべりできます。

2017年に発売。最近になって試しに使ってみたら、いつの間にか3箱目・・・。

会話中でも会議中でも使える便利さ

ピタスはフィルム状のトローチです。1箱に12枚のシートが入っていて、開くと中からピンク色の丸いフィルムが登場します。フィルムは直径1.5センチ。

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使い方は簡単です。舌の先にフィルムを置いて、舌で上顎につけます。すると、ピッタリ張り付いて取れなくなります。あとは薬の成分が徐々に溶けていきます。会話中でも、会議中でも、カラオケ中でも使えます。水を飲んでもはがれません。薄くてかさばらないから携帯性は抜群です。

使い方は1日4〜6回。15歳未満は使えません。

めっちゃ美味しい!・・・と思いきや

実際に口の中に貼ってみました。まず口に入れた時の印象は、とても美味です。口の中に広がる優しいピーチの味。こんなに美味しいおトローチがあっていいのでしょうか?震えます。

ところが、感動もつかの間、数秒ほどすると、苦味が。微妙な苦味がピーチと混じり、一層微妙な味になってきます。美味しくは・・・ないな。と気付くわけでありました。

持続時間は1枚で20〜30分ほど。薄いわりには、意外と長い時間もちます。

喉の痛みに効くのか??

肝心の効果です。

ピタスに含まれるのは「セチルピリジニウム塩化物水和物」 という殺菌成分です。昔からのど飴で「ヴイックス(VICS)」と同じ成分です。なので、ヴイックスのトローチ版と思っていただいて結構です。

セチルピリジニウムは菌を殺す効果があります。菌とは細菌です。ウイルスではありません。我々が普段ひく風邪の症状は、基本的にウイルスが原因ですので、このトローチは風邪の原因を倒してくれるわけではありません。

ただ、医療用のセチルピリジニウムのトローチを使って、喉の痛み(急性咽頭炎)が改善したという古いデータ(1970年代※)はありますので、まあ、全く意味がないというものでもないようです。喉が痛いなら試しに使っても良いと思います。舐めている間は唾液が出やすくなりますので、喉が潤うこともメリットの一つだと思います。

前出の医療用の古いデータによると、口の中の菌の数を減らすことがわかっています。「使用前に対する細菌数を比較した結果、減少率は30分で75.4%、60分で64.4%、120分で52.5%であり、服用後30分で最大減少を示した。」としていますので、わたしが実感した1枚で20〜30分もつというのはまさにピッタリな時間です(ただし、医療用は2mg、ピタスは1枚1.4mg弱)。この試験によると4時間後には口の中の菌の数は元に戻ったそうですので、連続して使う場合は4時間以上空けると良いかもしれません。

使った後に、ちょっとヒリヒリするような・・・

最後にデメリットですが、フィルムを貼った場所が、フィルムが解けた後も少しヒリヒリする感じが残ります。殺菌成分なので刺激はあるのは当然でしょう。同じ成分を使っているビックスなどののど飴では、わたしはヒリヒリしません。フィルムは一箇所に貼っているので刺激が出やすいのかもしれません(勝手な想像ですけど)。

というわけで、取り立ててオススメな商品というわけではないのですけど、気分転換にコッソリ舐めるのにはちょうどよく、いつの間にか3箱も使ってしまっていました。

ピタスは医薬品ではなく「指定医薬部外品」というジャンルになります。医薬品よりも販売の規制が緩いので、薬の資格者がいないスーパーやコンビニの棚でも見かけることがあるかもしれません。

でも、詳しく知りたいという方は、ドラッグストアの薬剤師または登録販売者に「ピタスって便利ですか?」と聞いてみてください。

ちなみに、2019年には「ピタスせきトローチ」という咳止め成分(デキストロメトルファン)のフィルム薬も発売しました。せきトローチの方は医薬品です。

ではでは(今回初めてGIMPで描きました)。

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参考情報

※医療用のセチルピリジニウムであるセチルピリジニウム塩化物トローチ2mg「イワキ」のIF、添付文書より。いずれも1970年代の研究。