ヘルスリテラシーの学会に先日行ってきました。とても面白かったのですが、書くと長くなりそうなので、いずれ整理して紹介したいと思います。
今日は9月25日に発売した小林製薬『のどぬ〜る鎮痛ドロップ』について書きたいと思います。ユニークな成分のドロップです。
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/nn_td/
この新商品は局所麻酔成分「アミノ安息香酸エチル」が配合された、喉の痛みに使うドロップです。ふつう、喉の痛みに使うドロップやトローチのほとんどは、炎症を抑える成分や殺菌成分が配合されたものです。病院で処方されるドーナッツ型の「SPトローチ」も、デカリニウムという抗菌成分の薬です。
ところが、今回発売した「のどぬ〜る鎮痛ドロップ」は抗炎症も殺菌成分も配合されていますが、それだけではなく、局所麻酔成分まで配合されているところが非常に珍しい。
じつは海外では、局所麻酔成分の入ったドロップは珍しくありません。欧州の薬局で購入した、私の自宅の薬箱のドロップにも、麻酔成分のリドカインが使われています。リドカイン自体は、病院の手術などに使われる、ごくありふれた麻酔成分です。
「のどぬ〜る鎮痛ドロップ」に使用されているアミノ安息香酸エチルは、日本では医療用で歯科向けの局所麻酔薬がいくつかあります。
市販薬としては、乗り物酔いに使われることがあります。たとえば「アネロン ニスキャップ」という飲み薬は、胃の反射嘔吐を防ぐための胃粘膜局所麻酔成分としてこの成分が配合されています。また、一部の痒み止め薬にも、塗り薬として使われています。ただ、今回のようにドロップに麻酔成分が使われるのは、海外とはちがって日本ではとても珍しいといえます。
注意点としては、過去に歯医者の治療などで麻酔が体に合わなかったかた(安息香酸エチルによるアレルギー反応経験者)は、使用を避けるべきです。また、メトヘモグロビン血症の診断を受けたかたは、この麻酔成分で症状が引き起こされる可能性があるので、使用が禁忌となっています。
ドロップひとつとっても、日本と海外では差異があって面白いと思います。
海外のドロップには、日本人からすると衝撃的な味が存在します。以前このブログで紹介した「生姜とワサビとプラム」の味付けがされているstrepsils warm sensationの不味さを超えるものはないかと。
さて、そのほかの今週のニュースです。「養命酒製造 桃核承気湯エキス錠」が9月30日に発売しました。最近は養命酒も自社の漢方薬を発売するようになりました。養命酒の会社である養命酒酒造は、カフェや複合体験施設なども運営しており、サービスの幅が手広い一方で、薬はほとんど「養命酒」の一本足打法でした。おそらく手探りだとは思いますが、漢方薬のラインナップも増えていくと思います。
続いて、「キャベジンコーワαプラス」が10月2日に新発売。健胃効果のある「コウボク」と水酸化マグネシウムを追加配合・・・とウェブサイトにはあります。しかし、旧製品からの引き続き成分であるソヨウの量は減少、そして制酸剤は種類も量も変えており、新商品は単純に新成分が追加配合されたものというわけではないようです。良くなったのかどうか、わかりにくいところが残念です。