『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

予想以上に時間と費用がかかった粉瘤手術体験

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粉瘤で1か月以上かけて4回通院

ぼくは背中に粉瘤ができた。そのときの経験を紹介する。

粉瘤を治すために、ぼくは5週間かけて4回通院した。もう、ほんと勘弁してほしい。かかった費用は、1万6000円くらい。もっと早めに受診していれば、通院も2回、費用も1万円ほどですんだのに。あーあー。

 

「そのうち治るだろう」という甘い考え

前回書いた通り、粉瘤とは、ひとことでいうと、皮脂や角質の集まりだ。皮膚の下に、なんらかの原因で袋状のものができてしまい、その中に角質などの老廃物が溜まってしまう。外から見ると、こぶのような状態だが、皮膚の下にはこれがある。

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ぼくの場合は、いつの間にか背中に粉瘤ができていた。痛くもないから

「たまたまおできができたんだろう、そのうち治るだろう」

と思って数年間放っておいた。数年も続くのに普通のおできなわけがないんだけど、めんどくさい、というか深く考えるのが怖い?から、そのうち、

「数年間、不都合がなかったんだから、このまま放っておいても害はないだろう」

と考えるようになった。奥さんから「大きくなってない?」と言われても、たいして気に留めなかった。 ところが、あるとき、コブが大きくなっていることに気づいた。不気味に感じた。毛穴が詰まって大きくなったのかな?と思い(たかったので)、風呂場でゴシゴシ洗うようにした。だが、これがいけなかったのだろう。しばらくすると、赤くはれてきた。

痛い。ゴシゴシ洗って、皮膚を傷つけてしまったのかもしれない。市販の化膿止めを数日塗ったが、時すでに遅し。症状はおさまらず、どんどん痛くなる。こりゃあ、皮膚科で薬をもらわないといけないかもな・・・。この時はまだ、皮膚科で簡単に治してもらえると思っていた。そういう甘い考えばかり続けるぼくを見かねた妻が、ネットの情報を拾ってぼくに見せてきた。

「ねえ、それって『粉瘤』じゃないの?」

えなにそれ?手術が必要?いやまさか?妻がググって見せた粉瘤の症例写真は、まさにぼくの背中のデキモノそのものだった。ぐはー。

 

膿を絞り出し、皮膚を切り裂く

観念して、ネットで腕の良さそうな皮膚科を調べて受診した。ネット上では、腕のよくない医師に手術してもらいひどい目にあった、という記述もあったから、けっこう慎重に調べた。

ぼくが行った皮膚科医は、症状を話すと、じゃあ背中見せてといって、洋服をめくると、0.5秒で「ああ、これね」といって粉瘤の診断を下した。早すぎて不安になる。

化膿しているので今日は膿を出して、炎症が収まってから手術をすると説明された。

診察台にうつぶせになり、切開されて、膿を絞り出された。かなり痛い。ガーゼを貼って、

「風呂はガーゼを貼ったまま。入浴後に毎晩、張り替えてください」

と言われ、鎮痛剤と抗菌薬(塗り薬と飲み薬)が処方された。当日は動くと背中がヒリヒリして焼ける痛み。風呂から上がると、血が・・・。

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それから数日間はけっこう痛かった。

1週間後に再受診。赤みが引いてきたので、2週間後に手術と伝えられる。

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 で、手術。

採血したあとで、手術開始。麻酔注射はかなり痛い。そのあと、チョキチョキと袋を皮膚からはがす音が聞こえてくる。ネット上では「麻酔注射以外は痛くない」という記事を事前に読んでいたけど、実際は微妙に痛かった。縫合して計15分ほどで終了。ふたたび、痛み止めと抗菌薬を処方される。

こんどは粘着力の強い絆創膏を貼られて、

「これは貼ったままにしてください。ふにゃふにゃになったりしたら取り替えてください」

と言われる。そして1週間後、抜糸。終了。

結局、4回も受診して、1万6000円ほど支払った。

 

背中のできものは、変化があったらお医者さんへ!

症状がないうちに病院で手術を受けることは、めんどくさいと思うだろう。ただ、せめて、最近大きくなったとか、ちょっと炎症が起きているようだとか、そういう変化があったらすぐに皮膚科を受診することをお勧めしたい。ドラッグストアじゃなくてね。

ところで、余談になるけど、今回驚いたことの一つに、手術の明細がある。

手術は約1万円ほどかかった。これは他院の価格表をみるかぎり、妥当な値段である。その内訳で最も高額だったのは「皮膚腫瘍摘出手術(露出部以外)(長径3センチ未満)」として12800円(うち3割が自己負担)で、これはいいとして、不可解だったのは、病理診断として「病理組織標本作成 1臓器」8600円(うち3割が自己負担)だ。

標本作成に8600円!?素人考えて申し訳ないですけど、ちょっと高くないですか?というか、いつ標本作ったの?標本作成は国が定めた保険制度に則っているから問題はない。でも、8600円支払って、何がなされたのか知らされないというのは、どうにも納得できない。

粉瘤が悪性だったという症例もあるらしいので(※)、標本を作製して病理診断することは多分、意味があるんでしょう。病理診断に技術がいるとは聞いたことがある。でも、そういう説明も一切なしで8600円取られているというのは、どうなんでしょうか。8600円という値段の妥当性も、ぼくにはよくわからない。そういう議論、聞いたことないし。

併せて取られた「病理判断料」は1500円と安かった。

 

※「ジェネラリストのためのこれだけは押さえておきたい皮膚疾患」(医学書院)