北京の薬局で見つけた痛み止め「散列通」とは?
中国の北京市内で見つけた薬を紹介します。今回はコチラ。薬局で販売していました。
どれが薬の名前かすらわかりません。熱や痛みに効くと書かれています。
散列通とはサリドンのことだった
1錠あたりの成分はParacetamol 250mg,Propyphenazone 150mg,Anhydrous Caffeine 50mgです。Paracetamol、Propyphenazoneは馴染みのない言葉ですが、それぞれアセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリンのことです。つまり日本語にすると、
アセトアミノフェン250mg
イソプロピルアンチピアリン150mg
無水カフェイン50mg
となります。
これは日本でも使われている解熱鎮痛の薬「サリドン」だとわかりました。中国語のパッケージには「Sanlietong」と書かれています。
散列通をおすすめしない3つの理由
サリドンは日本でも販売されている商品です。ただ、だからといって安心はできません。中国のサリドンは大人は1回1~2錠、1日3回まで服用できると書いてます。1錠中の成分は日本と同じなので、1回2錠飲むと日本の倍量を飲むことになります。アセトアミノフェンを1回500mg飲んだ場合、解熱鎮痛効果はかなり高いでしょう。ただ、長期間飲むと肝臓への負担が心配されている成分なので、少々注意が必要です(※1)。
カフェインの量が多い
またカフェインの量も1回100mgとなります。日本でいえば、エスタロンモカなど眠気防止剤でカフェイン100~170mgが相場、痛みどめのイブで80mg、パブロン風邪薬のパブロンゴールドAで25mgなので、1回100mgは多いといえます。効き目は良いでしょうが特に就寝前などはおすすめしません。
ピリン系成分を使っている
1回1錠にすれば日本のサリドンと同じ成分となります。ただ、イソプロピルアンチピリンを含んでいることも、この薬をお勧めできない理由です。これはピリン系薬剤と呼ばれる成分で、他の痛みどめ成分よりも薬剤アレルギーがでやすいことで注意が必要とされています。日本の市販薬では、サリドンやセデスなど一部の薬を除いてほとんど使われていない成分です。
このイソプロピルアンチピリンは一部の国では使用にかなり慎重です(※2)。最近ではインドで、政府が2016年に製造販売を禁じたサリドンを、今年9月に最高裁が販売許可するという報道がありました(ただし、同月に政府側はサリドンを禁止したとの報道もあり状況の詳細はわかりません)。インドではサリドンが非常に人気で、現地の複数メディアがサリドンの解禁(lift ban)報じています。使用を禁じるほど危険な薬ではありませんが、そのような賛否ある薬を中国の地であえて使う必要はないでしょう。
中国の薬は日本よりも効くかもしれない
私は在日の中国の方から「中国の市販薬は効かない。日本のはよく効くし安全」と聞いていました。それだけに、中国の市販薬が日本の市販薬よりも成分量が多いのは意外でした。この薬は英語表記されているので、誰でも飲み方はある程度わかると思います。ただ、うっかり日本の量よりも多く飲んでしまう可能性もありますのでご注意ください。
参考情報
※1アセトアミノフェン使用成績調査の一例
http://www.nihon-generic.co.jp/medical/search/files/ACEPO_GPSP_1411.pdf
※2 国連資料ではいくつかの国でイソプロピルアンチピリンを禁止。ただし2008年の資料で近況は不明。http://www.un.org/esa/coordination/CL12.pdf