『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

緊急事態宣言1日目に感謝されて、素直に喜べなかった悲話

緊急事態宣言が本日4月8日に発動しました。見慣れたはずの朝の町の風景が、なんだかいつもと違って見えました。道ゆく人の数も少ない気がします。一体、今日から何が起きるのか。緊張しながら店に出勤しました。

店がオープンすれば、いつもと同じ。マスク、消毒薬、体温計の問い合わせ。目の前の仕事に息つく暇もなし。

そんな中、お客さんからこう言われました。

「こんな時だからこそ、店を開けててくれてありがたいよ。本当にありがたい」

面識のない方ですが、きっと労ってくれたのでしょう。親切心です。ありがたいことです。

ところが。

その言葉を聞いた時の私は、ぜんぜん喜べませんでした。むしろ、少し肩を落として、

「こういうお客さんの声がある限り、会社は営業を続けようとするのだろうな・・・」

となんとも言えない気持ちになりました。

そのお客さんが購入したのは、ちょっとした食品でした。

 

 

コロナウイルスの影響で、私もどうかしてしまっているんでしょう。

こんな親切なお客さんの言葉を素直に喜べないなんて。自分でもびっくりしました。でも、思うんですけどね、本当に必要な買い物って、そんなに多くありますかね。私レジで打っていると、「これ1ヶ月なくても大丈夫じゃない?」と思える商品がたくさんあります。シャンプー、リンス、洗剤、サプリ、常備薬、化粧品・・・緊急事態宣言が出るのがわかっているなら、あらかじめ計画的に買っておけば良いものが多々あります。

店を開けることには賛成です。必要至急のお買い物は確かにあります。そこで感謝されるのは本当に嬉しい。小売最高。でも、この状況下で「なくてもなんとかなるけど、お店が開いてるから買おう」程度の消費もたくさんあるように感じます。店を開けると、結局、不要不急の消費が増えるんです。

そうした実態を無視して、単純に「お客さんがたくさん来る」=「社会から必要とされている」という理屈で、お店を開ける会社がけっこうあるんだと思います。

「お客様のために」といえば聞こえは良いですけど、全てのお店が、スタッフとお客さんの接触を避けるための設備を設けたり、店内の衛生を徹底させたりしているわけではありません。形ばかりの営業店舗は、結局は利益先行で店を開けているのではないかと勘ぐってしまいます。

緊急事態宣言が出て、意外だったのは、この宣言の中で出勤することがストレスだということです。嫌ではないんです。私、仕事好きですし。ただ、本来なら自粛すべきところを出勤するというのが心に引っかかるんです。だって、社会的影響に配慮して営業を止めた会社はたくさんあるんですから。

 

その中であえて営業をするなら、やっぱり会社はそこで働く社員に、丁寧な説明や、営業方法の工夫、あるいは金銭的な報いを提示してほしいなあと思うのが、私の希望です。

例えばですけど、販売する商品を絞るとか。あるいは、この大変な中で社員は出勤するのだから、次の賞与は例年通り出しますとか。休業中の会社の中には賞与が減る企業もあるんだと思います。でも、いま頑張って働けば、不況の中でも賞与は補償しますといったアナウンスがあれば、働く気力も変わる社員もいるんじゃないでしょうか。

私のような、仕事する社会的な意味を考えてしまうような人間には「儲けるためだけに営業しているわけではない」という姿勢を、十分な衛生コストを払いながら具体的に示してくれると、とても働きやすいのであります。

 

というわけで、冒頭のお客さんには本当に申し訳ないのですけど、労いの言葉も感謝の言葉もありがたく頂戴するとして、ただ、不要不急の来店はできるだけ控えていただけると助かるのが本音です。

まあ、いろいろな見方があるでしょうから、強く主張はしません。今日は、ちょっと疲れた(いや、だいぶ疲れた)から、考え方がネガティブになっているのかもしれませんね。先日に緊急事態宣言の発動が決まってからというもの、マスクや消毒薬を求めるお客さんの激しさも再び盛り返してきています。

現場からは以上です。