『家庭の薬学』

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ゴホゴホ咳に「ゴホナース」。その正体は?【2023/9/18~9/22のニュース】

もうすぐ9月も終わりだというのに、まだ紹介していなかった今月発売の新商品をいくつかピックアップします。

咳止め薬の「ゴホナース」、爪周りの肌荒れ薬「ネルワキュア」、そして鼻水鼻づまり薬「チクナイン点鼻スプレー」の3つ。いずれも小林製薬が9月に発売したものです。前者2製品は地域限定発売なので、近所のドラッグストアではまだ扱っていないこともあるでしょう。

1つずつ特徴を説明します。

まずゴホナースから。こちらはカタカナのネーミングですが、成分は漢方薬です。正式な名前を「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」といいます。麻黄、杏仁、甘草、石膏という4つの材料の、それぞれ一文字をとって繋ぎ合わせただけの、とってもわかりやすい名前の漢方薬です。

咳に効く漢方薬はいくつかありますが、この麻杏甘石湯はゴホゴホと咳き込みが強い、呼吸も少ししずらいような喘息などの症状に適しています。痰が絡む咳にも効果的だとされています。似たような漢方薬で小林製薬からはダスモックという製品も発売されています。こちらは「清肺湯」という漢方薬で、痰が多く出るような(そして痰を出すと少しラクになる)慢性的な咳に適しているとされています。漢方薬にはいろいろな解釈がありますが、個人的には麻杏甘石湯は気管支を拡張させる麻黄がしっかり入っているので呼吸が楽になりやすいという点が特徴で、清肺湯は麻黄は含まれない代わりに麦門冬のような喉を潤し痰を出しやすくするようなものが使われているという点が、両者の比較のポイントのように感じます(さまざまな考え方があると思います)。

咳に効く漢方薬というと、麦門冬湯が圧倒的に有名ですが、実は症状に合わせて効果が期待できる漢方薬がある、ということは覚えていて損はないと思います。なお、喘息は病院でお医者さんに診てもらうのが原則です。

 

続いて「ネルワキュア」。爪周りの荒れを治療すると書かれた塗り薬です。「ガチガチ荒れに」と書かれているように、「ガチガチ」なのがポイントです。この薬の主な成分は、皮膚を柔らかくする働きのある尿素です。乾燥などでガチガチに硬くなった部分を柔らかくしてくれるというわけです。

柔らかくするための薬ということは、ガチガチではない荒れには向かないかもしれません。尿素は刺激のある成分なので使いドコロを間違えると、皮膚へ無用な刺激を与えるだけで効果が望めないことがあります。

 

最後の商品は「チクナイン点鼻スプレー」。鼻にシュッと吹きかけるタイプの、鼻水鼻づまり改善薬です。チクナインという飲み薬が既存品にあります。その飲み薬と、今回の新商品は、成分は全く異なります。一緒に使うこともできます。ただし、チクナイン点鼻スプレーには、クセになる成分が含まれており、説明書をよく読むと、「過度に使用すると、かえって鼻づまりを起こすことがある」と記載されています。こわいこわい。明示はされていませんが、クセになるこの成分の適切な使用期間は、可能であれば1〜2週間程度の短期間におさめておくことが無難でしょう。副鼻腔炎だと、ついつい長くこの薬を使ってしまいそうですから、くれぐれもご注意ください。