『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

9月29日は『かぜ備えの日』。販売員が教える体温計選びのコツ【2023/9/25~9/29のニュース】


今年から9月29日は『かぜ備えの日』だそうです。全薬工業が日本記念日協会に申請して登録されました。「9(急)2(に)9(来る)かぜ」で9 月29日というわけです。さらに、全薬工業はマルコメや旭化成ホームズなどとともに「かぜ備えリスト」を作成しました。

https://www.zenyaku.co.jp/assets/pdf/release_230920_d.pdf

そこで今回ご紹介したいのは「体温計」の選び方です。

コロナ禍では、多くの人が体温計を買いに走りました。体温計が品不足になる日が来るなんて、それまで誰が想像したことか。どの体温計がいいのか!買った体温計が使いにくいから返品したい!そんな、やりとりを数多く経験しました。おかげで、薬剤師とはいえ体温計に多少は詳しくなりました。というわけで、今週の「かぜ備えの日」にちなんで、販売員が教える”体温計虎の巻”を紹介します。なんとも締まりのない響きですが、さっそくいってみましょう。

選び方のコツ①実測式か予測式か

体温計には、10分近い時間をかけて実際の体温を測る「実測式」と、数十秒から1分程度の短い時間で体温を測る「予測式」の2種類があります。実測式は10分もかかるので、はっきり言って人気がありません。コロナ禍で体温計が不足したときに、予測式がどこも欠品して、代わりに実測式が多く流通したことがありました。そうした特殊な状況を除けば「予測式」がおすすめです。予測式はアラームが鳴った後にそのまま10分待つことで実測もできます。予測式は実測も兼ねているというわけです。

選び方のコツ②値段が高いか安いか

一般的な体温計の相場は1000円以上です。1000円未満の安い体温計は、実測式の可能性があります。実測式は測定に10分かかります。安さだけに飛びつくと、後悔するかもしれません。予測式でも価格には幅があります。それぞれ、少しずつ機能が異なるためです。自分に合った機能を選ぶことで、リーズナブルな選択ができます。

選び方のコツ③音が聞き取りやすいか

店舗にもよるのでしょうが、体温計を購入したお客様から返品したいという要望は、そう珍しいものではありません。私の経験では返品理由には、主に2つのパターンがありました。1つは「音が聞こえない」、そしてもう1つは「ボタンが押しにくい」です。

高齢者になると耳が遠くなり、測定終了のアラーム音が聞こえなくなります。そこで、体温計の種類には、アラーム音を聞こえやすくした商品があります。例えばテルモの「C232」は、聞きやすくするための「音圧」に着目した商品です。

音圧とは、音が出た時に生じる空気の圧力変化のことです。音の聞き取りやすさは、「音圧」「音階(音の高さ)」「音色」の3つが影響しているそうで、この体温計は音圧を通常の2倍にすることで音を聞きやすくしています。

さらに聞き取りやすい体温計を希望するならテルモの「P330」がオススメです。測定が終了するとメリーさんの羊のメロディが流れます。その音量たるや、初めて聞く人はびっくりするでしょう!あまりに音が大きいので私はノーサンキューですが、耳が遠い方にはおすすめです。P330は音圧は通常の4倍ですので、C232よりも聞き取りやすくなっています。

体温計の選び方のコツ④ボタンが押しやすいか

ボタンの押しやすさも、高齢者には重要です。体温計の電源ボタンの位置は主に2種類あります。1つは正面(液晶がある面)にあるタイプ、もう1つは先端にあるタイプです。先端に電源があるタイプのなかには、少し強い力が必要で、高齢者からボタン押せないというクレームが来ることがあります。特にテルモ。実は先述の音が聞き取りやすいC232は先端タイプなのです。そこは押しやすくしてほしかったわ。手指に不自由さを抱えてなければ、どのようなボタンでも不自由はないでしょう。

体温計の選び方のコツ⑤バックライトがある

バックライト機能が付いていれば、暗いところでも測定結果を見ることができます。これは意外と便利なので、なるべくバックライト付を選ぶことをオススメします

体温計の選び方のコツ⑥本体が適切な長さか

お子様向けに先端が曲がる、尺の短い体温計があります。使いやすいという話を聞く一方で、長い従来の体温計に慣れている大人からは、短くすぎで使いにくいという声もあります。お子様向けの体温計は大人が使っても問題はありません。ただ、使う人に合わせた体温計を選んだほうがよいでしょう。

体温計の選び方のコツ⑦アプリ管理機能の有無

スマホのアプリで結果を管理できる体温計があります。テルモの「S100」はアプリ管理できるだけでなく、見た目も非常に近未来的な体温計です。ただ、アプリ管理分野で一番のシェアはおそらくオムロンでしょう。1つのアプリで、血圧、体重計、体温計、そしてパルスオキシメータの結果など、さまざまなデバイスの計測値管理できます。デジタルガジェットがお好きなら検討してもいいかもしれません。

もちろん他にも選び方のポイントはたくさんあります。私より詳しい人もいるでしょう。長くなりますので割愛しますが、非接触型の体温計にもさまざまな種類があり、それぞれ特徴も異なります。

以上、意外と奥の深い体温計の選び方でした。

 

最後に薬の新商品のご紹介です。今週は大正製薬から2製品が、共に10月2日発売予定で発表されています。

「アイリスCL-Ⅰプレミアム うるおいケア」は、コンタクトレンズ着用時などの目の不快感を和らげる使い切りタイプの目薬です。ボトルタイプではないので、衛生的で携帯に便利です。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230928001402.html

お尻の痒みを鎮める「ムズクール」は、ひんやりジェルタイプの塗り薬で、不快感を抑えてくれます。お尻の塗り薬では「オシリア」という製品が有名です。オシリアはステロイドと呼ばれる成分が配合されており、ムズクールよりも炎症を抑える効果は高いと考えられますが、長期使用には向きません。ムズクールはステロイドがないので、オシリアよりも安全性は高いといえます。繰り返す症状にオシリアをたびたび使っているかたは、一度、ムズクールを試しても良いかもしれません。繰り返さないような生活習慣の改善も大切です。ゴシゴシ洗いすぎなどが原因の場合もあります。洗いすぎが原因の1つなら、肌に優しいボディソープで、ふわっと優しく洗い流すことを心がけてください。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230925001400.html

 

それではまた。