『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

受験シーズンの強い味方。今年の花粉症薬情報【2023/1/30~2/3のニュース】

今週はニッポン放送ラジオ『辛坊治郎ズーム』に生出演してきました。昨年に続き2度目。色々反省点もありつつ、貴重な機会をくださったことに感謝します。

こちらで聞けます↓(今回は反省ばかりでお恥ずかしいです。でも学びも多かったです)

https://radiko.jp/#!/ts/LFR/20230131153000

今日のブログでは、ラジオ当日お話できなかったことを書きます。

●花粉症薬は何が進化してる?

市販の花粉症薬には、毎年”何か”が起きています。新しい製品が出たり、既存の製品でも購入しやすくなったり。近年で言えば、フルナーゼ、タリオンといった元々病院で処方されてきた薬が市販薬になりましたし、10年程前に医療用として登場したディレグラという薬が今年か来年には市販薬として登場する予定です。ディレグラが市販薬になる際の製品名は「アレグラFXプレミアム」となる見込みで、アレグラというブランドの知名度の高さから大型新商品となるでしょう。

●今年注目の花粉症薬は?

今シーズンの注目花粉症薬はフルナーゼです。鼻水、鼻づまりに対して非常に効果の高い花粉症薬で、すでに市販薬になってから数年が経っています。しかし最近、規制が緩和されたことで(昨年11月に要指導医薬品から第一類医薬品に移行)、今シーズンからは代理購入可能・ネット購入可能・複数点購入可能、となりました。フルナーゼはステロイドと呼ばれる成分の点鼻薬です。ステロイド点鼻薬は他にもありますが、フルナーゼの特徴はなんといっても、15歳から使用できること。ステロイド点鼻製品の使用可能年齢はほとんどが18歳以上です。他のステロイド点鼻薬と比べると、やや値段が高いことが欠点ですが、高校生から使えるため、これからの大学受験シーズンにぴったりの薬といえそうです。

●花粉症は早く”飲め”? いや、早く”させ”

花粉症薬は早めに飲むのがいいとよく言われます。これは早めに飲むことで、花粉飛散ピーク時の症状を和らげることができるからと考えられています。その理由は、花粉症薬(抗ヒスタミン成分)がヒスタミン受容体にくっつくことで、ヒスタミン受容体の働きを抑える、ざっくり表現するなら、鈍くさせるためだと考えられています。この働きはインバースアゴニストと呼ばれています。ここで注目してもらいたいのは、飲み薬だけではなく、詳細な機序は不明であるものの、ステロイド点鼻薬にも早めの使用でピーク時の症状が抑えられる効果が確認されていることです。早く飲もう、もいいですが、早くさそう、も大事です。2月に入りすでに花粉症の症状を感じている人は、説明書の注意書きを読んだ上で、さしてOK。ただし、点鼻薬にはステロイド成分とは別に、血管収縮成分が入った製品があります。こちらは使うほどに効果時間が短くなり、鼻づまりはむしろひどくなることが知られています。点鼻薬選びはご注意を。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/112/3/112_3_99/_pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjiao/37/4/37_241/_pdf

●ステロイド点鼻薬は目にも効果がある

鼻にさすステロイド点鼻薬は、目の花粉症状にも効果があるとされています(目にさすという意味ではないですよ!)。目と鼻はつながっているからね、と思われるかもしれませんが、物理的なつながりとは別の理由があると考えられています。もし鼻にさしたステロイド点鼻薬が目に行ってしまったら、ステロイド点鼻薬は決して安全な薬とは言えないでしょう(ステロイドは眼圧を上げます)。しかし、実際には非常に安全性の高い薬だとされています。点鼻薬が目にも効果がある理由は、目と鼻の神経反射によるものだと考えられています。目と鼻は神経でもつながっており、鼻の粘膜が過敏な状態であると、目に涙が出やすくなるそうです。昔は、Vidian 神経切断術という術式があったようで、これをすると鼻水は劇的に改善しますが、代わりに涙が出にくくなるという重度の障害が発生したそうです。恐ろしや・・・。。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/49/3/49_3_335/_pdf

●花粉症薬は新しい成分ほど、こっそり置いてある

最後に、ちょっとしたハックです。新商品はお店の中の目立つところに置いてある。これが商品の常識ですよね。ところが、花粉症薬ではこれと真反対のことがあります。新しい成分の商品が、お店の奥〜の目立たないところにあるのです。最近のドラッグストアは、日用品や風邪薬が置いてあるコーナーとは別に、店の奥に処方箋を受け付けているコーナーがあります。新商品はそこに眠っているのです。なぜなら、新規成分は法律上、薬剤師でなければ販売できないというルールがあり、薬剤師が在庫を保管しているためです。もちろん、空箱をプロモーションスペースに置いてあるドラッグストアもありますが、大体が目立たないように配置されています。市販薬の花粉症の新規成分は薬剤師に聞け。これは覚えておくと良いと思います。

 

いよいよ花粉症シーズン本格化。気をつけましょう。